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★メリークリスマス(2)
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「かっ……」
可愛い、可愛すぎる……と言葉を続けようにも、上手く声が出せなかった。それくらい、サンタの帽子とマナト、という組み合わせは、恐ろしいほどの破壊力だった。
真っ赤なサンタの帽子の下からは、柔らかい髪の毛が覗いていた。恥ずかしいのか、厚めに作った前髪や帽子をしきりに気にして、指の先で何度も整える。大きな目が「どうかな……?」と不安そうにうるうるしては、パチパチと瞬きを繰り返した。
「絶対マナトに似合うはずだから」という理由で、普段着せているモコモコした部屋着姿は、サンタクロースの帽子効果でいっそう可愛く見えた。
「め、メリークリスマス……」
照れ臭そうにしながら、えへ、と困った顔でマナトが笑う。居心地が悪そうにしながらモジモジと突っ立っているのが、可愛い。かわいすぎる。かわ……。
「わあっ……!? ユウイチさん……?」
「ちょっとだけ、ごめん……」
いつも「可愛い、好きだ、永遠に手離したくない」という気持ちと、「いつかそういう日が来たら迷わず手を離す」という気持ちとのバランスを上手く維持しながら、マナトの側にいるつもりだった。だけど、今日だけはダメだった。
出来ればずっと手離したくない……という思いで今まで保ってきたバランスはメチャクチャになってしまった。
急に強い力で抱き締められたことで、驚いたはずなのに、マナトは特に何も言わない。
「そういう気分なのかな?」と納得してしまったのか、ただ黙って、ぎゅっと抱き付いてくる。
「ごめん……。あんまり可愛かったから……」
「ううん……。いっぱい待たせちゃって、ごめんね」
部屋へ招き入れると、お邪魔します、と帽子のズレを直しながらソロソロとマナトは歩く。とりあえず、並んでベッドに腰掛けると、マナトがとんでもない爆弾を放ってきた。
「準備に時間がかかってごめんなさい……。シャワーの後、ビキニに履き替えたんだけど……。履いてすぐのパンツって、も、貰っても嬉しくないよね……? だから、少し馴染ませようかな~と思って……」
「……馴染ませる」
「うん……」
「マナトの体に馴染んだパンツ……」
「……あんまり言わないで貰えますか? 恥ずかしい……」
やっぱりマナトは天才だった。しかも、それだけじゃなくて、思いやりに満ちた温かい心の持ち主でもある。今だって耳まで真っ赤にしてしまうような恥ずかしがりなのに、待たせてしまったことを申し訳ないと感じているのか、「パンツを馴染ませてきた」と告白してしまうなんて……。
モコモコの部屋着の下に、小さなビキニパンツを履いて、食い込みを気にしながら部屋を歩き回ったり、座ってみたりして、「そろそろ馴染んだかなあ……?」と首を傾げているマナト……。
やっぱりいざパンツを渡す時には恥ずかしそうにしながら、「絶対絶対変なことには使わないで」と泣きそうな顔で何度も念を押してくるのだろうか。
縛られて、抵抗出来ない状態のマナトの目の前で「完全に肌と馴染んだ香りがするな……」「よく熟成されてる」とパンツの匂いを嗅ぎたい。「やめて! やめてください!」と、マナトが必死で身を捩ってイヤイヤするところが見たい。しかも全部にサンタの帽子のオプション付き……。
「ああああっ……!」
「ユウイチさん!? まだ何もしてない……! 戻ってきて……!」
「だ、大丈夫……。ちょっと混乱しただけだから……。はー……」
このままでは身が持たない。まあ、でも、一番幸せな状態で死ぬのも悪くないか……、天の使いも側にいるし……と思っていると、「ユウイチさん」とマナトが遠慮がちに腕をつついてきた。
「うん……?」
「今日、使うバイブって決まってる……? 俺、あまり太いのはまだ少し怖い……」
「バイブ……」
「……細い、ツルっとしたやつなら、平気かも……。ユウイチさんのオススメはありますか?」
チラチラとクローゼットを気にするサンタクロース。ビッシリと詰まったアダルトグッズのことを思い出してしまっているのか、まだ頬は赤いままだった。
「怖いなら握ってくれるだけでも、充分ありがたいけど……」
「ヤダ……。ユウイチさん、初めてだから一緒に選んで? 俺、頑張るから……」
やっぱりマナトは張り切っていて、説得をしてみても「やる!」の一点張りだった。
マナトの「選んで?」で放心状態になっているのに、そんなことはお構い無しで「見せて」とクローゼットの前まで連れて行かれる。
こんな子犬みたいに可愛い顔をした青年がバイブを……と思うと手が震える。マナトに使う、という実感は持てないまま二人でバイブを収納しているケースを覗き込んだ。
「……ユウイチさん、どれがいいですか?」
「そうだな……」
全部安全性は確かで、道具に慣れていない体への負担が少ない、マナトのために厳選した初心者向けの41本のバイブ。その中でも、振動パワーが程々で細身のものを選んだ。
アナルへのバイブ使用時に得られる快感は、性能だけではなく、結局は本人の体格や経験値に左右される部分が大きい。
マナトの場合、特別小さくもなければ大きくもない体つきをしているのと、すごく緊張しているようだから、快感が得られるようになるまでは時間がかかるかもしれなかった。
「入れてみて、やっぱり嫌いだってマナトが感じるなら、すぐにやめよう」
「……うん」
頷いたり首を傾げたりする度に、帽子のズレをキチンと直す可愛いサンタクロースの表情は真剣だった。目が合うと恥ずかしそうに笑う。
「あのー……」
「うん……?」
「……デンマってありますか?」
「……うん?」
「デンマって、まだありますか……」
「……あるよ」
デンマは初めて使ってみた時から、マナトが気に入っているようだから、もちろん何本も所有している。ただ、可愛い顔と声でモジモジしながら「デンマ」と言われたことに動揺して、返事が遅れた。
この可愛い唇から……とマナトのことを凝視していると、「じゃあ、デンマもお願いします」とはにかんでいる。初めてのバイブ挿入が不安で、自分の好きな道具も使って欲しいと感じたのかもしれない。
「そうか、それで……! ごめん、気が付かなくて……」
もちろんマナトの大好きな場所にたくさん当てるし、挿入中にナカをグリグリしながら、マナトがちゃんとイクまでデンマは使うから、と励ましておいた。真面目で照れ屋のマナトは決して「やったあ! ユウイチさんサンキュー」と喜んだりはしない。
ただただ、困ったような顔をしながら「うん」と小さな声で返事をするだけ。そんなマナトからのリクエストはとても貴重だった。
バイブにコンドームとローション、ローター、それからソフトSM用の手枷……。それにデンマも加わって、今日は準備するものが多い。なんて、良いことなんだろう……とすっかり浮かれていると、マナトも「こんなにいっぱい!?」と目を丸くしていた。
「……持っているものの、ほんの一部だから」
ますますマナトの中の「サラリーマンというのは嘘で、アダルトグッズの販売で生計を維持している疑惑」が深まってしまったのか、「お金を払います」ととんでもないことをマナトが言い出した。
「……何度も言ってるけど、俺はアダルトショップの経営はやってないよ」
「……でも、払う、払います。……このお店は、現金払いは出来ますか……? じゅ、十万円でいいのかな……?」
「えっ」
「ここって、Tポイントは貯まる……?」
何を言っているんだろう、とマナトの様子を窺うと、なんだかニヤニヤしている。困惑していると、「ユウイチさん、突っ込んで」と小さな声で可愛い指示が飛んできた。
「……今日はクリスマスで、全品無料だよ。……Tポイントは付かない。代わりに、現金をプレゼントするキャンペーン中だけどどうだろう?」
「何それ!? そんなお店、聞いたことないですよ!」
二人でクスクス笑い合う。マナトから「良かった。ユウイチさん、やっと笑ってくれた」と安心した顔で言われて、それで、ようやく自分が張り切りすぎて緊張していたことに気が付いた。
「大丈夫かなあ?」と、それに気が付いてくれて「十万円でいいのかな?」「Tポイントは貯まる?」とボケてくれたマナトが愛おしい。
◆
ベッドに移動してからも、優しいマナトサンタはとても真面目で可愛かった。
まず、服を脱ごうとして「あっ……。ごめんなさい、一度帽子は取りますね……」と、気まずそうにしてから、着ているものを脱いでまた帽子をかぶり直す。可愛い……と眺めていたら、下は布団で体を隠しながらモゾモゾと脱いでいるようだった。
寝そべると帽子がずり落ちてしまうことを気にしているのか、ベッドの上で上体は起こしたままだった。
「……ユウイチさん、こんな俺で良かったら、プレゼントいっぱい貰ってください。今日は全部、ユウイチさんにプレゼントします……」
子供の頃、貰ったプレゼントの包装紙をビリビリに破るのは大嫌いだったことを、なぜか思い出した。
どうしてそう感じるのかは長いことわからなくて、大切なものを粗末に扱っている気持ちになるから、と自分に対して納得出来るようになったのは、大人になってからだった。
「わあっ……!? ユウイチさん、帽子が……! ……んっ、んうっ……んんっ……」
押し倒された勢いで、落ちてしまった帽子をぎゅっと握りしめるマナトの唇に何度も唇を夢中で重ねた。体を隠すようにしていた布団を剥ぎ取ってしまうと、恥ずかしいのか、マナトの全身が強張る。
性急でがさつな手つきだとは自分でもわかっていたけれど、下着だけを身に付けている体を撫で回すとマナトが可愛い声を漏らすのが堪らない。
「んぅ……、あっ……、んんっ……」
小さな乳首を摘まむと、ピクリと体を震わせながら必死で舌を伸ばしてくる。ほとんど裸に近い格好を隠すことを諦めたように、マナトは抵抗もせず身を委ねて、時々、甘い声で鳴く。平たくて硬い胸を撫で回すと、芯を持ち始めた乳首に掌が触れるたびに、マナトの足がモゾモゾと動いた。
……いっぱい貰ってくださいなんて言われたら、目の前のマナトの何もかもが欲しくなってしまう。
やっぱり本当の本当はどんなことがあっても可愛いマナトを手離したくなんかない、側にいたい、という気持ちで、このまま胸が潰れてしまいそうだった。
それなのに、やっぱりマナトは天才だった。
唇を離した途端、いそいそと帽子をかぶり直してから「ユウイチさん、メリークリスマス……」と恥ずかしそうにしながら笑う。見ている方の心が和んで、力が抜けるような、可愛い柔らかい笑顔だった。
「……メリークリスマス」
「寝たら、帽子が脱げてしまうね……。どうしよう……。抱っこして貰うか、俺が上に乗るかしたらいいのかな……!?」
「……騎乗位でしてくれるってこと?」
「あんまり言わないで……。恥ずかしいから……」
もし、帽子が落ちてきたらゴメンね、と明るく言うマナトをもう一度抱き締める。可愛いサンタが幸せで胸をいっぱいにしてくれていたから、今度は、さっきのように切ない気持ちにはならなかった。
可愛い、可愛すぎる……と言葉を続けようにも、上手く声が出せなかった。それくらい、サンタの帽子とマナト、という組み合わせは、恐ろしいほどの破壊力だった。
真っ赤なサンタの帽子の下からは、柔らかい髪の毛が覗いていた。恥ずかしいのか、厚めに作った前髪や帽子をしきりに気にして、指の先で何度も整える。大きな目が「どうかな……?」と不安そうにうるうるしては、パチパチと瞬きを繰り返した。
「絶対マナトに似合うはずだから」という理由で、普段着せているモコモコした部屋着姿は、サンタクロースの帽子効果でいっそう可愛く見えた。
「め、メリークリスマス……」
照れ臭そうにしながら、えへ、と困った顔でマナトが笑う。居心地が悪そうにしながらモジモジと突っ立っているのが、可愛い。かわいすぎる。かわ……。
「わあっ……!? ユウイチさん……?」
「ちょっとだけ、ごめん……」
いつも「可愛い、好きだ、永遠に手離したくない」という気持ちと、「いつかそういう日が来たら迷わず手を離す」という気持ちとのバランスを上手く維持しながら、マナトの側にいるつもりだった。だけど、今日だけはダメだった。
出来ればずっと手離したくない……という思いで今まで保ってきたバランスはメチャクチャになってしまった。
急に強い力で抱き締められたことで、驚いたはずなのに、マナトは特に何も言わない。
「そういう気分なのかな?」と納得してしまったのか、ただ黙って、ぎゅっと抱き付いてくる。
「ごめん……。あんまり可愛かったから……」
「ううん……。いっぱい待たせちゃって、ごめんね」
部屋へ招き入れると、お邪魔します、と帽子のズレを直しながらソロソロとマナトは歩く。とりあえず、並んでベッドに腰掛けると、マナトがとんでもない爆弾を放ってきた。
「準備に時間がかかってごめんなさい……。シャワーの後、ビキニに履き替えたんだけど……。履いてすぐのパンツって、も、貰っても嬉しくないよね……? だから、少し馴染ませようかな~と思って……」
「……馴染ませる」
「うん……」
「マナトの体に馴染んだパンツ……」
「……あんまり言わないで貰えますか? 恥ずかしい……」
やっぱりマナトは天才だった。しかも、それだけじゃなくて、思いやりに満ちた温かい心の持ち主でもある。今だって耳まで真っ赤にしてしまうような恥ずかしがりなのに、待たせてしまったことを申し訳ないと感じているのか、「パンツを馴染ませてきた」と告白してしまうなんて……。
モコモコの部屋着の下に、小さなビキニパンツを履いて、食い込みを気にしながら部屋を歩き回ったり、座ってみたりして、「そろそろ馴染んだかなあ……?」と首を傾げているマナト……。
やっぱりいざパンツを渡す時には恥ずかしそうにしながら、「絶対絶対変なことには使わないで」と泣きそうな顔で何度も念を押してくるのだろうか。
縛られて、抵抗出来ない状態のマナトの目の前で「完全に肌と馴染んだ香りがするな……」「よく熟成されてる」とパンツの匂いを嗅ぎたい。「やめて! やめてください!」と、マナトが必死で身を捩ってイヤイヤするところが見たい。しかも全部にサンタの帽子のオプション付き……。
「ああああっ……!」
「ユウイチさん!? まだ何もしてない……! 戻ってきて……!」
「だ、大丈夫……。ちょっと混乱しただけだから……。はー……」
このままでは身が持たない。まあ、でも、一番幸せな状態で死ぬのも悪くないか……、天の使いも側にいるし……と思っていると、「ユウイチさん」とマナトが遠慮がちに腕をつついてきた。
「うん……?」
「今日、使うバイブって決まってる……? 俺、あまり太いのはまだ少し怖い……」
「バイブ……」
「……細い、ツルっとしたやつなら、平気かも……。ユウイチさんのオススメはありますか?」
チラチラとクローゼットを気にするサンタクロース。ビッシリと詰まったアダルトグッズのことを思い出してしまっているのか、まだ頬は赤いままだった。
「怖いなら握ってくれるだけでも、充分ありがたいけど……」
「ヤダ……。ユウイチさん、初めてだから一緒に選んで? 俺、頑張るから……」
やっぱりマナトは張り切っていて、説得をしてみても「やる!」の一点張りだった。
マナトの「選んで?」で放心状態になっているのに、そんなことはお構い無しで「見せて」とクローゼットの前まで連れて行かれる。
こんな子犬みたいに可愛い顔をした青年がバイブを……と思うと手が震える。マナトに使う、という実感は持てないまま二人でバイブを収納しているケースを覗き込んだ。
「……ユウイチさん、どれがいいですか?」
「そうだな……」
全部安全性は確かで、道具に慣れていない体への負担が少ない、マナトのために厳選した初心者向けの41本のバイブ。その中でも、振動パワーが程々で細身のものを選んだ。
アナルへのバイブ使用時に得られる快感は、性能だけではなく、結局は本人の体格や経験値に左右される部分が大きい。
マナトの場合、特別小さくもなければ大きくもない体つきをしているのと、すごく緊張しているようだから、快感が得られるようになるまでは時間がかかるかもしれなかった。
「入れてみて、やっぱり嫌いだってマナトが感じるなら、すぐにやめよう」
「……うん」
頷いたり首を傾げたりする度に、帽子のズレをキチンと直す可愛いサンタクロースの表情は真剣だった。目が合うと恥ずかしそうに笑う。
「あのー……」
「うん……?」
「……デンマってありますか?」
「……うん?」
「デンマって、まだありますか……」
「……あるよ」
デンマは初めて使ってみた時から、マナトが気に入っているようだから、もちろん何本も所有している。ただ、可愛い顔と声でモジモジしながら「デンマ」と言われたことに動揺して、返事が遅れた。
この可愛い唇から……とマナトのことを凝視していると、「じゃあ、デンマもお願いします」とはにかんでいる。初めてのバイブ挿入が不安で、自分の好きな道具も使って欲しいと感じたのかもしれない。
「そうか、それで……! ごめん、気が付かなくて……」
もちろんマナトの大好きな場所にたくさん当てるし、挿入中にナカをグリグリしながら、マナトがちゃんとイクまでデンマは使うから、と励ましておいた。真面目で照れ屋のマナトは決して「やったあ! ユウイチさんサンキュー」と喜んだりはしない。
ただただ、困ったような顔をしながら「うん」と小さな声で返事をするだけ。そんなマナトからのリクエストはとても貴重だった。
バイブにコンドームとローション、ローター、それからソフトSM用の手枷……。それにデンマも加わって、今日は準備するものが多い。なんて、良いことなんだろう……とすっかり浮かれていると、マナトも「こんなにいっぱい!?」と目を丸くしていた。
「……持っているものの、ほんの一部だから」
ますますマナトの中の「サラリーマンというのは嘘で、アダルトグッズの販売で生計を維持している疑惑」が深まってしまったのか、「お金を払います」ととんでもないことをマナトが言い出した。
「……何度も言ってるけど、俺はアダルトショップの経営はやってないよ」
「……でも、払う、払います。……このお店は、現金払いは出来ますか……? じゅ、十万円でいいのかな……?」
「えっ」
「ここって、Tポイントは貯まる……?」
何を言っているんだろう、とマナトの様子を窺うと、なんだかニヤニヤしている。困惑していると、「ユウイチさん、突っ込んで」と小さな声で可愛い指示が飛んできた。
「……今日はクリスマスで、全品無料だよ。……Tポイントは付かない。代わりに、現金をプレゼントするキャンペーン中だけどどうだろう?」
「何それ!? そんなお店、聞いたことないですよ!」
二人でクスクス笑い合う。マナトから「良かった。ユウイチさん、やっと笑ってくれた」と安心した顔で言われて、それで、ようやく自分が張り切りすぎて緊張していたことに気が付いた。
「大丈夫かなあ?」と、それに気が付いてくれて「十万円でいいのかな?」「Tポイントは貯まる?」とボケてくれたマナトが愛おしい。
◆
ベッドに移動してからも、優しいマナトサンタはとても真面目で可愛かった。
まず、服を脱ごうとして「あっ……。ごめんなさい、一度帽子は取りますね……」と、気まずそうにしてから、着ているものを脱いでまた帽子をかぶり直す。可愛い……と眺めていたら、下は布団で体を隠しながらモゾモゾと脱いでいるようだった。
寝そべると帽子がずり落ちてしまうことを気にしているのか、ベッドの上で上体は起こしたままだった。
「……ユウイチさん、こんな俺で良かったら、プレゼントいっぱい貰ってください。今日は全部、ユウイチさんにプレゼントします……」
子供の頃、貰ったプレゼントの包装紙をビリビリに破るのは大嫌いだったことを、なぜか思い出した。
どうしてそう感じるのかは長いことわからなくて、大切なものを粗末に扱っている気持ちになるから、と自分に対して納得出来るようになったのは、大人になってからだった。
「わあっ……!? ユウイチさん、帽子が……! ……んっ、んうっ……んんっ……」
押し倒された勢いで、落ちてしまった帽子をぎゅっと握りしめるマナトの唇に何度も唇を夢中で重ねた。体を隠すようにしていた布団を剥ぎ取ってしまうと、恥ずかしいのか、マナトの全身が強張る。
性急でがさつな手つきだとは自分でもわかっていたけれど、下着だけを身に付けている体を撫で回すとマナトが可愛い声を漏らすのが堪らない。
「んぅ……、あっ……、んんっ……」
小さな乳首を摘まむと、ピクリと体を震わせながら必死で舌を伸ばしてくる。ほとんど裸に近い格好を隠すことを諦めたように、マナトは抵抗もせず身を委ねて、時々、甘い声で鳴く。平たくて硬い胸を撫で回すと、芯を持ち始めた乳首に掌が触れるたびに、マナトの足がモゾモゾと動いた。
……いっぱい貰ってくださいなんて言われたら、目の前のマナトの何もかもが欲しくなってしまう。
やっぱり本当の本当はどんなことがあっても可愛いマナトを手離したくなんかない、側にいたい、という気持ちで、このまま胸が潰れてしまいそうだった。
それなのに、やっぱりマナトは天才だった。
唇を離した途端、いそいそと帽子をかぶり直してから「ユウイチさん、メリークリスマス……」と恥ずかしそうにしながら笑う。見ている方の心が和んで、力が抜けるような、可愛い柔らかい笑顔だった。
「……メリークリスマス」
「寝たら、帽子が脱げてしまうね……。どうしよう……。抱っこして貰うか、俺が上に乗るかしたらいいのかな……!?」
「……騎乗位でしてくれるってこと?」
「あんまり言わないで……。恥ずかしいから……」
もし、帽子が落ちてきたらゴメンね、と明るく言うマナトをもう一度抱き締める。可愛いサンタが幸せで胸をいっぱいにしてくれていたから、今度は、さっきのように切ない気持ちにはならなかった。
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