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制服と汗
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クローゼットを開けて,タンスの下着入れに使っている段に指をかける。
そこから花柄でフリルのついたブラジャーを手に取った。
昨日のお風呂あがりに履いた下着は,白色にした。
確認しなくてもそのことははっきりと覚えている。
普段は,手前から順番に何も考えずに下着を取るのだが,昨日は違った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「茜,後ろのエロがっぱが鼻の下伸ばして下着見てたで」
私は顔を真っ赤にして,「どうしてもっと早くおしえてくれなかったの」と菜々美を問い詰めた。
今日から気温がグッと上がると天気予報士の綺麗なお姉さんが言っていたので,慌てて半袖のカッターシャツを取り出して上着も羽織らず,いつもしている姿見での着こなしチェックもせずに登校した。
運悪く黒の派手な下着を身につけており,薄手のシャツは透かせて下着のラインをくっきり浮かび上がらせていたのだ。
「ほんとうける。いつもは爆睡かましてんのに,今日は一睡もせずにペンを握りしめて前だけを見てんだから。焦点は黒板よりもずっっっと手前にあったけど」
げらげら笑いながら,私の後ろの席に座っている樋口くん(彼のあだなは今日からエロがっぱになってしまった)の様子を話す菜々美にパンチを入れながら,「朝教えろよ!」と文句を垂れた。
「幸せそうだったし,それに,どうしようもないじゃん?」
「一日中楽しんでたんでしょ。ほんと性格悪い。てか,分かってたら体操服とか着てたし」
「えー,くそださいロゴが透けてでも? まあ一人の男を幸せにしたってことで,あんたはいいことしたよ」
沈んでいく夕日に頬を照らされながら,電車で通学している菜々美と駅まで続く道を歩いた。
この前まで枝いっぱいに花を付けていたソメイヨシノは,いつしかピンクのじゅうたんを作り、その痕跡もきれいに消して青々とした葉が残るだけとなった。
次に桜が咲くのを見るころには,大学受験を意識して花見とか言ってられなくなるんだろうな,と思うと,花見やピクニックを楽しんでおけばよかったと思う。
何でもない毎日がどうしようもなく楽しくて,普通の生活を普通に送る,普通の女子高生。
たまには年頃の悩みを抱えたり落ち込んだりすることもあるけれど,それも人並みで,自分ほど癖のない人はいないと思っていた。
この時は,まさか自分がおかしくなって頭を抱えることになるなんて,微塵も思ってもいなかった。
そこから花柄でフリルのついたブラジャーを手に取った。
昨日のお風呂あがりに履いた下着は,白色にした。
確認しなくてもそのことははっきりと覚えている。
普段は,手前から順番に何も考えずに下着を取るのだが,昨日は違った。
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「茜,後ろのエロがっぱが鼻の下伸ばして下着見てたで」
私は顔を真っ赤にして,「どうしてもっと早くおしえてくれなかったの」と菜々美を問い詰めた。
今日から気温がグッと上がると天気予報士の綺麗なお姉さんが言っていたので,慌てて半袖のカッターシャツを取り出して上着も羽織らず,いつもしている姿見での着こなしチェックもせずに登校した。
運悪く黒の派手な下着を身につけており,薄手のシャツは透かせて下着のラインをくっきり浮かび上がらせていたのだ。
「ほんとうける。いつもは爆睡かましてんのに,今日は一睡もせずにペンを握りしめて前だけを見てんだから。焦点は黒板よりもずっっっと手前にあったけど」
げらげら笑いながら,私の後ろの席に座っている樋口くん(彼のあだなは今日からエロがっぱになってしまった)の様子を話す菜々美にパンチを入れながら,「朝教えろよ!」と文句を垂れた。
「幸せそうだったし,それに,どうしようもないじゃん?」
「一日中楽しんでたんでしょ。ほんと性格悪い。てか,分かってたら体操服とか着てたし」
「えー,くそださいロゴが透けてでも? まあ一人の男を幸せにしたってことで,あんたはいいことしたよ」
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何でもない毎日がどうしようもなく楽しくて,普通の生活を普通に送る,普通の女子高生。
たまには年頃の悩みを抱えたり落ち込んだりすることもあるけれど,それも人並みで,自分ほど癖のない人はいないと思っていた。
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