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★特別なチョコレート(4)

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 ユウイチさんは、良いともダメとも言わずに、黙ったままだった。俺がユウイチさんのことを「早く~」と急かす前に、もう一度口付けられて、唇を塞がれてしまう。
 
「んっ、んんーっ……!」

 熱い舌で口の中をじっくりと味わうようにして舐め回されると、求められている気がするのに、全然先へは進んでくれない。
 もう何度もセックスはしてるし、少しくらい痛くたって我慢は出来る。じれったくって、自分でパンツを脱いでしまおうと腰を浮かせてモゾモゾやっていると、ユウイチさんは片方の手で俺の手首をそっと掴んだ。強い力ではないけれど、ダメだよ、と咎められているとなんとなくわかった。


「……マナトのことをたくさん満足させてあげるから、もっとゆっくり楽しもう」
「……うん」

 ようやく唇が解放されると、ユウイチさんにぎゅっと抱き締められた。
 お願いを聞いてくれないのは、ユウイチさんが意地悪ではなくて、優しいからだってちゃんとわかっているから頷くしかなかった。
 一人で先走って、それでユウイチさんのことを困らせるなんて、ダメだ。恥ずかしいと申し訳ない、両方の気持ちでじっとしていられなくて、ユウイチさんの肩にグリグリと額を押し付けた。それなのに、満足、という言葉に期待してしまって、顔がじわじわと熱くなってしまう。



「……マナトが自分でほぐした場所を、よく見てみたいな」
「いやだ、恥ずかしいよ……」
「少しだけ……」
「やだっ、……ん、んぅ……いやだあ……」

 見せてよ、と頬や唇にキスをされながら、太ももに勃起したユウイチさんの性器がぐりぐりと押し当てられる。
 どんな時だって俺の体を気遣って優しくしてくれるユウイチさんから欲求をぶつけられているように感じられて、ますます気持ちは昂った。それで「じゃあ、少しだけ……」と何度見られたって恥ずかしい場所をさらけ出す事をオーケーしてしまった。


「いつも舐め合う時みたいに、俺の上に来てくれる?」
「……はい」

 シックスナインの格好でこのままユウイチさんに全部を見られてしまう、と思うと心臓がドキドキと痛いくらいに激しく音を立てた。どうするべきか迷ったけれど、パンツは脱がないで、おそるおそるユウイチさんの上に乗った。

「……何度見ても、いい眺めだな」
「あっ……!」

 パンツ越しに割れ目を指の腹で撫でられる。内腿がぶるりと震えた。

「さっきはマナトが自分でパンツを脱ごうとしたからずいぶん焦ったよ」
「へ……?」
「……一気に脱がさないで、こうやって少しずつ脱がしていくのが堪らないのに」
「ひっ……いや……、見ないで……!」

 言葉通りユウイチさんは、少しだけ俺のパンツをずり下ろした。割れ目は丸見えなのに、全部脱がされたわけじゃないから、先走りでパンツはどんどん湿っていく。
 裸にされるよりマヌケな格好だと感じられた。本当にやめて欲しいのなら「イヤだ!」と強く訴えて逃げ出すことだって出来るはずなのに、まるで痺れてしまったように俺はユウイチさんの上から動けなかった。
 それどころか、「見ないで」と体が縮こまると、ユウイチさんを受け入れる場所が、きゅうっと、締まる。すごく恥ずかしかったけど、ユウイチさんをこんなに欲しがってる、ということを見せつけようと、躊躇いつつも自分から足を開いた。


「ここ、入れて……」

 さっきはユウイチさんに「よく準備をしてきた」と言ってしまったけど、本当は少しだけ不安な気持ちもある。体をよく洗ってから、ぐにぐにと穴の周辺を押した後に「えい」と思いきって入れてみた自分の指はユウイチさんの指や性器とは全然違っていて変な感じがした。
 それに、ちゃんとすぐ出来るように準備しないといけない、と頭ではわかっていたのに、「ユウイチさん好き、早くセックスしたいな……」という思いで、途中からはボーッとしてしまっていた。

 モジモジとしていると、割れ目にたっぷりとローションが垂らされた。

「どんなふうに、自分の指でしたの?」
「やだっ、聞かないで……!」
「見たかったなあ……」
「いやだっ……!」

 指を入れてるところを見せてよ、とユウイチさんから言われそうな気がして、シーツをぎゅっと握りしめていると、ユウイチさんの指先がとろとろになった割れ目を何度か往復した。

「くすぐったい……、あっ! あっ……」

 焦らされた後に、つぷ、といきなり太い指を挿入されて、それだけで自分の腕で体を支えているのが辛くなってしまう。そのまま、ぺたりとユウイチさんの体の上へ完全に倒れ込んだ。

「ん? まだまだキツキツだけどな……」
「いやっ、言わないで……。ああっ……!」
「もっとたっぷり慣らさないと……」
「あっ、あ……! んっ……」

 ユウイチさんは片方の手で俺の腰をしっかりと捕まえた後、指をゆっくりと抜き差しし始めた。時々、気持ちいい場所をトントンと指の腹で押されると、びくびくと体が震える。先走りもだらだらと垂れてしまっているのに、ユウイチさんは「もう少しだから」とすごくしつこい。

「もう、入れてよお……」

 まだユウイチさんを受け入れる準備が出来ていなかったから、じっくりと時間をかけてほぐしてもらっていると頭ではわかっているのに、こんなのって意地悪だ……、とほとんど泣きたい気持ちになっていた。

「あっ、ああっ……、ユウイチさん、ここ、舐めたい…………」
「……どこを? どこを舐めたい?」
「ユウイチさんの……おちんちん、舐めたい。ちょうだい……」
 
 もどかしい快感を与えられ続けて、すっかり我慢が出来なくなってしまっていた俺は、服の上からユウイチさんの性器を撫で回した。密着しているから、ユウイチさんの体がピクリと反応したのが、ダイレクトに伝わってくる。

 また、こんな恥ずかしいねだり方をしてしまった、と後悔する気持ちが無いわけではなかった。
 だけど、ユウイチさんの「媚薬入りのチョコレートで、すごく熱くなってるよ」という言葉で、そんなことはすぐにどうでもよくなってしまって、目の前に差し出された性器を夢中でしゃぶった。

「んっ、んんっ……」

 いつもより大きくなっているのかどうかはわからないけれど、ユウイチさんが「ほら、すごい効き目」と言うから、コクコクと頷いて、ツルツルした先っぽに舌を伸ばしながら手で扱いた。
 パンツをさらにずり下ろしてから、ユウイチさんは俺の性器を口に含んだ。挿入される指が一本から二本に増やされたものの、ユウイチさんはさっきみたいに指を動かしたりはしてくれない。だけど、じゅるじゅると音を立てながらしゃぶられると、俺の体はただ突っ込まれているだけの指をギュウギュウと締め付けた。

「あ、んっ……! いやっ、きもちいい……」

 いっちゃう、と俺がモゾモゾと体を動かしても、ユウイチさんの唇は離れてくれないし、指も抜いてくれない。性器へ与えられる快感で、俺のナカがどんなふうに収縮して、指を根本まで咥え込んでいるかを味わうかのように、ユウイチさんの指が時々俺のナカを擦った。
 ダメ、いく、とグズグズと泣いてるみたいな声をあげながら、俺もユウイチさんの性器を口いっぱいに頬張った。



「……おいで」

 ようやくベッドに仰向けで寝かされる頃には、何度もイクのを我慢していたせいかクタクタだった。
 自分から折り曲げた膝の裏に手を入れて、足を開いてから「来て」とユウイチさんを誘うのは初めてかもしれない。
 今まで出来なかったような恥ずかしい格好をしてしまっているのが自分でも信じられなかったけれど、とろとろにほぐれたソコはヒクヒクと疼いていた。

「ユウイチさん、つけてない……?」
「つけてないよ。このまま」

 入れるよ、と囁かれて全身がゾクゾクした。

「あ、ああっ……」

 当たってる、と思った次の瞬間には、ずん、と一気に挿入された。指では全然届かない場所までずっぷりと満たされる。やっぱり、コンドームをつけている時よりも、つけていない時の方がずっと気持ちいい。時々しか貰えないご褒美にうっとりしながら、ユウイチさんに抱きついた。

「俺、すごく、恥ずかしい格好……」
「可愛いよ。……ほら、マナトの準備したチョコレートですごく大きくなってる、ちゃんとわかるかな……?」
「はい……」

 媚薬入りのチョコレートの効果はやっぱりよくわからなかったけど、ユウイチさんのモノでナカがいっぱいになっていることだけは確かだった。
 ユウイチさんも興奮していたのか言葉は普段と同じように優しいけれど、いつもよりもずっと激しくされた。「いい? 少しだけ」と聞かれながら、奥をいっぱい突かれて、たっぷりのローションでとろとろになったナカを掻き回される。何度も奥まで一気に入ってくる快感に大きな声で喘ぎながら、必死でユウイチさんの体にしがみついた。


「ひゃっ……、 あっ、ああっ! きもちいい……」

 グリグリとナカを擦られながら、前も触られて、俺は呆気なく果ててしまった。自分のお腹を精液で汚してしまった俺を見て、ユウイチさんは「少し休もう」と呟いた。

「やだ……、もっと……」
「……少し休むだけだよ」
「ん、う……」

 お腹にかかった精液をユウイチさんが拭いてくれる。達した直後の体は、それだけでもくすぐったくて、ぴくぴくと反応してしまう。



「……ユウイチさんも、出して?」

……汚れてしまった体を自分で綺麗にすることも出来ないのに、うつ伏せになった後、腰を高く突き上げて、ユウイチさんを誘った。

「マナト」
「さっきのして、気持ちいいのして……」

 表情は見えないけれど、何かを言いかけたユウイチさんの言葉を遮って、おかわりをねだった。
 今度はさっきよりもずっと荒っぽく腰を捕まえられた後、後ろから一気に挿入された。ユウイチさんの乱れた呼吸を感じながら、体をガクガクと揺さぶられる。


「は、あっ、すごいな……本当に……っ」
「あっ、あっ、きもちい、ユウイチさん、すき、だいすき……」

 どうやらユウイチさんは媚薬の効果をちゃんと感じてくれているみたいだった。良かった、嬉しい……と安心出来ると、俺の事をいつも気持ちよくしてくれてありがとう、ユウイチさんも今日はいっぱい気持ちよくなってね、という気持ちで心が満たされていく。
 
 特別なチョコレートの効果なのか、ユウイチさんの精液はいつも以上にたっぷりと俺のナカへと注ぎ込まれた。一滴残らず出しきった後に、ユウイチさんは、もう一度「すごいな……」と呟いてから、 珍しくぐったりと倒れ込んでしまっていた。
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