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★果肉入りストロベリー(3)

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「……あの、これでいいですか?」

 もったいぶっているわけじゃなくて、どうするのが正解なのかよくわからなかったから寝転んで服の裾を少しずつ捲った。
 始めはベッドの側へ膝をついてじっとしていたユウイチさんも、待ちきれなくなったのか、じりじりと身を乗り出してきて、最終的には俺の胸のすぐ側まで顔を近づけていた。
 
「ふう……」
「それってなんのため息なんですか……!?」

 充分満足してしまったとでも言うような、意味深なため息。俺なんかの体を見ただけでどうしてそんな反応が出来るんだろう?
 たぶん、俺の乳首のことを、好きだって、そういう目で見てくるのは世界中探してもユウイチさんだけだ……。だんだん荒くなっていくユウイチさんの呼吸や、ギラギラした強い視線に対して、そう思わずにはいられなかった。


「少しだけ塗ってみてもいいかな」
「……どうぞ」

 アイスクリームを少し体に塗られて、それを舐めとられるくらいどうってことない。
「ユウイチさんの、おちんちんが入ってます」と言わされたことだってあるし、両手に自分のモノとユウイチさんのモノを握ったことだってある。もっと恥ずかしい、いやらしいことはいくらでも経験しているうえに、そもそも恋人であるユウイチさんには俺の何もかもを見られているんだから、こんなことでオロオロしちゃダメだ……。

 そう自分に言い聞かせているのに、ドキドキと鼓動は早くなっていくばかりだった。


「わっ……!?」
「冷たい? 大丈夫?」
「……大丈夫」

 ぺちゃりとした感触と同時にやって来た冷たさには少しビックリしたけど、我慢出来ない程ではない。きっとアイスは俺の体温ですぐに溶けてしまうだろう。

「なんだか、変ですよね。あはは……」

 ユウイチさんは、寒くはないかとか、乳首に異常はないかとか、そんなことを気にかけてくれているけれど、それよりも俺にとっては、こんな格好を見られていることの方がよっぽど問題だった。
 
「どうして? すごく似合ってるよ」
「ええ……」

 乳首にイチゴ味のアイスクリームを塗られて「似合うよ」と褒められるのは喜んでいいことなんだろうか? ユウイチさんがわざわざスプーンで探し出したのか、両方の乳首に真っ赤な果肉が付いているのが、なんとも恥ずかしい気持ちになる。

 これはアレだ。パンツやオナニーを見せるのとは全然違う恥ずかしさだ。恋人どうしの時間なのに、なんだかすごくいけないことをしているような気がする。

 変な空気にならないように、笑って誤魔化してみたけどユウイチさんは真面目な顔をしたままだった。たまに、二人で過ごしている時に「会社からか……ちょっと、ごめん」と電話で難しい話をしている時と同じ表情だ。……仕事と同じくらい真剣な眼差しを向けられて、どうしたらいいのかわからなくなってしまった俺は、額にかかる髪をよけるふりをして、腕で顔を隠した。


「すごく、マナトの乳首によく似合ってる……。まあ、バニラとストロベリーは大本命だったけど……。それにしても可愛すぎる……」
「うう……」
「少しだけ、このまま……」

 本当に少しだけだから、ともう一度念を押した後、ユウイチさんは俺の乳首を口に含んだ。あっ、と俺が声を漏らしたのとほとんど同じタイミングで、乳首に強く吸いつかれる。
 可愛い可愛いと乳首を舐められたり、吸われたりするのは初めてじゃないのに、「ああ、食べられてしまった」と思ってしまったことが自分でも不思議だった。

「あっ、ん、うっ……」

 ちゅう、と強く吸われた後に舌を押し当てながらぺろぺろと乳首を舐め回されると、じっとしているのが苦しいくらい、気持ちがいい。
 ユウイチさんは俺の想像よりもずっとおいしそうにアイスを塗った俺の胸を舐めていた。イチゴアイスをすっかり舐めとってしまって何の味もしないはずなのに、うっとりと目を閉じて味わうように舌先で乳輪をなぞった後は、ちゅぱちゅぱいやらしい音をたてながら乳首を吸う。

 もう片方の乳首も指の先で弄られると、すごくすごく恥ずかしいと感じていた気持ちがだんだん薄れていく。
 限界まで裾を捲り上げたせいでクシャクシャになっているTシャツをぎゅっと握りしめながらじっとしていると、イチゴの甘くて濃い匂いが鼻を掠めた。

「んぅ……!」
「……好きだよ、最高」
「ああっ……!」

 ぼんやりと頭に浮かんだ、アイスクリームが? という問いかけは、乳首に何度も優しくキスをされて結局言葉にはならなかった。……「マナトのことが好き」だって、口に出さなくても俺にわかるように伝えてくるから、こんな時、ユウイチさんは本当にズルイ。

 セックスする度に「好きだよ」ってユウイチさんからいっぱい愛されているからだろうか。ユウイチさんから好きだって言われると、俺は何もかもを許してしまいたくなる。
 きっと、好きだって言葉と気持ちいいことをいつもセットで与えられているから、俺の体と心はそういう反応をするようになってしまったんだと思う。
 
 乳首を見せつけるようにしながら、何度も腰を浮かせて「おっぱいをペロペロしてください」とねだった。

「ユウイチさん、もっとして……、俺のこと食べて……」

 ユウイチさんは返事もしないで俺の着ているものを全部脱がせた。そして、俺の乳首にはどろどろに溶けたアイスクリームがかけられた。


「あの……」

 ユウイチさんはすごく真面目な顔でアイスがたっぷりかかった俺の乳首を眺めるだけで、ピクリとも動かなかった。
 この状態は正解なのかどうか、俺には全然わからない。アイスクリームは完全に溶けてしまっているうえに、バスタオルやベッドも汚してしまいそうだったからだ。

 自分だけが裸で、溶けたピンク色のアイスが胸にたくさんかかっているのがただただ恥ずかしい。下手に動くことも出来ずにじっとしていると「エッチだ」とユウイチさんがボソリと呟くのが聞こえた。

「俺にはよくわからないです……」
「そうか……。すごい完成度だけどな……」
「あっ……」

 アイスを塗り込むように、ユウイチさんの指の先が乳首をくるくると撫でる。何も塗っていない時や、ローションをつけている時とは違う気持ちよさと、イチゴの甘い匂い。溶けたアイスは俺の肌をつたって、たらたらと体の下へ垂れていく。

「ちょっと、起きてもらっても?」
「えっ?」

 今? とまごついている間にユウイチさんは俺の体を起こして、それから四つん這いにしてしまった。
 無理やりそうされたんじゃない。「そうそう、上手だよ」と優しい声に導かれて、俺は何も考えずに、動物みたいな格好でお尻を突き出していた。
 ユウイチさんが言うように、やっぱり俺の体はスケベなことが大好きなのかな。今さらそんなことを考えて、今の自分の状態を直視出来ずにいると、追い打ちをかけるようにユウイチさんから「おっぱい、すごくエッチだよ」と耳の側で囁かれた。

「ひっ……」
「こんなに垂らして……、なんてことだ……」
「えっ! いやだっ……! いやっ……」

 乳首から垂れたアイスは、ぽたりぽたりとバスタオルにピンク色のシミを作った。
アイスを塗られたんだから仕方がない、と頭ではわかっているのに、ユウイチさんにその様子を見られながら「スケベな乳首をしてる」と言葉で責められると、身体中がどんどん火照っていく。
 言わないで、嫌だ、とイヤイヤしながら、性器が痛いくらいに立ち上がっていることはユウイチさんにもきっとバレてしまっている。耳に唇で触れられながら「可愛い」と言われるたびに、俺はみっともない声を上げて、ベトベトな体のままひくひくと腰を揺らした。


「ほら、自分でも見てごらん」

 後ろから体を捕まえられて、ベッドの上で膝立ちにさせられる。収縮して硬くなった乳首も、勃起した性器も、何もかもが丸見えになってしまう格好だ。

「いやだあっ、やだよう……」

 首を横に振って恥ずかしがっていると、後ろを振り向かされて、深いキスで唇を塞がれた。先走りで塗れたモノを扱かれながら、俺は何度も体を仰け反らせて達してしまった。

 ユウイチさんはいつの間に俺の「嫌」が本当なのかそうじゃないかの見分けがつくようになったんだろう。こんなに恥ずかしくて気持ちがいいことを覚えさせられたら、忘れられなくてクセになってしまう。

 全部を出しきって全身が敏感になっているのに、汚れたままの乳首をきゅーっと摘まみながらユウイチさんは俺の背中やうなじへ唇で何度も触れ続けた。強烈な快感の後の余韻でなんだか、頭の中がふわふわして、気持ちがいい。

 きっと今だったら何をされてもオーケーしてしまうのに、ユウイチさんは「おっぱい、すごく可愛かったよ」と言い聞かせながら、じわじわと体が溶けていくような快感を俺に与えるだけだった。


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