欠片を集める君へ

最後に卒業する君へ

1-7

　午前一時。
　ぼんやりと白熱灯に照らされた街を歩く。
　
　中学卒業後、この街に降りたのは初めてだ。
　あっという間に卒業から七年がたち、あの頃若葉のように瑞々しかった僕達も今や煤けた大人の入り口に立っている。
　
　たった七年、されど七年。
　この町の至る所に、過ぎ去った時間の足跡が残されている。
　唯一の娯楽だったスーパーの庇の下のゲーセンコーナーはベンチ置き場に、自動販売機は四台並んでいたはずが一台に。町内掲示板の中身はよく見ると年号が一つ前だ。
　スーパーを越えて、山手に進む。
　学生御用達だった安くて美味いたこ焼き屋は廃品置き場に、秋になると一面黄色い葉を落としていたイチョウの木は乾いた切り株になっていた。
　
　たった七年、されど七年。
　僕の卒業した中学も時間の流れに適応できなかった側だったんだろう。
　生徒数減少による統廃合が決まった我が母校。今日が最後の卒業式だった。