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6・美少女も美少年も目の保養に必要なのです
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雅と芙綺は一緒に学校を出て、ウィステリアの寮のあるほうへ向かう。
ウィステリア女学院の正門を出れば、目の前はバス停がある。
その横を抜け、グラウンドをはさんだ道を進む。
まっすぐ続く道の先は神社があり、ウィステリアの寮はそのすぐ傍だ。
そして雅の自宅も、とても近かった。
「本当に目の前じゃん」
「そうなんよ。このアクセスならそりゃウィステリア選ぶっしょ」
「わかる!」
多分、チャイムが鳴っても走れば間に合うのじゃないかと思う距離だ。
「美少女はどーすんの?寮に帰ってなんかすんの?」
「うーん、特に用事はないんだけど。おひるごはん食べるくらいかな?」
「じゃあさ、あとからうちに遊びに来たら?」
雅の誘いに「いいの?」と芙綺は驚く。
「別にいいよ。お近づきにうちでおやつ、食べようぜ!あ、寮って出られるんだっけ?」
「わかんないけど、聞いてみる。もし駄目だったら連絡入れるし」
「わかった!じゃあ一回帰るね」
「うん。バイバーイ!」
あとでね、と二人は一旦別れた。
芙綺が寮に帰ると、同じ一年生の子らも帰って来ていた。
先輩達は今日は休みなので、部活に行ったり、寮で過ごしていたりと様々だ。
昼食は各自で、となっているが食堂に準備してあるので芙綺は一人、昼食を取った。
寮の中は割と賑やかで、それぞれが自由に動いている。
(寮から出かけるのって、確かOKだった気がする)
行き先をボードに書いてさえいれば、特に問題ないと入寮の説明会では聞いた覚えがあるのだが。
食事を終えたあと、芙綺は三年生の先輩に尋ねた。
すると、「問題ないよ」との事だった。
良かった、と胸を撫でおろす芙綺に先輩が尋ねた。
「でも、小早川さんは確か周防市からだったよね?どこに出かけるの?」
「今日、仲良くなった友達の家です。寮の前って」
「それってひょっとして、木戸さんの事?雅でしょ?」
別の先輩から尋ねられ、芙綺は「そうです」と答えた。
「あー、木戸さんとこね、判った判った。問題ないよ、マジで寮の真ん前の家だから。習い事一緒だったから知ってるの。雅っちによろしく」
「わかりました。伝えておきます」
ぺこり、と頭を下げて芙綺は寮の食堂を出て行った。
芙綺が出て行った後の食堂で、ウィステリアの先輩達はため息をつく。
「小早川さん、マジで美少女だね。めっちゃかわいいわあ」
「目の保養、マジで目の保養だって」
「2回も言った。でもファッションは割とふつーだったね。可愛いかと思ったのに」
「なんかサッカー経験者らしいよ。ウィステリアに来たのもその辺もあってって」
「えー、でもうちサッカー部ないじゃん」
ウィステリアは運動部が盛んなのだが、サッカー部は確か存在しない。
「なんでだろーね。新設とかすんのかな」
「さあねえ。でも、あんだけ美少女だったら、報国院でも相当話題かっさらうんじゃないのかな」
先輩達が話していると、「そうだ!」と誰かが手を打った。
「報国院の入学式って昨日なんですけど、テレビで取材受けてたんですよ!そこに出てたのがすっごい美少年でぇ」
「そうそう!ロミオ君も出ていたから絶対見たほうが良いって!」
「えっ、マジなの?見たい!」
「モニターで見ようよ~、いま誰も使ってないでしょ?」
食堂にあるモニターはかなり大きく、寮生は自由に使って良い事になっている。
「ねえみんな~報国院の入学式の奴見よう~ロミオ様も出てたらしいよ~」
二年生以上からははしゃぐ声が聞こえ、一年生らは何のことだろう?と首を傾げるが、すぐに理解することになるのだった。
ウィステリア女学院の正門を出れば、目の前はバス停がある。
その横を抜け、グラウンドをはさんだ道を進む。
まっすぐ続く道の先は神社があり、ウィステリアの寮はそのすぐ傍だ。
そして雅の自宅も、とても近かった。
「本当に目の前じゃん」
「そうなんよ。このアクセスならそりゃウィステリア選ぶっしょ」
「わかる!」
多分、チャイムが鳴っても走れば間に合うのじゃないかと思う距離だ。
「美少女はどーすんの?寮に帰ってなんかすんの?」
「うーん、特に用事はないんだけど。おひるごはん食べるくらいかな?」
「じゃあさ、あとからうちに遊びに来たら?」
雅の誘いに「いいの?」と芙綺は驚く。
「別にいいよ。お近づきにうちでおやつ、食べようぜ!あ、寮って出られるんだっけ?」
「わかんないけど、聞いてみる。もし駄目だったら連絡入れるし」
「わかった!じゃあ一回帰るね」
「うん。バイバーイ!」
あとでね、と二人は一旦別れた。
芙綺が寮に帰ると、同じ一年生の子らも帰って来ていた。
先輩達は今日は休みなので、部活に行ったり、寮で過ごしていたりと様々だ。
昼食は各自で、となっているが食堂に準備してあるので芙綺は一人、昼食を取った。
寮の中は割と賑やかで、それぞれが自由に動いている。
(寮から出かけるのって、確かOKだった気がする)
行き先をボードに書いてさえいれば、特に問題ないと入寮の説明会では聞いた覚えがあるのだが。
食事を終えたあと、芙綺は三年生の先輩に尋ねた。
すると、「問題ないよ」との事だった。
良かった、と胸を撫でおろす芙綺に先輩が尋ねた。
「でも、小早川さんは確か周防市からだったよね?どこに出かけるの?」
「今日、仲良くなった友達の家です。寮の前って」
「それってひょっとして、木戸さんの事?雅でしょ?」
別の先輩から尋ねられ、芙綺は「そうです」と答えた。
「あー、木戸さんとこね、判った判った。問題ないよ、マジで寮の真ん前の家だから。習い事一緒だったから知ってるの。雅っちによろしく」
「わかりました。伝えておきます」
ぺこり、と頭を下げて芙綺は寮の食堂を出て行った。
芙綺が出て行った後の食堂で、ウィステリアの先輩達はため息をつく。
「小早川さん、マジで美少女だね。めっちゃかわいいわあ」
「目の保養、マジで目の保養だって」
「2回も言った。でもファッションは割とふつーだったね。可愛いかと思ったのに」
「なんかサッカー経験者らしいよ。ウィステリアに来たのもその辺もあってって」
「えー、でもうちサッカー部ないじゃん」
ウィステリアは運動部が盛んなのだが、サッカー部は確か存在しない。
「なんでだろーね。新設とかすんのかな」
「さあねえ。でも、あんだけ美少女だったら、報国院でも相当話題かっさらうんじゃないのかな」
先輩達が話していると、「そうだ!」と誰かが手を打った。
「報国院の入学式って昨日なんですけど、テレビで取材受けてたんですよ!そこに出てたのがすっごい美少年でぇ」
「そうそう!ロミオ君も出ていたから絶対見たほうが良いって!」
「えっ、マジなの?見たい!」
「モニターで見ようよ~、いま誰も使ってないでしょ?」
食堂にあるモニターはかなり大きく、寮生は自由に使って良い事になっている。
「ねえみんな~報国院の入学式の奴見よう~ロミオ様も出てたらしいよ~」
二年生以上からははしゃぐ声が聞こえ、一年生らは何のことだろう?と首を傾げるが、すぐに理解することになるのだった。
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