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★小さくて薄い(2)※同人誌より

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「成人して体格が出来上がっているのに、ここまで乳首も乳輪も小さい子なんてそうそういない。こうして近くで見ても未だに信じられないな」
「うう……」
「色も……元々の肌の色とほとんど変わらない。可愛い……。成長期はいつだったの?」
「いやっ、言いたくないです……!」
「可愛いな……。こんなに小さいのに、ちょっと触られただけですぐにぷくっとして、誘惑してくるんだから……。真面目そうなのに本当にスケベな体だな……」
「やめてください……」

 全身に鳥肌が立って真冬でも無いのに本気で寒気がした。キモイ、怖い、キモイ……! お金をもらっているんだから、これぐらい我慢しないといけないのはわかっているけど、「誘惑してくる」「スケベな体」なんて見に覚えのない気色の悪いことを言われるのは悔しくてたまらなかった。

 今にも乳首に息が吹きかかりそうな距離で見つめられながら、生田さんからのセクハラに耐え続けるというプレイがひたすら続いた。
 時々「触られる」と身構えてぴくんと体が反応するのに、生田さんはいつまでも俺に触れようとはしなかった。もしかしたら、俺は試されているんだろうか。教えたとおりにおねだりが出来るかどうかを生田さんはチェックしているのかもしれない。だから、すごく迷ったけど、恥ずかしい気持ちをこらえて「俺のおっぱいを触ってください」と頼んだ。それなのに、生田さんからは「今、乳首をじっくりと見ている最中だから少し待っててもらっても?」と断られてしまった。

「え~っ! どういうこと……? へ、変態のくせに……」
「ん……? 迫力は全くないけど、そういうおっとりした口調で罵倒されるのもなかなか悪くないな」

 俺は本気でムカッとしているのに、どうやら生田さんは勝手に満足しているようだった。生田さんの発する一言一言に俺だけが動揺して怒ったり怖がったりするのはべつに珍しいことじゃない。バイト中なんだから、これくらい我慢しないと……となんとか悔しい気持ちを落ち着かせた。

「鈴井さんはおっぱいがずいぶん敏感みたいだから、服の上から触るくらいがちょうどいいのかな? 直接だと感じすぎる?」
「んっ……、んんっ……!」

 指でぴんと乳首を弾かれただけで、俺の体はぴくりと反応してしまう。ようやく触ってもらえた、と喜んでいるような反応が嬉しかったのか生田さんはニヤニヤしている。さわさわと俺の乳輪を撫でながら、「普段オナニーする時も触ったら?」生田さんは乳首を自分で開発することを俺に勧めてきた。

「う、んうっ……いやっ、やだあ……」
「どうして? 感じすぎるから怖いのかな?」
「ひ……、んうっ……」
「本当に可愛いな……」

 親指と人差し指を使って乳首を摘ままれながら「どう?」「気持ちいい?」と聞かれるのにこくこくと頷いた。やっぱり、俺の乳首は変なのかもしれない。嫌だ、恥ずかしい、と感じているのにこちょこちょとくすぐるように撫でられたり、押し潰されたりすると、どんどん敏感になっていって、もっと触って欲しくなる。自己開発、なんてしたことがないし、女の人とのセックスでふざけて触られた事はあるけれど、「やめてよー」って身を捩っていたはずなのに。

「う、あっ……やめて、やだあ、くすぐったい……」
「どこがくすぐったいのかな」
「うう……、おっぱいが、くすぐったいです……。あっ、ああっ……! 待って、もう無理です、だめ、乳首、ほんとにだめですっ……」

 自分の胸をおっぱいと呼ばれることに強いストレスを感じているのに、生田さんの唇で思いきり吸い付かれると小さな声で喘いでしまうくらい気持ちいい。

 生田さんは俺の体をしっかりと抱いた後、「ペロペロさせて」と胸元に顔を埋めるようにして乳首にしゃぶりついてくる。胸が平たいうえに乳首だって小さいのだから、きっと扱いづらいはずだ。それなのに、薄い唇で軽く挟んだり、舌でべろべろと舐め回したりした後「可愛いおっぱいだね」と何度も胸の先へキスが繰り返される。

「いやっ……やだあっ……」

 これ以上されたらおっぱいが変になっちゃう。

 そんなことを一瞬でも考えてしまった自分自身に寒気がした。自分で自分の胸のことを「おっぱい」と認識してしまうなんて、どう考えても生田さんに毒されているとしか思えない。

「いやっ……。んうっ……」

 ちゅぱちゅぱ音を立てて強く吸われるたびに、なんだか胸の先がびりびりする。もうやめて、と何度言っても生田さんは俺のことを離してくれない。ストップ、と言えばやめてくれるんだろうけど、きっとしらけてしまうってわかっていたから我慢した。

 普段、食べ慣れている大好きなお菓子の側で自分よりも大人の男の人に胸を吸われているなんて、すごくいけない事をしているような気がする。うっとりとした様子で俺の乳首を口に含む生田さんは、溜まっていた欲求を全部ぶつけるようにして、俺の体を強く抱き締め続けた。なんだか、さっき「疲れている」と言っていたのを思い出してしまう。本当にこんなことで癒されるのかな、と信じられない気持ちもあったけど、のけ反ったり、生田さんの顔に胸を押し付けたりを繰り返しながら、乳首への愛撫を受け入れた。

「ああっ……。待って、待って、生田さん、なんか、変……。んうっ……」
「……ん?」

 恥ずかしくて嫌なのに、気持ちよすぎて苦しい。待ってください、と思わず生田さんの服を強く掴んだ。生田さんからどこが変なのか言ってごらん、と促される。

「うう……」

 乳首だけでここまで感じてしまうのが怖い、と正直に伝えるかどうか迷った。口にしてしまったら、乳首を男の人から可愛がられて悦んでしまう体になってしまったことを認めてしまうような。そんな気がしてどうしても躊躇してしまう。

「や、やだっ……」

 生田さんの腕を掴んで何度か首を横に振った。真っ黒な生田さんの瞳が俺のことをじっと見つめている。こんなふうに、まばたき一つせずに視線を向けられるのにはいつまでたっても慣れない。胸の先がじりじりと疼くような感覚と合わさって、顔中が熱い。頭がぼんやりする。
「わあっ……!?」

 口ごもってばかりの俺を待つのがじれったくなったのか、ラグの上へ押し倒される。無言でズボンをずり下ろそうとしてくる生田さんが怖くて、仕事中だということを俺はすっかり忘れてしまっていた。無理やり挿入されたりしないよね、だって、ちゃんと約束してもらってる……。そんなことをグルグル考えるのに一生懸命で体が固まってしまう。

「まだ緊張してる?」
「あ、んっ……、ち、ちが……」

 わかっていたことだけど、生田さんは俺に乱暴なことはしなかった。傷一つない大きな手で俺と生田さん二人分の……を包み込んでゆっくりと扱いていく。唾液に濡れた乳首がテラテラと光っていた。

「あっ、ああっ……」

 おっぱいで上手に気持ちよくなれたね、と耳の縁を軽く唇で挟まれる。許されるのなら「おっぱいじゃない!」と喚いてしまいたかった。もちろんそんな事は出来るはずがなくて、のしかかるようにして覆い被さってくる生田さんの下で、ほとんど身動きもとれないまま射精を促す手のひらに逆らえずにいた。

 ◇◆◇

 エッチすぎて目に毒だ、と生田さんに服を直してもらった時には恥ずかしくて顔から火が出そうだった。

「あ、すみません……。少しぼーっとしちゃって……」

 慌てて飛び起きた俺をじっと眺めてから「おっぱいは平気?」と生田さんは真面目な口調で尋ねてきた。「ほうっておいてください!」と俺が騒いだとしても、騒ぐ方がおかしい……という空気になってしまいそうな、それくらい真剣な表情と声色だった。

「平気です。なんともありません」

 先に射精してしまった後も、生田さんがフィニッシュを迎えるまで「貸して欲しい」と言われたから乳首をちゃんと提供した。いっぱい出したばかりの俺の体を静めるように生田さんはそうっと唇で乳首に触れた。ちゅっ、ちゅっ、と音を立てながら啄むようにキスをされるとなんだか頭の中がふわふわする。そのせいで、生田さんがフィニッシュを迎えた後も乳首をさらしたまま、なかなか起き上がることが出来なかった。

 可愛かったよ、と終わってから生田さんはたくさんチップをくれた。やっぱり俺には自分の乳首の価値なんてよくわからなかったけど、ありがとうございます、と遠慮なく受け取ることにした。

「……鈴井さんのおかげで、今日は熟睡出来そうな気がするよ」
「乳首を吸ったからですか?」
「それもあるけど……。昨日は鈴井さんに会うのが楽しみでよく眠れなかったから」
「えっ」

 物静かな口調でたんたんと喋る生田さんが、まるで遠足を楽しみにする子供のようにソワソワして眠れなかったというのがなんだか信じられなかった。

「本当に? 生田さんもそんなことあるんですか?」
「あるよ。いつもは疲れていて、倒れるように寝てしまうけど、昨日は全然眠れなかった」
「じゃあどうしていたんですか? 今日はお仕事大丈夫だったんですか?」
「いてもたってもいられなくなって、家中をコロコロで掃除したよ。……仕事はまあ大丈夫、エナジードリンクが意外と効くから……」
「ええ……」

 真面目な顔でコロコロを持ってゴミや埃を掃除する生田さんを想像したらなんだかおかしい。クスクス笑う俺を見て生田さんは少しだけ照れ臭そうにしていた。

「おやすみなさい。今夜はいっぱい眠れるといいですね」

 まだまだ上手くサービスも出来ないのに、そこまで楽しみにしてもらえているなんて。ビックリしたし、プレッシャーも感じるけど、嬉しくもあった。受け取ったお金は、そういう気持ちが込められている大事なお金なんだ、と思うと次はもっと頑張ろうと思える。

「鈴井さん、おやすみ。また呼んでもいいかな」
「もちろんで……、あのー……?」

 ちゃんと顔を見て挨拶をしてから帰ろうと思ったのに、なぜか生田さんと全然目が合わない。顔は間違いなく俺の方を向いているし、ちゃんと会話だって成立しているのに「聞いているのかな?」と不安になるような不思議な目付きだった。どうしちゃったんだろう? と顔を覗き込むと「今度はもっと別の……」と生田さんがボソッと呟くのが聞こえた。

「生田さん?」
「……今度はもっと別の場所をペロペロさせてもらおうかな」
「ひいっ……」

 全身に鳥肌がたったのと、「この人、俺の股間を見てるんだ」と気付いたのはほとんど同時だった。触られたことはあるけれど、まだしゃぶられたことはない。生田さんのを舐めるのは抵抗があるけど、その逆ならじっと我慢することくらい出来る。だけど、どうしてわざわざ「ペロペロさせて」という気色悪い言い方をするんだろう。

「か、帰りますっ……!」

 股間がぞわっとする感覚を我慢しながらそろそろと慎重に歩いた。生田さんはわざわざ玄関まで見送りに来てくれたけど、時々聞こえる「んっふ」という笑い声がただただ不気味だった。
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