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最初の試練

初めての冒険㉒~誇り高き戦士~

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 「この男は,我々の命を,興味本位で,自分の欲を満たすために狙ってきたのです」

 自分の中にある正義を盾にして,ジャンは胸を張っていった。自分は誇り高き戦士であるかのように。

「私は,死にそうな人を放っておくような人にはなりたくもありませんし,そんな人は軽蔑します。どうか,私の生き方を尊重していただけませんでしょうか。きっと,アトラス教団の考えに賛同いただける方であるならばご理解いただけると思います。それに,とてもじゃないけれど,あなたのことを非人道的で冷徹な男として認識はできませんが,それは私の思い過ごしだったでしょうか」

 あざとさを責めるぎりぎりの上目遣いでアトラス様がジャンに問いかけると、ジャンは直立して騎士としての佇まいで答えた。

「おっしゃる通りでございます。アトラス様。その寛大なお心と仏のような思慮深さ,そしてクレオパトラすらも嫉妬するその美貌に惹かれて,世の者どもはあなた様の靴を舐める覚悟でミジンコほどの価値しかない生命に火山が噴火するかの如くの情熱をたぎらせているのであります。どうか,もし勘違いされたのであるならば私の失言を広大な海のようなその御心に免じて水へ,いや,海水へ流してください。・・・・・・ところで、その男を運ぶのは力仕事でしょう。私でよければお手伝いいたします」
「あなた,とてもユーモアに溢れた人ね。ありがとうございます。あなたとはまたどこかで合えそうな気がするわ。また,その時によろしくお願いしますね」

 そういうと,アトラス様はチチカカを自ら抱えて従者と共に歩いて行った。数秒後には,驚くことに異次元を感じさせる空間が出現してそこへ飛び込んでいった。
 その空間は,じいちゃんが入っていったあの空間と同じもののように見えた。
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