私はあなたがいいのです

悩み

　家に帰ると，シャワーを浴びて部屋にこもった。ご飯を食べないのかと何度も言われたが，今日はそんな気分にはなれない。かといって，部屋にいると何度も頭の中で美月の母の言葉がこだまする。私は一時の感情で美月に思いを寄せているのだろうか。確かに，今まで女の子を好きになったことなんてなかったし，今でも女の子が好きとは言い切れない。ただ美月のことが好きだと言い切れるのは確かだ。しかし，それが今だけの特別な感情なのだと言われたら，それは絶対に違うとも言い切れない。自分のことが分からない。ただ，美月の親には目の敵にされて，応援されていないことだけは確かだ。
「お願いだから美月に近づかないでほしい。」
遠慮がちに，しかし強い意志を持って発せられた美月のお母さんの言葉が頭から離れない。
どうしたら良いのか分からない。ベッドにもぐりこみ，布団を頭の上までかぶって朝が来るのを静かに待った。