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★夜デートと××××(7)

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「なんで……? 気持ちいいのに、俺、変……」

 もっとイキたいのにイケない、と困った様子でしがみついてくるマナトを抱き締める。
 どうやら乳首への刺激だけでマナトは何度か軽く達してしまったようだった。けれど、マナトは頭の中が真っ白になって全身がぐったりしてしまうような、深い深い快感で絶頂に達することをきっと求めている。それで自分の体が変になってしまったのだと、思っているのだろう。

「よしよし……。おいで……」

 ぼんやりしたままのマナトを抱き起こした後、汗でしっとりしてしまっているTシャツを脱がせる。エアコンをつけるか尋ねるとマナトは黙って首を横に振った後、もたれかかるようにして抱きついてきた。

「疲れた?」
「ううん……。すっごく気持ちよかった」

 えへへ、と微笑んだ後頬擦りするように顔を近づけてくるのが可愛い。心も体も充分成熟しているのに、こうして素直に甘えてくるところだけは変わらなかったのだと感じられて嬉しくなる。

「続きする?」
「うん。でも、ちょっとだけ休ませて……。まだ胸が変な感じがするから」

  乳首がずいぶん敏感になってしまっていることを恥ずかしそうにしながら打ち明けた後、それを誤魔化すようにはにかんで笑うマナトは、指の先でつついたら、そのままぷしゅりとしぼんでしまいそうだった。

 まだ慣れない快感と、それから自分が許容出来る行為の範囲が広がっていくことにきっと戸惑っているのだろう。マナト本人が困っているのは理解していたけれど、その様子が可愛くて、いじらしくて、思わず指先で頬に触れてしまった程だった。

「……もっとくっついて。胸には触らないから大丈夫」
「うん……」

 座った状態でおずおずと跨がってくるマナトとしっかりと抱き合う。マナトのペースに合わせようと、そのまま触れるだけのキスを二人で楽しんだ。
 普段、この格好で抱き合っている時は、たいてい繋がっていて、上に乗ったマナトが頑張って動いているか、下から激しく突き上げられたマナトがヘロヘロになりながらやっぱり頑張っているかのどちらかのため、こうやってゆったりくっついているだけ、というのは新鮮だった。

「好きだよ」
「あっ……」

 好きだと耳元で囁かれただけで、小さく肩を震わせてしがみついてくるマナト。乳首へ手を伸ばしたくなる気持ちを抑えながら、腰を撫で、マナトの体を捕まえているとお互いの性器が下着越しに触れあって、時々擦れあう。まだ射精していないはずのマナトのパンツの前はじっとりと濡れていた。
 相手の形も大きさも温度もお互いに伝わっていて、思いきりぶつけあって静めたいのに今日は最後まで出来ない。

 したいけどな、という気持ちを少しでも満たそうと小さな唇の隙間に舌を差し込むと、応えるようにマナトが舌を絡めてくれる。上顎をくすぐるとピクリと反応して声を漏らすマナトは、前後に腰を何度か揺らした。

「手でしようか?」
「ん……。ねえ、ユウイチさん」

 ここ使う? とマナトがもぞもぞと動かしたのは両方の足の爪先だった。

「……使うって?」
「あの……、よかったら俺の足に擦り付ける? 今日はせっかく靴下を履いているし……」
「え……、マナトはそれでいいってこと?」

 あれだけ股間を踏むことを今までは嫌がっていたのに、心変わりについて口にすることは憚られるのかマナトは「大丈夫」と言い、こくこくと頷くばかりだった。

◇◆◇

 使う? と言ってくれた通り、マナトはソックスを履いた足を貸してくれた。

 ベッドの上で向き合って座ったまま、投げ出されているマナトの足に下着越しの股間を擦り付ける。
 玉を潰してしまうことを何よりも恐れているマナトは投げ出したままの足に一切力は入れてくれない。自分の爪先や足の裏に硬いナニかが押し当てられるのを黙って耐えている。

 下ろしたての真っ白なソックスに包まれた爪先を見つめているとまだハタチだった頃のマナトが「スポーツ? 好きです。野球部だったし……。俺、こう見えて足も速いし、それに、パワーもあったから結構打てちゃうんですよね」と嬉しそうに話していたのを思い出す。何も知らない青年の爪先と足の裏を汚しているようでいっそう興奮した。

「ああ……、気持ちいい……」
「ユウイチさんの、すごく大きいね……?」
「……退屈させてしまっているかな。今度はマナトも……」
「あっ、待って……!」

 当然退屈して萎えているだろうと思っていたのに、マナトのパンツのウエスト部分からは勃起した性器の先端が飛び出していた。

「だ、だめ、見ないで……恥ずかしい……」

 必死にパンツを引っ張ってなんとか隠してしまおうと四苦八苦する姿は、大胆さや艶かしさとは無縁だった。パンツが伸びてしまうことを気にしていない手つきがずいぶん荒っぽいのがマナトらしい。

「恥ずかしくないよ。もっとよく見せて」
「あっ……」

 飛び出している先端には先走りが滲んでいる。指の先で塗り広げてやるとマナトは小さく声を漏らした。

「気持ちいい?」
「気持ちいい……」

 そうされるのを待ち焦がれていたかのように何度もマナトは頷いた。
 足を使われている間、マナトが何を思っていたのかはわからない。ただ、「気持ち悪い、怖い」以外の何かを感じてくれていたのかもしれない、と思うと「嬉しい」という気持ちとマナトへの愛しさがじわじわと込み上げてくる。

 乗って、とマナトを自分の体に跨がらせた後、密着したままお互いのモノを扱きあった。より強い快感を求めて手の動きを早くすると、それにリンクするようにマナトの手のひらが上下に激しく動く。マナトの体の重みと熱さを感じながら、時々お互いの性器を擦りつけあった。

「あっ、ああっ……」
「乳首、触ってあげるから、マナトも自分で触ってみて……」
「ひっ……、あっ、だめ、乳首触っちゃ、だめ……」

 消え入りそうな声でイヤイヤしながらマナトは空いている方の手で自分の乳首に手を伸ばす。そのまま、マナトの指先はつまみ上げて引っ張るような乱暴な動きを繰り返したため、そろそろ絶頂が近いのだとわかった。

「あっ、あっ、いやだっ、いやっ、おっぱい恥ずかしい……見ないで……」

 次はもっと恥ずかしい格好で、もっとエッチなことをするよ、と言い聞かせながら小さな乳首を強く摘まむと、マナトは体をのけ反らせて達してしまった。

◇◆◇

 使用済みのソックスを回収しようとしたところ、「自分で洗う」とマナトは頑なだった。

「どうして? 何も心配することはないのに?」
「……ダメ。変なことに使われそうだから」

 すでに充分変なことに使われた後なのだから、今さら何も気にすることはないのでは? という気がするものの、マナトはソックスを絶対に手放さない。

 可愛いマナトの頭の中ではいったいどんなことにソックスが使われているのだろうか。「ちょっと変なことについて詳しく聞かせてもらっても?」と粘ってみたが、「ヤダ!」とそっぽを向かれてしまった。
 きっと、真面目なマナトのことだから匂いを嗅ぐといったまっとうな使い方を思い浮かべて恥ずかしがっているのだろう。

「……大丈夫。ユウイチさんの大事な靴下だから、ちゃんと洗って返すから」
「あと十一足はあるから、そのまま洗わなくたってべつに構わないのに」
「えっ! どうしてそんなに持ってるの!? その、俺に履かせようと思って、前からたくさん集めていたってこと……?」

 もちろん前々から通販で注文しては勝手に想像で楽しんでいたし、なんならソックスどころか実はブラもすでに持っているが、聞かれていないことはこれ以上喋らない方がいい。「一足だけの注文だと送料が無料にならなかった」という説明でマナトはなんとか納得してくれた。



「ねー、ユウイチさん、スッキリして元気でた?」

 からかうような口調でそう聞いてくるマナトはどことなくニヤニヤしている。「ずいぶん喜んでいたねー」と冷やかしているようにも見えたが、たぶん、マナトが一番聞きたかったのは「元気でた?」なのかもしれない。

 優しいマナトに悩みを抱えていることを打ち明けてしまっていたし、それからはずっと気にかけてくれているのを感じていた。「二人で楽しめるなら」という理由でオーケーしてくれたコスプレも、好奇心からというよりは、本当は「それで元気になってくれるのなら」と思っていたのだろうか。



「……でたよ。間違いなく明日は朝から勃ってしまうだろうな」
「……もう」

 何を言ってるの、と元気いっぱいにマナトが笑う。何も言わずに自然体で寄り添ってくれていたマナトに応えようと口にした冗談だったが、一応伝わったのか「それならよかった」とずいぶん喜んでくれた。

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