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17.ごめんなさいね

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先生のお母さんは大学病院に入院している、と聞いていたからまさかとは思っていたけど、俺が通っている大学の附属病院のことだった。医学部はキャンパス自体が徒歩では行けない程、他の学部から離れた場所に立っている。それに、俺は偏差値的に医学部とは無縁だし、もちろん病気なんてかかったことがないから、院内に入るのは初めてだった。

建物自体が古いせいなのか意外にもゴミゴミしている場所だな、と思った。

エントランスから入ってすぐの総合受付のフロアでは、自動受付・精算の機械があったが、誰もそれを信用していないのか、なぜか皆窓口に行列を作っていた。人の列は通路を塞ぐほど長く続いており、皆浮かなそうな表情を浮かべながら並んでいた。
世の中にこんなにも具合の悪い人がいるのか、と驚きつつ先生の後についてひょこひょこと歩いた。

先生は人と人との間を上手くすり抜け、真っ直ぐエレベーターに向かって歩いて行き、エレベーターに入った。扉が閉まりきった後、「ふうー」と大きく息を吐いた。なんだか、緊張しているみたいで顔色が悪い。









―思えば、今日の朝も「起こして」と頼んでおいたのに、結局俺の方が先に起きた。
なかなか布団から出ようとしない先生は、まるで長い夏休みが終わって新学期が始まった途端、登校をしぶる子供のようだった。何とか引きずり出し、支度をさせたものの、今にも「なんだか、お腹が痛い気がする」「風邪をひいた」とでも、言い出すんじゃないかと思うくらい、全ての動作がノロノロとしていた。


家を出て運転し始めてから、ようやくいつものようにキリッとした顔の先生に戻ったけど、ハンドルを握る手に汗が滲むのか、何度も手のひらを気にしていた。

実を言うと、俺も少し緊張していた。けれど、俺まで大人しくなったら車の中が静かになりすぎて、先生が頭の中でいろいろ考えこみそうだから、無理にでも学校とかバイトの話題をひねり出した。

何を話しても反応は薄かったけど、それでも先生の様子を見ながらつらつらと話し続けた。
しばらくして、何か察したのか「…こんなことに付き合ってもらって悪かった」と呟いた。

「…お前にだけは、嫌な思いをさせない」

 それは子供を危険な場所に引率する大人としての建て前だった。「浅尾椿さん」としてはもっと別の感情を抱いているだろうということは、先生の血の気の引いた横顔を見ていればすぐにわかった。

「大丈夫だって。先生。二人いればなんとかなるっしょ」

優秀な子供なら「はい!」と大きな声で返事をして、黙って先生の後ろを着いていくだろう。けれど、俺は、先生にいつまでも生徒として見られているのも嫌だったから、黙って引率されてたまるかと思っていた。





エレベーターを降りて心療内科病棟に向かうまでの間、イチゴミルクとかカフェオレなんかの、紙パック飲料が売られている自動販売機が目に入った。カラフルなパッケージは、無機質でしんとしている建物に不釣り合いで、その機械音は妙に大きく感じられた。


目的のフロアに入ってからも先生の後ろを影の様にくっついて歩き、先生が挨拶をした人にだけ俺も「こんにちは」と言った。


先生は明らかに寝ているとか、具合が悪そうな人以外、すれ違う人全員に会釈していた。談話室でテレビを見ている人に、廊下で座り込んで寝ている人に、目が合った瞬間「こんにちは!」と大きな声で挨拶をしてくる人に…。


もっと拘束されていたり、叫んだりしてる人だらけなんだろうかと思っていたからちょっと拍子抜けした。談話室の隣の広い部屋では患者どうしで卓球してるし、思った以上に穏やかな時間が流れていた。




先生のお母さんの病室はエレベーターから遠く離れた場所にあった。部屋番号の下にはネームプレートが無い。ドアのすりガラスから見える室内の明かりに気がつかなければ、無人の病室だと勘違いしてしまいそうだった。


先生は、コツコツ、と小さく病室の扉をノックした。そんな音じゃ絶対に病室内からは聞こえないだろう、としか思えないくらい微かな音で。
中の様子を伺うかのように左耳をそっと病室の方へ近付けて何かを確認した後、黙って引き戸をガラガラとスライドさせた。

いきなり入っていいのか少し迷ったけれど、「待ってろ」とか「いいと言うまで入るな」とかそういうことは言われていないので、後に続いて「おじゃましまーす…」と思っていたよりもずっと明るい小さな病室に足を踏み入れた。


先生はベッドの側に背筋を伸ばして真っ直ぐ立つと「お母さん」と小さな声で、女の人を呼んだ。教員をしていた頃は、授業中めちゃくちゃ声を張っていたんだろう。それくらい、今にも消え入りそうな程、か細くて弱々しい声だった。

「…お母さん、しばらく来られなくてごめんなさい」

そう呼ばれた女の人は、そっぽを向いたまま「本当、ずいぶん久しぶりね」と刺々しい声で言った。

「…仕事が忙しくて…」
「あなた、いつもそればっかり…。来て早々、どうしてお母さんの気分を悪くするようなことを言えるの?今日だって本当は来たくなかったんでしょう。
だったら、来なければ良かったじゃない。聞いてるの?……え?どなた?」

「聞いてるの?」でこっちを振り返った瞬間に、先生のお母さんは初めて俺の存在に気が付いたようで目を丸くしていた。
…あんなに小さな先生の声は聞こえるのに、俺の「おじゃまします」は聞こえなかったんだ、とちょっと面食らった。先生の顔色を窺いながら、とりあえず黙って会釈した。

「…お母さん、この人はお友達の高瀬ハヤトさん」

先生は、俺が元生徒だということは一切言わなかった。もしかしたら、お母さんはずっと教師を続けて欲しいと思っていたとか…なにか知られたらマズい理由があるのかもしれない。
俺がどういう設定のお友達になっているのかは不明だけど、「はじめまして」ととりあえず頭を下げた。

俺のことを、先生のお母さんは、上から下までまじまじと見ていたので、つられて、俺もその顔をよく見た。…一目でわかるくらい、先生とお母さんは瓜二つで、コピー機の倍率を120%に設定して、「男」というボタンを押したら先生が出来上がった、と言っても信じられるくらいには似ていた。

先生は日本人形みたいに色が白くて作り物みたいだけど、お母さんは先生に比べたら丸顔で少し幼い印象を受けた。肌がふっくらとしていて、桃みたいだった。
どうかしたら、隣で押し黙っている息子よりもずっと健康そうだった。

1秒程の沈黙の後、突然、お母さんの表情がそこだけ灯りがともったんじゃないかと錯覚しそうになるくらい、子供みたいな無邪気で眩しい笑顔に変わった。

「えー?かっこいいね!」

きゃぴきゃぴした甘くて透き通るような綺麗な声がくすぐるようにして耳に入ってくる。
さっきブスッとして先生に不満を言っていた時と同一人物とは思えないほどの変わりようだった。

25歳の息子がいるとは思えない程、若々しくて可愛い女の人だった。授業参観に現れたら「え?誰のお母さん?可愛くね?」と間違いなくクラス中で話題になるような。
思ってもいなかったことを言われたから、気が緩んで「へへ」と笑ってしまった。そんな俺の様子を見て、
お母さんの声がますます華やいだ。

「わー!やっぱりすごくかっこいい!いくつ?大学生?」
「20歳の大学二年生です」
「20歳?わー、若いねえー!とってもかっこいいね!」

そう言ってはしゃぐ様子は、病室で寝ているよりも、保育園とか幼稚園でピアノを弾いたり、子供に絵本を読んでやっている方がよっぽど似合っていた。

お母さんは、俺に「どこの大学?」「家族は何人?「どこに住んでるの?」「彼女はいる?」といった当たり障りのないことを聞いた。
時々、先生が咎めるように「お母さん」と言っても全く聞こえないかのように俺に話しかけ続けた。

先生の顔色を気にしつつ、正直に答えると、お母さんはその度に大きく頷いたり、声をあげて笑ったり、表情をころころ変える。この人はどこが病気なんだろう?と思ってしまうほど、元気だった。



しばらく俺との会話を続けた後、何か思い出したかのように先生へ視線を向けた。

「ねえ、椿、お茶を買ってきてよ」
「……お母さん、すぐに帰るからいいよ」
「すぐに帰るからいい?あなた、お客さんが来ているのにどうしてそんなことを言うの?そんなにお母さんに恥をかかせたいの?」

俺だったら自分の母親にそんなことを言われたら「は?なんで俺が?…いや、知らないし。自分で買ってくりゃいいじゃん。めんどくせー」と言って無視する。

けれど、先生は困ったような顔で唇を噛んだ後黙り込んでしまった。
「…椿さん、俺が買ってこようか?」と俺が尋ねると、ますます困った顔をされた。…こんなところで、貴重な「椿さん」呼びを使ってしまった。100回に1回しか使えないのに。
今のノーカンにしてもらえないかな…と考えている間に、お母さんは「すぐそこにある自販機のじゃ駄目だからね。お母さん、その自販機のメーカーのお茶は大嫌いだから。ちゃんと、1階の売店に売っている、ノンカフェインのやつを買ってきてね」と先生に畳みかけていた。


先生は本当に困った顔をして、「でも」とか「お母さん」と何度か口を開いては、断ることが出来ずにいた。俺が買いに行く、ともう一度提案しようか、と思った時に「買ってきてくれたら、今日はもう帰っていいよ」とお母さんが言った。
先生は俺の顔をジッと見た後、何かに弾かれるようにして病室を出て行った。



先生のお母さんは「はー、全く…気が利かないんだから…」と呆れたような表情を浮かべていた。先生が早足で病室から離れていく足音が聞こえなくなると、また、笑顔に戻った。

「どこで知り合ったの?」
「あの、俺がバイトしている服屋にお客さんとして来てくださって、それで仲良くしていただいているんです」

俺が話し終わるまで待ってから、お母さんはうふっ、と笑った。

「…いやだ。そんなふうに、堅苦しく話さなくたっていいよお。自分のお母さんに話すみたいにしていいんだからね」

なんだか、バタークリームとか生キャラメルみたいに甘ったるくてベタベタした言い方だった。
女って何歳になってもこんな喋り方するんだ、と頭のどこかで冷めている自分がいた。

この人の望むように、本当に自分の母親に話すみたいにしたら「いや、今日、夕飯いるって言ったじゃん。…いや、いいよ、もう。ラーメン食べるから。だから、いらないって……あー!もう、味噌汁温めなくていいってば。飲まねーよ!」とか、そういう口調になってしまう。

たぶん、「バカだけど悪い子ではない」というのがこのお母さんにとっては息子の理想の友達なんだろうな、という気がした。だから、なるべく元気っぽく「ほんとにー?あざっす!」って言ったら、先生のお母さんはさっきよりもいっそう嬉しそうに笑った。

「椿にこんなにかっこよくて、元気のあるお友達がいたなんて」
「椿さんの方がかっこいいけどねー」

俺、本当に尊敬しているから、と言ったけど、それは耳に入っていないようだった。

「…あの子、私のこと何か言ってた?」
「え、何も?」
「そう…あの子、小さい頃からなんでも物事を大げさに言うから…」
「えー、そうなんだ?全然そんなことないけどねー」
「なんだか、私悪者にされちゃったりしてるのかな」
「そんなん聞いたことないけどなー。てか、そもそも椿さんあんまり喋んないよ」
「へえ…そうなんだ」

これ以上この話題を広げられないように、あまり喋らない、とあえて言っておいた。「じゃあ、なんの話を普段してるの?」と突っ込まれる可能性もあったけど、そうなったらなったで何か共通の趣味でもでっちあげる、と決めていた。


「てっきりあの子が私に会うのが嫌であなたを連れて来たんだと思った」

さっきとベッドの位置は1cmも変わっていないのに、先生のお母さんの顔は急に影が差したかのように暗くなった。背中が嫌な汗でじとっとするのを感じた。

「…なわけないじゃん」
「じゃあ、どうしてあなたは今日ここにいるの?」
「俺が椿さんにベッタリだから。…って言ったらどうする?」
「ベッタリって?」
「大の仲良しってこと!俺椿さんのこと大好きなんです!だからそのお母さんのことも知りたくてここに来ました!」
「あらそう…どう?感想は」
「なんだかとっても椿さんに似ているなって思って、お母さんのことも大好きになっちゃいました」

うふふ、と笑う女の人を見たのは産まれて初めてだった。

「そう、前はとってもよく似ていたのよ。小さい頃は。本当に女の子みたいで。…私、本当は女の子が欲しかったのよ。私のコピーみたいな。
可愛い、綺麗な子供に育てたかったのに。
はあ…、なんで、こうなったんだか…。あなた知ってる?子供の性別って父親の精子で決まるらしいのよ。やっぱり父親がロクな人間じゃなかったから、あんな子しか授かれなかったのかしら。私は何も悪くないのに…なんで…。
ごめんなさいね。初対面なのにこんな話しちゃって。でも、あなたもすぐ分かるわ。あの子の本質が。なんていうか、いつまでも子供のままで成長してないというか、主体性というものが無いでしょ?あの子。それをいつも私のせいみたいな態度を取って…。声だって小さくて聞き取りにくいからいつも苦労しているのよ。
ものだってロクに食べないからあんなに痩せてるのよ。いいわよねー。若い男ってだけで体が持つんだから。
あの子、あれで無神経なところがあるから、いつも何か深刻そうにしてるけど、本当は悩みなんて何も無いに決まってるわよ。
あら、ほんとごめんなさい。あなたが、とってもいい子だからつい…。
私だって本当はこんなこと言いたくないんだけど、あの子のことがとっても心配だから、つい言ってしまうの。許してね。本当にごめんなさいね…」

「あのさ、」

誰のせいで、と言おうとした時にガラガラとドアが開く音が聞こえた。振り返ると、先生が肩で息をして立っていた。スタスタとこっちに歩いてきてから「…はい、お茶」と俺に押し付けるように手渡した。

「…お母さん、もう帰るよ。彼、バイトだから」
「……そう。残念。もっとお話ししたかったから」
「ほんと俺もそう思う!ごめんね、お母さん、またねー、バイバイ!」

…マジでバイトという口実があって良かった。病室から出てドアを閉め切っても、あのお母さんに見られている気がした。
「なんで?どうして?」と絶えず聞いたり、楽しくなると無邪気にはしゃぐのは子供と同じだけど、子供よりもずっと厄介だった。
先生の親じゃなかったら、ワイヤレスイヤホンして全シカトするレベルで、しつこかった。

駐車場で車に乗り込んだとたん、二人とも「はあ…」と深いため息を吐いた。

「先生、ちょっとごめん…」

昼間だし、フツーに駐車場係のおじちゃんもいるけど、先生に抱き着いた。先生はシートと俺の間で「ちょっと」「おい」と怒ったような声で抗議していた。それでも、すぐに何か察したのかただ黙ってされるがままになっていた。
先生の腕も背中も触れたところは全部固くて、紛れもない男の身体だった。


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