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【23】拍手喝采~戦場のハッピーバレンタインデー
大好きな先輩
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雪充の言葉に一年生三人は首を傾げていたが、成長を楽しみにしてくれているのだ、と判ると、急にしっかりした顔になって頷いた。
本当に、なんで高校は三年しかないのだろう。
こんなにも楽しいなら、ずっとだって報国院に居たい。
ふと、その時、雪充は思った。
ひょっとしてあの人もそう思ったから、あんな行動に出たのでは。
今となっては確かめる術もなかったが。
「つい、話こんじゃったね。時間がなくなっちゃうから、これ頂こうかな」
今日の目的は幾久の作ったお菓子を食べる事だ。
雪充は早速、紙袋から取り出し、パッケージを開いてカヌレにかぶりついた。
チョコレートの香りがふわっと漂い、割と噛み応えのある生地をかみしめた。
「おいしい!」
うん、と雪充は頷いた。
「ホントっすか?」
「うん、物凄くおいしい!この三年間の中で一番の出来だよ」
雪充はそう言って、二個セットのもうひとつもあっという間に平らげ、幾久はにこにこと笑顔を見せた。
「良かったー!自分でも食べてたから、おいしいとは思ってたけど」
「本当においしいよ。これ、まだあるの?」
「あります!ちゃんと余分、とってます!」
頷く幾久に、雪充は言った。
「じゃあ、僕も自分で買おうかな。どうせ誉会で売るんだろ?」
「でも、雪ちゃん先輩への申し込み、学校の方でかなり来てましたけど」
御堀が言った。
報国院では生徒へのチョコレート渡しは禁止され、その代わりに渡したい場合は報国院のサイトから注文し、本人に渡すようになっている。
多分、雪充の人気を考えると、かなりの注文が来ているはずだ。
「食べるつもりがなかったんで、電子マネーに変えて貰ったんだよ」
尚、雪充のように人気のある生徒の場合は、お菓子だと大量に余るので、電子マネーに変える事も出来るという、システムだった。
「それにこんなに美味しくていっくんが頑張って作ったんなら、そっちを自分できちんと買いたいよ」
絶賛する雪充に幾久は満面の笑顔を見せた。
「すっっげえ嬉しい!頑張って作って良かった!」
「上手に出来てるよ。これと同じなら、きっと今日の学食は乱闘になるね」
雪充の言葉を冗談と思い、一年生三人は笑ったのだが、実際言葉通り、その日の昼食時間は本当に乱闘になってしまうことを、この時の幾久はまだ知らなかった。
雪充の言葉はまさに予言の通りだった。
いつもの面々と学食に入ると、そこはまさに戦場と化していた。
「うわあ。なんだこれ」
あちこちで繰り広げられていたのは、麻雀、トランプ、オセロ、花札、丁半賭博にカードゲーム。
「なんだこれ。一体なにがどうなって」
驚く幾久に、声をかけたものがあった。
いまだ鳩クラスに所属する、報国寮の伊藤だ。
「よー、幾久!ハッピーバレンタイン!」
そう言いながら両手に沢山のカヌレを抱えている。
「トシすげえ。案外モテるんだな」
「はっはっは、俺がモテるわけねーだろ!全部ゲームで勝ったんだよ!」
首を傾げる鳳の面々に、伊藤が言った。
「お前らみたいにモテる連中は、申し込みがあってカヌレが配られるんだろうけど、俺らみてーな知名度も外見もねーのはな、カーチャンが申し込んでくれなかったら、食えねえんだよ」
「生徒につきひとつは今日、ランチにつくはずだろ?」
バレンタインという事で、特別に当日、生徒にひとつずつは配られるはずだが。
御堀が言うと、伊藤が首を横に振った。
「あのな、お前らみたいにコンビニに自由に行ける連中はいいけどさ、俺らの寮は基本牢獄よ。甘味に飢えてんだよ。文化っちゅーもんがねーのよ!」
「文化って」
大げさな、と幾久が呆れるが伊藤が言った。
「大げさなもんかよ!学校から帰れば即寮で、することといったらゲームか話しかねえ。そりゃスマホで遊べばいいけど無料のもんなんか所詮飽きるだろ!」
「じゃあ、課金すれば」
ゲーム大好きな品川が言うと、伊藤は「はっ」と悔しそうに言った。
「俺みたいな鳩はともかく、千鳥なんかおっそろしいほど学費が高い上に、特殊な事情がなければバイトも禁止だろ。親に小遣いくれなんか言える立場じゃねえよ」
「あ、そか」
素直に頷く品川だが、確かに千鳥の学費や寮費はえぐいと聞く。
「だったら成績上げればいいじゃん」
無遠慮な入江が言うが伊藤が言い返す。
「それができりゃ苦労しねえよぉおおお」
成程、と皆は顔を合わせた。
つまり、千鳥クラス、報国寮にはお菓子も道楽もなく、バレンタインのお菓子は唯一といっていいくらいの楽しみだったらしい。
「それでホーム部に、千鳥クラスが多いのか」
へー、と山田が納得する。
幾久も思い出すと、確かにホーム部に参加しているのは千鳥クラスが多かった。
「お菓子が食べられるからだったのかあ」
へー、と幾久が驚く。
「お前らはさあ、めっちゃ自由にコンビニ行けるけどさ、俺らは基本禁止だし、寮でも先生に勝負で勝たない限りお菓子買ってきて貰えないし」
それでやたら夜中にコンビニで毛利と遭遇するのか、と桜柳寮の面々は納得した。
「でもなんかもう、学食が賭場みたいになってんじゃん。いいのかな」
普が言うが、伊藤は首を横に振った。
「いいも悪いもねえ。モテない奴の唯一の楽しみだから先生もお目こぼしよ」
「っていうか、あそこモウリーニョがオセロやってるけど」
入江が言うと、山田が呆れた。
「しかも脇にめちゃくちゃカヌレ積んでる。遊んでんのかな」
全く、本当にあれで先生でいいのだろうか、と思いつつ幾久達はランチを取りに行った。
昼食を皆で取りながら、幾久達はスマホを取り出し、アプリを立ち上げた。
「いっくん、一体カヌレ何個届いてる?」
「判んないけど、そんなにないと思う」
最近、服部の所属する部活では報国院のアプリを作り、生徒へのお知らせや管理、ニュースに電子マネーまで扱うようになっていた。
バレンタインのカヌレのプレゼントも個数が表示されるようになっていて、幾久がアプリを見ると「えっ」と驚き声を上げた。
「これマジで?数、バグってない?」
「どれ?」
覗き込むと、幾久へのプレゼントは、五十個を超えていた。
「いっくんすごーい!五十個だって!」
その普の声に、周りがざわっと騒めいた。
「え?本当に?こんなに?」
幾久が慌てて画面をフリックすると、ハンドルネームのような名前がいくつも連なっていた。
中には知った人の名前もある。
「あっ、菫さんからも来てる!わーい!」
雪充の姉である菫から、幾久へ届いていた。
他にも、ウィステリアの演劇部一同、というのもあった。
メッセージがついていて、『大量だと困ると思ったので、我々はクラブでひとつにしました』と書いてあった。
「うわあ、ありがたいなあ」
ウィステリア三年生の演劇部の先輩たちは、幾久へのプレゼントもこうして注文してくれたが、自分たちも申し込んでくれているので、今日の放課後に直接カヌレを取りにくることになっている。
お礼は直接言おう、とほくほくしている幾久に、普がアプリを見て「げ」と声を出した。
「なんだよ、変な声出して」
「このアプリの仕様えぐいよ。順位まで出るようになってる」
え、と驚いて全員がスマホを覗き込む。
そこにはしっかり、順位が出ている。
「せめて本名がないのが救いか」
はは、と幾久が苦笑する。
一年、二年、三年とクラスで色分けしてあり、やはりというか、圧倒的に多かったのは三年の鳳クラスだった。
「さすが三年は違うなあ」
驚く幾久に御堀が言った。
「知名度もあるし、最後の学年だから張り切ったってのもあるだろうね」
「そっか」
確かに、一年生、二年生ならどうしようかと悩む時間もあるかもしれないが、三年生は今回がラストのバレンタインだ。
「ひょっとして、ずっと好きでやっと告白したとかって人もいるのかなあ」
いいなあ、と幾久が妄想していると、児玉が呆れて言った。
「今朝、雪ちゃん先輩に渡してきたの誰だよ」
「オレだけど」
「リア充っぽいけどちっともリア充じゃないよ!」
普が言うが、幾久はすーんとして言った。
「オレは満足だもん。雪ちゃん先輩喜んでくれたし、追加で買ってくれるって言ったし」
早速注文を受けて、雪充の分はしっかり確保してある。
後の仕事は、放課後にカヌレを配布するお仕事だけだ。
「あとは放課後に配るだけだろ?大丈夫だって」
あはは、と笑う幾久に、御堀は「軽く考えてると、痛い目見るよ?」と笑顔で言うので、ちょっとおびえつつも「平気だろ」と強がったのだが。
さて、放課後となり、ホーム部と誉会の共同事業である、誉会のバレンタインのお菓子販売が始まった。
販売場所は境内の中、拝殿の隣にある建物の中から行われる。
お祭りの際に控室で使われたり、初詣の際にロミジュリが握手会を行った場所でもある。
会議用の長テーブルを配置し、正面に幾久と御堀が立って、予約の人から先に受け渡しを行う事となった。
テーブルの背後にはホーム部の部員が段ボールに入ったカヌレを出しやすいよう、予約番号ごとに配置されている。
幾久達が放課後に向かった時にはすべての配置がされており、あとは当人たちが並ぶだけとなっていた。
「凄い!これ全部ホーム部がやってくれたの?」
驚く幾久に、志道が胸を張った。
「おう!俺が任せて貰えたからな、誉会からの依頼でコラボってことで、はりきってみたぜ!」
そして境内から降りる階段や、あちこちに配置されている生徒にも驚く。
「あれってSP部?」
「そう。初詣の時に集まったじゃん?声掛けたらトシが乗ってくれてさ。あいつが元締めやってんの」
「元締めって……」
昼にやっていた賭け事といい、元締めと言い、他に言い方はないのかと幾久は苦笑する。
本当に、なんで高校は三年しかないのだろう。
こんなにも楽しいなら、ずっとだって報国院に居たい。
ふと、その時、雪充は思った。
ひょっとしてあの人もそう思ったから、あんな行動に出たのでは。
今となっては確かめる術もなかったが。
「つい、話こんじゃったね。時間がなくなっちゃうから、これ頂こうかな」
今日の目的は幾久の作ったお菓子を食べる事だ。
雪充は早速、紙袋から取り出し、パッケージを開いてカヌレにかぶりついた。
チョコレートの香りがふわっと漂い、割と噛み応えのある生地をかみしめた。
「おいしい!」
うん、と雪充は頷いた。
「ホントっすか?」
「うん、物凄くおいしい!この三年間の中で一番の出来だよ」
雪充はそう言って、二個セットのもうひとつもあっという間に平らげ、幾久はにこにこと笑顔を見せた。
「良かったー!自分でも食べてたから、おいしいとは思ってたけど」
「本当においしいよ。これ、まだあるの?」
「あります!ちゃんと余分、とってます!」
頷く幾久に、雪充は言った。
「じゃあ、僕も自分で買おうかな。どうせ誉会で売るんだろ?」
「でも、雪ちゃん先輩への申し込み、学校の方でかなり来てましたけど」
御堀が言った。
報国院では生徒へのチョコレート渡しは禁止され、その代わりに渡したい場合は報国院のサイトから注文し、本人に渡すようになっている。
多分、雪充の人気を考えると、かなりの注文が来ているはずだ。
「食べるつもりがなかったんで、電子マネーに変えて貰ったんだよ」
尚、雪充のように人気のある生徒の場合は、お菓子だと大量に余るので、電子マネーに変える事も出来るという、システムだった。
「それにこんなに美味しくていっくんが頑張って作ったんなら、そっちを自分できちんと買いたいよ」
絶賛する雪充に幾久は満面の笑顔を見せた。
「すっっげえ嬉しい!頑張って作って良かった!」
「上手に出来てるよ。これと同じなら、きっと今日の学食は乱闘になるね」
雪充の言葉を冗談と思い、一年生三人は笑ったのだが、実際言葉通り、その日の昼食時間は本当に乱闘になってしまうことを、この時の幾久はまだ知らなかった。
雪充の言葉はまさに予言の通りだった。
いつもの面々と学食に入ると、そこはまさに戦場と化していた。
「うわあ。なんだこれ」
あちこちで繰り広げられていたのは、麻雀、トランプ、オセロ、花札、丁半賭博にカードゲーム。
「なんだこれ。一体なにがどうなって」
驚く幾久に、声をかけたものがあった。
いまだ鳩クラスに所属する、報国寮の伊藤だ。
「よー、幾久!ハッピーバレンタイン!」
そう言いながら両手に沢山のカヌレを抱えている。
「トシすげえ。案外モテるんだな」
「はっはっは、俺がモテるわけねーだろ!全部ゲームで勝ったんだよ!」
首を傾げる鳳の面々に、伊藤が言った。
「お前らみたいにモテる連中は、申し込みがあってカヌレが配られるんだろうけど、俺らみてーな知名度も外見もねーのはな、カーチャンが申し込んでくれなかったら、食えねえんだよ」
「生徒につきひとつは今日、ランチにつくはずだろ?」
バレンタインという事で、特別に当日、生徒にひとつずつは配られるはずだが。
御堀が言うと、伊藤が首を横に振った。
「あのな、お前らみたいにコンビニに自由に行ける連中はいいけどさ、俺らの寮は基本牢獄よ。甘味に飢えてんだよ。文化っちゅーもんがねーのよ!」
「文化って」
大げさな、と幾久が呆れるが伊藤が言った。
「大げさなもんかよ!学校から帰れば即寮で、することといったらゲームか話しかねえ。そりゃスマホで遊べばいいけど無料のもんなんか所詮飽きるだろ!」
「じゃあ、課金すれば」
ゲーム大好きな品川が言うと、伊藤は「はっ」と悔しそうに言った。
「俺みたいな鳩はともかく、千鳥なんかおっそろしいほど学費が高い上に、特殊な事情がなければバイトも禁止だろ。親に小遣いくれなんか言える立場じゃねえよ」
「あ、そか」
素直に頷く品川だが、確かに千鳥の学費や寮費はえぐいと聞く。
「だったら成績上げればいいじゃん」
無遠慮な入江が言うが伊藤が言い返す。
「それができりゃ苦労しねえよぉおおお」
成程、と皆は顔を合わせた。
つまり、千鳥クラス、報国寮にはお菓子も道楽もなく、バレンタインのお菓子は唯一といっていいくらいの楽しみだったらしい。
「それでホーム部に、千鳥クラスが多いのか」
へー、と山田が納得する。
幾久も思い出すと、確かにホーム部に参加しているのは千鳥クラスが多かった。
「お菓子が食べられるからだったのかあ」
へー、と幾久が驚く。
「お前らはさあ、めっちゃ自由にコンビニ行けるけどさ、俺らは基本禁止だし、寮でも先生に勝負で勝たない限りお菓子買ってきて貰えないし」
それでやたら夜中にコンビニで毛利と遭遇するのか、と桜柳寮の面々は納得した。
「でもなんかもう、学食が賭場みたいになってんじゃん。いいのかな」
普が言うが、伊藤は首を横に振った。
「いいも悪いもねえ。モテない奴の唯一の楽しみだから先生もお目こぼしよ」
「っていうか、あそこモウリーニョがオセロやってるけど」
入江が言うと、山田が呆れた。
「しかも脇にめちゃくちゃカヌレ積んでる。遊んでんのかな」
全く、本当にあれで先生でいいのだろうか、と思いつつ幾久達はランチを取りに行った。
昼食を皆で取りながら、幾久達はスマホを取り出し、アプリを立ち上げた。
「いっくん、一体カヌレ何個届いてる?」
「判んないけど、そんなにないと思う」
最近、服部の所属する部活では報国院のアプリを作り、生徒へのお知らせや管理、ニュースに電子マネーまで扱うようになっていた。
バレンタインのカヌレのプレゼントも個数が表示されるようになっていて、幾久がアプリを見ると「えっ」と驚き声を上げた。
「これマジで?数、バグってない?」
「どれ?」
覗き込むと、幾久へのプレゼントは、五十個を超えていた。
「いっくんすごーい!五十個だって!」
その普の声に、周りがざわっと騒めいた。
「え?本当に?こんなに?」
幾久が慌てて画面をフリックすると、ハンドルネームのような名前がいくつも連なっていた。
中には知った人の名前もある。
「あっ、菫さんからも来てる!わーい!」
雪充の姉である菫から、幾久へ届いていた。
他にも、ウィステリアの演劇部一同、というのもあった。
メッセージがついていて、『大量だと困ると思ったので、我々はクラブでひとつにしました』と書いてあった。
「うわあ、ありがたいなあ」
ウィステリア三年生の演劇部の先輩たちは、幾久へのプレゼントもこうして注文してくれたが、自分たちも申し込んでくれているので、今日の放課後に直接カヌレを取りにくることになっている。
お礼は直接言おう、とほくほくしている幾久に、普がアプリを見て「げ」と声を出した。
「なんだよ、変な声出して」
「このアプリの仕様えぐいよ。順位まで出るようになってる」
え、と驚いて全員がスマホを覗き込む。
そこにはしっかり、順位が出ている。
「せめて本名がないのが救いか」
はは、と幾久が苦笑する。
一年、二年、三年とクラスで色分けしてあり、やはりというか、圧倒的に多かったのは三年の鳳クラスだった。
「さすが三年は違うなあ」
驚く幾久に御堀が言った。
「知名度もあるし、最後の学年だから張り切ったってのもあるだろうね」
「そっか」
確かに、一年生、二年生ならどうしようかと悩む時間もあるかもしれないが、三年生は今回がラストのバレンタインだ。
「ひょっとして、ずっと好きでやっと告白したとかって人もいるのかなあ」
いいなあ、と幾久が妄想していると、児玉が呆れて言った。
「今朝、雪ちゃん先輩に渡してきたの誰だよ」
「オレだけど」
「リア充っぽいけどちっともリア充じゃないよ!」
普が言うが、幾久はすーんとして言った。
「オレは満足だもん。雪ちゃん先輩喜んでくれたし、追加で買ってくれるって言ったし」
早速注文を受けて、雪充の分はしっかり確保してある。
後の仕事は、放課後にカヌレを配布するお仕事だけだ。
「あとは放課後に配るだけだろ?大丈夫だって」
あはは、と笑う幾久に、御堀は「軽く考えてると、痛い目見るよ?」と笑顔で言うので、ちょっとおびえつつも「平気だろ」と強がったのだが。
さて、放課後となり、ホーム部と誉会の共同事業である、誉会のバレンタインのお菓子販売が始まった。
販売場所は境内の中、拝殿の隣にある建物の中から行われる。
お祭りの際に控室で使われたり、初詣の際にロミジュリが握手会を行った場所でもある。
会議用の長テーブルを配置し、正面に幾久と御堀が立って、予約の人から先に受け渡しを行う事となった。
テーブルの背後にはホーム部の部員が段ボールに入ったカヌレを出しやすいよう、予約番号ごとに配置されている。
幾久達が放課後に向かった時にはすべての配置がされており、あとは当人たちが並ぶだけとなっていた。
「凄い!これ全部ホーム部がやってくれたの?」
驚く幾久に、志道が胸を張った。
「おう!俺が任せて貰えたからな、誉会からの依頼でコラボってことで、はりきってみたぜ!」
そして境内から降りる階段や、あちこちに配置されている生徒にも驚く。
「あれってSP部?」
「そう。初詣の時に集まったじゃん?声掛けたらトシが乗ってくれてさ。あいつが元締めやってんの」
「元締めって……」
昼にやっていた賭け事といい、元締めと言い、他に言い方はないのかと幾久は苦笑する。
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