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新たな世界

妖艶な少女とエロ親父

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「ここ座っていいかしら?」

 三人で食事にありついていると,少し明るい茶色の髪をした女の子が声をかけてきた。年は高校生ぐらいだろうか。返事をする前に席に着いた彼女は,メニューを手に取ったままこちらをじっと見ている。なんだが観察しながらこちらの様子を伺っているようで少し不気味だ。熱心にこちらから情報を得ようとするこの子も,ぼくたちと同じ現実世界からやってきたのかも知れない。ただ,見た目だけでは分からないので確認しようとしたが,彼女はすごい剣幕でライアンに詰め寄った。

「さっきからどこを見てんのよ! このエロ親父!」

 メニュー表を投げつけられたライアンは持っていたグラスを服の上に落とし,衣服はびしょ濡れになった。

「何をする!」
「こっちの台詞よ。テーブルに近づいた時から足を見ていて,席に着いたら鼻の下を伸ばして胸元を見ていたじゃない! 加齢臭が気になる年して,何下心丸出しで少女を見ているのよ。このド変態!」

 鬼のような剣幕でまくし立てられ,ライアンは何も言い返せなかった。きっと,目の前の少女に圧倒されただけではなくて,言われていることに心当たりがあったのだろう。
 確かに,この少女は控えめに言っても魅力的だった。一連のやりとりからかなりの気象の荒さは想像に難くないが,ぱっちりとした目に綺麗な二重で,綺麗な茶色い瞳をしていた。きっと見つめ合ったら目を合わせるのも照れくさくて不自然に視線をそらしてしまうだろう。肩甲骨のあたりまで伸びた髪の毛は少し明るい茶色だが,染められたものと言うよりは生まれつきの柔らかさがあった。長めに伸ばしているのであろう前髪は後ろに書き上げるようにセットしてあり,高い鼻と薄い唇がより一層うちに秘めた勝ち気な印象を強めていた。
 顔立ちがモデルのように整っているのに加えて,スタイルも抜群によかった。長袖の白いニットは少しゆったり目で着こなしているにもかかわらず,胸にかかるラインは重力を無視した膨らみがある。デニムのショートパンツが骨盤の形に合わせて膨らんでほっそりとしたくびれを想像させ,そこから伸びた足は白くて長い。まるでその足の綺麗さを際立たせるために存在しているかのようなシンプルなスニーカーは,少しだけ彼女のスポーティーで快活な印象を出している。
 ぼくは必死で,ライアンの二の舞にならないように視線を彼女の瞳に固定するように努めた。彼女と目が合うと,思わず照れくさくて目をそらしたくなるが,その視線が行き着く先が胸元であることを瞬間的に未来予測してぐっとこらえる。

「わたしが気持ち悪いおっさんがいるテーブルに我慢して近づいたのには訳があるの。だからできるだけ存在感を消してくれるかしら? わたしが用があるのはこの二人」

 キッとライアンを睨み付けたまま人差し指と中指でぼくと雄大は指名されている。訳も分からず「はい」と返事をして二人で背筋を伸ばしていた。
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