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眼鏡が彗星のスピードで降ってくる。
時刻は15:56分。
雨が降っていた。しかしその雨はすべて世界から何かを消失させていた。世界から消えていくのは私の体の一部かもしれないけど。
最近きのこを食べた。そのきのこはとても苦い味がした。そのきのこを食べてから世界が透けて見える。薄く浅い色合いの世界が透き通って見える。
眼鏡が私の目の前に落ちていく。そしてその速度を計測した。毎分340m。音速と同じスピードだ。またそのきのこを摂取したくなってきたのできのこを食べた。そうするとまた視界が透き通ってきてだんだんと意識が埋没を始めた。
眼鏡が私から離れていく。それは彗星のスピードだった。その眼鏡を呼び戻すように祈っていると、私の眼鏡は突然爆音を鳴らして空から降ってきた。新しい歌のキャッチコピー「眼鏡が彗星のスピードで降ってくる」
眼鏡がいくつものものを映し出して世界が少しでもきれいになればいいなと思った。これから私は学園に戻らないといけない。学園に戻らなければ私の眼鏡をキャッチすることができない。私の眼鏡はこれから愛をうたう。眼鏡を心の中で呼んだ気がした。そうすると新しい先生が現れた。その先生は私に助言をくれる。そして私に意味不明な言葉をつぶやいた。
「眼鏡が盗まれる」
いや眼鏡は盗まれていないでしょう。きっとだけど眼鏡はこれから降ってくるのでしょう。だってあの歌がそう言っていたから。何度も聞いた。その歌のなかの一つのフレーズ。「眼鏡が彗星のスピードで降ってくる」眼鏡はもうこれ以上ないくらいに大きくなっていた。眼鏡がこれから音とともにやってくる。私の愛しいアイドル。眼鏡が彗星のスピードで降ってくると歌う。いや予言した彼女の名はアルマ。超新星のスターで、今巷で一番人気のあるアイドルだ。
また音が聞こえてくる。私の耳はその音だけを逃がさなかった。アルマの歌だけは心に直接響いてくる。愛の伝道師。新しい私の神様。私はアルマに会える日を夢見ていたけどそのためには彗星のスピードで降ってくる眼鏡をキャッチしないといけない。そうしないとだめなのだ。それは決まっていることなのだ。あ、天に一つ明かりが見えた。
「私の夢は。この世界の人々すべてに愛をプレゼントして、それで戦争や飢餓をなくすことです!」
頭のなかでアルマが叫んだ。
その瞬間頭のなかの何かが爆発して私は爆ぜた。まただ。また私は強制的に眠らされる。そしてその瞬間アルマは私の目の前に現れる。そして、いつもの言葉をつぶやく。「眼鏡が彗星のスピードで降ってくる」
時間が巻き戻る。今は15:56。また私はループしていることを悟った。そう。時間が巻き戻っているのだ。私は同じ日に閉じ込められた少女。
「あなた昨日も学校こなかったわね?そんなんでいいと思ってるの?卒業できないわよ!」
学校の先生はまた私に語り掛けてきていた。何を言っているのだろう。私は走り出した。また学園に向かわないといけないから。空から落ちてくる眼鏡をキャッチしないといけない。そしてアルマに会わないと。このループから抜け出せない。

「あ~。彼女は何を言っているのかしら。一日がループしてるとかなんとか。昨日も今日も学校さぼってるし。お母さんはどうしてるのかしら。それにしても彼女かわいそうね。生みの親には早くにしなれ。育ての親のアルマには虐待されていたんだから」

誰も助けに来ない。地下室では同じ日々が続いていた。
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