上 下
24 / 37

【番外編】どぎまぎしていた頃(2)(R3.11.20追加)

しおりを挟む


「わあっ……!?」

 思わずひっくり返った声が出てしまって慌てて自分の口元を手で抑えた。
 おそるおそる生田さんの様子を確認して、まだ眠っていることにホッとする。
 ……生田さんは時々、しっくりくるポジションを探しているのか俺を抱き締めたまま、モゾモゾと身じろぎをする。その時に、寝ぼけてしまっているのか俺の胸やお腹が無遠慮に触られることがあって、それがすごくくすぐったい。本当に俺のことを「ちょうどいい大きさの抱き枕」と思っているみたいだった。
 生田さんが勝手に目を覚ます分にはいいけど、俺のせいで起こすのは絶対ダメだ……! って頑張ってみてはいるけど、時々本当にビックリして飛び上がりそうになる。

「ん……! うぅ……」

 密着した状態で胸を触られていると、変な気分になってくる。初めは俺の胸のことを「おっぱい」って言われるのも言わされるのも本当に嫌だと思っていたし、乳首をジロジロ見られるたびに「キモイ……! 怖い……!」と全身に鳥肌が立った。
 だけど今は一人でする時も乳首も一緒に触らないと物足りなくなってしまっている。俺の体は大丈夫なのかな……って不安になるのと同時に、そのうち生田さんとセックス、もするんだよね、って一人で勝手にドキドキしてしまうこともある。

 今だってくっついているだけで、今日この後、「したい」って言われたらどうしようって、思うと落ち着かなくなる。前にラブホテルへ行った時は「おちんちん入れてよ」ってたくさん泣いてしまって生田さんを困らせてしまった。あの時は「今日はセックスするから、泊まろうって誘われたんだ」って勝手に張り切りすぎてしまったのが今思い出してもすごく恥ずかしい。
 生田さんは優しいから、俺が泣いたり怖がったりしたら、きっとすごく心配をかけてしまう。でも……。生田さんのすごく大きいけどちゃんと入るのかな……? やっぱり痛いのかな……? とセックスについてモヤモヤと考えている時だった。

「うーん……」
「わああっ!?」
「……ごめん、鈴井さん。あんまり良い匂いがするからいつの間にか眠ってしまった」

 考え事の内容が恥ずかしくて言えないようなことだったから、目を覚ました生田さんにすごく動揺してしまった。

「あー……。鈴井さんがいる貴重な時間に寝てしまうとは……。鈴井さん、一緒に寝たせいですごく体が熱くなってる。ゴメン、窓開けようか」
「ダメです! あのっ、開けないで……!」

 大きな体がビクッと反応したのが触れ合っている部分からわかった。急に俺が大きな声を出したせいで生田さんはビックリしたみたいだった。

「……何か飲む?」
「すみません……。あの、ええっと……。……たってしまいました」

 背中を向けているから顔を見られないで済むのが唯一の救いだった。同じベッドに寝転んで、胸を触られて、セックスすることを考えただけで勃起してしまうなんて、ここから消えてしまいたいくらい恥ずかしかった。……すごく溜まっていたんです、とかそういう言い訳が出来るんならまだ良い。実際は夕べ、「明日生田さんと会う」ということを楽しみにしているうちに一人でしてしまったというのに。

「……あっ」
「……大丈夫? 一人で退屈だった?」
「う、んうっ……」
「鈴井さん、汗をかいてる……」

 生田さんは普通に会話を続けながら、服の上から俺の性器に触れてきた。大丈夫? になんて答えるべきなのかわからなくて、ただ首を横に振った。生田さんが寝ている間も退屈では無かったけれど、今の状況は大丈夫ではない気がする。だって、ぐり、と裏筋を擦られる度に、頭の中が「早く出したい」「もっとして欲しい」ばかりになっていくからだ。それに、それに……このままだと、我慢出来なくてきっといっぱい出してしまう。

「あっ……!」
「……汚れるから少し脱ごうか」

 ダメ、って言うか迷ったけど、直接触って欲しくて、流されるようにして、つい頷いてしまった。
 生田さんの手でベルトが外されて、ファスナーが下ろされる。パンツ新しいの履いてきたんだった、と照れ臭く思っていると、ふとお尻に違和感を覚えた。

「えっ……!? あの、なんか急におっきくなってる……!?」
「可愛い……。鈴井さん、もうちょっとだけこのまま……」
「やだっ……! なんか怖い! あっ、やだっ、いやあっ……待って……!」

 さっきまでは何ともなかったのに、俺のパンツが見えた瞬間に、生田さんの性器が急に大きく固くなりだしたのが、すごく怖いことに感じられた。いつの間にかそうなっていた……というわけではなくて、ファスナーの隙間からチラッと布地が見えた瞬間に、ムク……と大きくなるのが服の上からでもわかった。
 嫌だ、と思った時にはもう遅くて、生田さんの手がパンツの中に入ってきてしまっていた。

「こんなに派手なピンクを履くなんて……。なんてことだ……」
「やっ、だめ、生田さん、手止めて、だめ、出ちゃう……」

 頑張って抵抗もしているけど、女の人よりもずいぶん大きな手で、性器全体を包み込まれるようにして扱かれると泣きたくなるくらい気持ちが良い。

……小さくて可愛い動物を、二人でいっぱい見に行きたいです、とか、冬毛の動物は可愛くてモフモフでヤバイです、とか、生田さんが起きた時に会話を盛り上げようといっぱい考えていたことがあったはずなのに、体に触られると何もかも後回しになってしまう。
 俺のパンツを見た瞬間、生田さんがすごく興奮しているのはわかったし、しかも大きな性器をグリグリ押し付けられて、「セックスすることになったら、こんなに大きなモノを俺は受け入れるんだ」ってどうしてもいつか訪れる日を意識しながら「生田さん、キスしたい」と恋人どうしになってから初めてのキスをねだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

処理中です...