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第二部 復興編
15.ガルデーンの特産物
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俺とライド王子は、子供達を追いかけて花を摘んだ場所を教えてもらった。
「ここだよっ!」
「たくさん咲いてるんだ」
手を引かれてついた場所は、町中の住宅街の一角に自生している花畑だった。
「これは、ステキな場所ですね」
「こんな所にあったのか。どうりで見たことなかった訳だな」
俺達は町の外をグルっと囲む畑でずっと作業していたから、住宅街には足を踏み入れてなかった。
「アキラ、この花で何をするのですか?」
色とりどりの花畑をバックに、目をキラキラさせてるアイドル様が眩しい。
ヤメテ、目が眩むから。
「新しい遊びだよ。この土地の特産にもなると思う」
ライド王子に防水性のある皮で作った手袋を持ってきてもらうように頼み、俺は子供達に向き直った。
「よーし、お前達!これから新しい遊びを教えてやるぞ」
「新しい…遊び?」
「ここで遊ぶの?」
キョトンとしている子供達に、家から大きなタライと水を持っておいでと頼む。
他にはヒモと、普段着ているシャツやスボンを持ち寄ってもらう。
「さあ、みんなよく見てるんだぞ?」
花畑の中から、俺は青い花を選んで摘むと、水を張ったタライに落としていく。
防水手袋をした手で水中で花弁を擦り潰すと、インクのように青色が広がる。
「わ~青くなった、キレイ!」
ビックリしている子供達に、それぞれのタライに一色の花を選んで入れるように指示した。
ライド王子も手袋をして、オレンジ色の花を摘んで入れた。
子供達は手袋なんぞそっちのけで、バンバン花を潰している。
ありゃりゃ、手が染まってる。
けどまあ、毒ではないし数日で落ちるからいいか。
「よし、次はシャツのいろんな場所をヒモで縛るんだ」
「どこでもいいの?」
「いいぞ~。丸めてから縛ってもいいし、摘んで縛ってもいいぞ」
俺がやってみせると、子供達はキャッキャッと楽しそうにヒモと格闘を始める。
どうなるのか全く分からなくても、面白いらしい。
近くにいた親や大人達も、なんだなんだと興味深そうに寄ってくる。
「みんなもやってみてくれ」
ライド王子が声を掛けて、更に人が集まる。
「さあみんな、好きな色のタライに漬けるんだ」
子供達は、自分の持って来た服を好みの色の水に浸す。
大人達も、持っていたハンカチやタオルを縛って色水に入れている。
このまま、しばらく浸けたままにしておけばいい。
丁度そこに、兵士達が昼飯を運んで来たので、子供達と一緒にワイワイとパンや果物を食べる。
子供達は、染まった手をお互いに見せ合って笑っている。
「あれ?水が飛んだかな」
ふと隣の女の子の頬が一ヶ所赤く染まってるのを見つけて、布で拭いてあげたが取れない。
「もう染まっちゃったか~……あ、そうだ」
俺は気にしている女の子の手を引いて赤色のタライに近づくと、人差し指だけ水につけて頬の赤く染まった場所にチョンチョンと形を追加した。
「よし、そのまま動くなよ?」
女の子が持ってる手拭いを頬にそっと当てて水分を吸わせると、手拭いに可愛い花の形がプリントされた。
「ほら、この形がほっぺに付いてるぞ?」
「わあ、このお花模様が?嬉しいっ」
ぱあっと笑顔になった少女に、ほっとした。
これなら笑われたりしないだろう。
すぐに走っていって他の子達に見せると、みんなが可愛い~!と騒いでる。
「やりますね、アキラ」
人差し指だけ赤く染まった手を拭いていると、ライド王子がニコニコしながら寄ってくる。
「怪我の功名だよ」
女の子は、からかわれたりいじめられたりしたら可哀想だからな。
妹を持つお兄ちゃんとしてはその辺、気を使う訳よ。
我が妹は強くて、軽く返り討ちにしてたけどな。
「兵士のお兄ちゃん、私も描いて!」
「私も、私も~!青いお花がいい」
この後、少女達に囲まれたのは想定外だった。
俺に絵心があると思うな!
「ここだよっ!」
「たくさん咲いてるんだ」
手を引かれてついた場所は、町中の住宅街の一角に自生している花畑だった。
「これは、ステキな場所ですね」
「こんな所にあったのか。どうりで見たことなかった訳だな」
俺達は町の外をグルっと囲む畑でずっと作業していたから、住宅街には足を踏み入れてなかった。
「アキラ、この花で何をするのですか?」
色とりどりの花畑をバックに、目をキラキラさせてるアイドル様が眩しい。
ヤメテ、目が眩むから。
「新しい遊びだよ。この土地の特産にもなると思う」
ライド王子に防水性のある皮で作った手袋を持ってきてもらうように頼み、俺は子供達に向き直った。
「よーし、お前達!これから新しい遊びを教えてやるぞ」
「新しい…遊び?」
「ここで遊ぶの?」
キョトンとしている子供達に、家から大きなタライと水を持っておいでと頼む。
他にはヒモと、普段着ているシャツやスボンを持ち寄ってもらう。
「さあ、みんなよく見てるんだぞ?」
花畑の中から、俺は青い花を選んで摘むと、水を張ったタライに落としていく。
防水手袋をした手で水中で花弁を擦り潰すと、インクのように青色が広がる。
「わ~青くなった、キレイ!」
ビックリしている子供達に、それぞれのタライに一色の花を選んで入れるように指示した。
ライド王子も手袋をして、オレンジ色の花を摘んで入れた。
子供達は手袋なんぞそっちのけで、バンバン花を潰している。
ありゃりゃ、手が染まってる。
けどまあ、毒ではないし数日で落ちるからいいか。
「よし、次はシャツのいろんな場所をヒモで縛るんだ」
「どこでもいいの?」
「いいぞ~。丸めてから縛ってもいいし、摘んで縛ってもいいぞ」
俺がやってみせると、子供達はキャッキャッと楽しそうにヒモと格闘を始める。
どうなるのか全く分からなくても、面白いらしい。
近くにいた親や大人達も、なんだなんだと興味深そうに寄ってくる。
「みんなもやってみてくれ」
ライド王子が声を掛けて、更に人が集まる。
「さあみんな、好きな色のタライに漬けるんだ」
子供達は、自分の持って来た服を好みの色の水に浸す。
大人達も、持っていたハンカチやタオルを縛って色水に入れている。
このまま、しばらく浸けたままにしておけばいい。
丁度そこに、兵士達が昼飯を運んで来たので、子供達と一緒にワイワイとパンや果物を食べる。
子供達は、染まった手をお互いに見せ合って笑っている。
「あれ?水が飛んだかな」
ふと隣の女の子の頬が一ヶ所赤く染まってるのを見つけて、布で拭いてあげたが取れない。
「もう染まっちゃったか~……あ、そうだ」
俺は気にしている女の子の手を引いて赤色のタライに近づくと、人差し指だけ水につけて頬の赤く染まった場所にチョンチョンと形を追加した。
「よし、そのまま動くなよ?」
女の子が持ってる手拭いを頬にそっと当てて水分を吸わせると、手拭いに可愛い花の形がプリントされた。
「ほら、この形がほっぺに付いてるぞ?」
「わあ、このお花模様が?嬉しいっ」
ぱあっと笑顔になった少女に、ほっとした。
これなら笑われたりしないだろう。
すぐに走っていって他の子達に見せると、みんなが可愛い~!と騒いでる。
「やりますね、アキラ」
人差し指だけ赤く染まった手を拭いていると、ライド王子がニコニコしながら寄ってくる。
「怪我の功名だよ」
女の子は、からかわれたりいじめられたりしたら可哀想だからな。
妹を持つお兄ちゃんとしてはその辺、気を使う訳よ。
我が妹は強くて、軽く返り討ちにしてたけどな。
「兵士のお兄ちゃん、私も描いて!」
「私も、私も~!青いお花がいい」
この後、少女達に囲まれたのは想定外だった。
俺に絵心があると思うな!
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