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新たな世界
ひかりの中へ
しおりを挟む村の果てまで走ると,そこにはまわりの景色とは不釣り合いな神殿があった。ところどころひび割れた外壁は構造的に何の問題も無いのだろうか。ちょっとした地震が起きただけでも崩壊してしまいそうな見た目が,その中にバイ楼とする足を踏みとどまらせる。
ずいぶんライアンとリンナはずいぶん前に到着していたらしく,二人の姿が見えたときにはリンナがライアンに小言を漏らしているところだった。リンナは走ってきたぼくたちに気付いてため息をついた。
「遅すぎ。あんたたち男でしょ? どうしてそんなに時間がかかるの? ほら,もうすぐそこに追手が来ているじゃない」
「後で,聞くから。・・・・・・早く,中に」
ぜえぜえと息を切らしながら言った。こんなに遠くにあるとは思っていなかった。何度も立ち止まって休もうとしたが,そのたびに鬼気迫る怒号に背中を押されてきたのだから,相手にしてやれないほどの追手がすぐそこ二迫っていることなど百も承知している。とにかく安全なところへ向かわないと。
「ついてこい! 光の中に飛び込めば,そこで未知なる冒険が待っている!」
ライアンはそう言って一歩神殿に踏み込んだところで立ち止まり,こちらを振り返った。
「行くから! いいから早く!」
ご飯処で自分一人だけ飛び出していったことが不意によぎったのだろう。さすがに取るべき行動は分かっている。ぐずぐずしている暇はないのだ。もう村人達はすぐそこに来ている。
神殿に入ると,何にも仕切られていない大きな空間があるだけだった。その部屋の中央に円陣のような光が筒状に伸びて光を放っている。
「あそこに入れば良いのか?」
ライアンに問いかける。
「当たり前でしょ? なにグズグズしてるの」
「大丈夫だよね?」
リンナや雄大が口々に思っていることを言う。
円陣の前で,神妙な顔をしてライアンが全員を見渡した。
「覚悟は出来ているな? 選択するんだ。これからお前達は今まで経験したことのない過酷な・・・・・・」
「どけろじじい!」
ライアンを突き飛ばしてリンナは円陣の中に身体を入れた。その瞬間,リンナの身体は光彩を放って消えてしまった。
神殿の中に村人が入ってきた。
→ 冒険に出る
皿洗いで許してもらえるか交渉する
えい,とライアンもまた円陣に飛び込んで消えてしまった。半分べそをかきながら雄大も続く。
迷っている暇はない。もとよりぼくは答えを決めている。コマンド操作の要領で矢印を選択し,冒険に出ることを選択した。
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