341 / 351
8話 異世界人の集い8
しおりを挟む
「おい、見たか。さっきの女。
なかなかの上玉だったぜ」
酒の入ったジョッキを手に持ち、
机の上に足を乗せた屈強な男が、
そう口を開いた。
「へへっ。兄貴の目に止まっち
まうとは......俺らも協力しますよ」
「しかし、見ない顔でしたね」
すると、周りにいた手下達が、自分達の
組合カードに目を移し始める。
「出身地は......レルバ帝国? 聞いたこと
ねぇや」
「ちげぇだろ!! 出身地なんざ
どうでもいい! あの女の能力値を調べろ」
そう怒鳴り散らかして、男は手下に
ジョッキを投げる。
慌ててもう一度、組合カードに目を移した
手下の一人が兄貴に向かって言った。
「兄貴、先ほどの女の能力値は
7万程度でっせ!」
「7万? ゴミだな。よし、お前ら。
狩りの時間だ。行くぞ」
そう手下に命令し、男は立ち上がる。
「へいっ!兄貴!」
「へへへっ......俺らにも少しは遊ばして
くださいよ」
その後を、手下達が下劣な顔を浮かべて、
ぞろぞろと付いていった。
「それでは、隼人様。こちらの中に
お入りください」
「え、これって変な表情になっても
撮り直しできるんですよね?」
「できません。一度切りにございます」
丁度その頃。隼人は顔写真を撮られる
ことを嫌がっていた。
「隼人、早く用事を済ませて帰りたいの
であろう? ならば、大人しくその
中に入るべきだ」
「......そう......ですよね」
そうタチアナに言われ、黙ってその
機械の中へと入っていく。
やれやれ......
そうタチアナが呆れていた時だった。
「っ!?」
途轍もない衝撃が、自分の背中に走る。
誰かに蹴られた。
そう気づいたが、あまりの痛みに
倒れた体を起き上がらすことができない。
「おい、そっち押さえてろ」
「へいっ!」
そして、何故だか少しも体に力が
入らない。
タチアナは無抵抗のまま、三人の男に
縛られていく。
「なんだ? なんだ?」
「喧嘩か?」
すると、騒ぎを聞きつけた
異世界人達が、周囲に集まってくる。
「おい......あれって......」
「うわぁ......運がねぇなぁ......あの女」
「シェアルの女狩りの餌食になっちま
ったのか......」
だが、誰一人として、タチアナを
助けようともしない。
「貴様っ!!」
タチアナは鋭い目付きで、その
シェアルという男を威嚇する。
「いいなぁ! その表情! 痛ぶりがい
が、ありそうだぜ!!」
だが、それが逆にシェアルの
欲望を駆り立ててしまった。
「な、何を......は、離せっ!」
タチアナは本能的に危ないと悟った。
だから、どうにかして逃げようとした。
けれども、体に力が入らない。
必死に叫んでも、誰も助けようともしない。
皆がただ、同情の目で、シェアルに襲われる
タチアナを見ていた。
「隼人......助け──」
その時だった。
「止めときなよ。君、死ぬよ」
なかなかの上玉だったぜ」
酒の入ったジョッキを手に持ち、
机の上に足を乗せた屈強な男が、
そう口を開いた。
「へへっ。兄貴の目に止まっち
まうとは......俺らも協力しますよ」
「しかし、見ない顔でしたね」
すると、周りにいた手下達が、自分達の
組合カードに目を移し始める。
「出身地は......レルバ帝国? 聞いたこと
ねぇや」
「ちげぇだろ!! 出身地なんざ
どうでもいい! あの女の能力値を調べろ」
そう怒鳴り散らかして、男は手下に
ジョッキを投げる。
慌ててもう一度、組合カードに目を移した
手下の一人が兄貴に向かって言った。
「兄貴、先ほどの女の能力値は
7万程度でっせ!」
「7万? ゴミだな。よし、お前ら。
狩りの時間だ。行くぞ」
そう手下に命令し、男は立ち上がる。
「へいっ!兄貴!」
「へへへっ......俺らにも少しは遊ばして
くださいよ」
その後を、手下達が下劣な顔を浮かべて、
ぞろぞろと付いていった。
「それでは、隼人様。こちらの中に
お入りください」
「え、これって変な表情になっても
撮り直しできるんですよね?」
「できません。一度切りにございます」
丁度その頃。隼人は顔写真を撮られる
ことを嫌がっていた。
「隼人、早く用事を済ませて帰りたいの
であろう? ならば、大人しくその
中に入るべきだ」
「......そう......ですよね」
そうタチアナに言われ、黙ってその
機械の中へと入っていく。
やれやれ......
そうタチアナが呆れていた時だった。
「っ!?」
途轍もない衝撃が、自分の背中に走る。
誰かに蹴られた。
そう気づいたが、あまりの痛みに
倒れた体を起き上がらすことができない。
「おい、そっち押さえてろ」
「へいっ!」
そして、何故だか少しも体に力が
入らない。
タチアナは無抵抗のまま、三人の男に
縛られていく。
「なんだ? なんだ?」
「喧嘩か?」
すると、騒ぎを聞きつけた
異世界人達が、周囲に集まってくる。
「おい......あれって......」
「うわぁ......運がねぇなぁ......あの女」
「シェアルの女狩りの餌食になっちま
ったのか......」
だが、誰一人として、タチアナを
助けようともしない。
「貴様っ!!」
タチアナは鋭い目付きで、その
シェアルという男を威嚇する。
「いいなぁ! その表情! 痛ぶりがい
が、ありそうだぜ!!」
だが、それが逆にシェアルの
欲望を駆り立ててしまった。
「な、何を......は、離せっ!」
タチアナは本能的に危ないと悟った。
だから、どうにかして逃げようとした。
けれども、体に力が入らない。
必死に叫んでも、誰も助けようともしない。
皆がただ、同情の目で、シェアルに襲われる
タチアナを見ていた。
「隼人......助け──」
その時だった。
「止めときなよ。君、死ぬよ」
0
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します
カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。
そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。
それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。
これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。
更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。
ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。
しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い……
これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる