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三百二十六話 クリア
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みるみるうちに体の体温が下がっていく
タチアナの死体を俺はゆっくりと
地面に寝かした。
後ろを振り向けば、先ほど俺に何かを
叫ぼうとしていた魔王の死体が
転がっていた。
これで間違いなく魔王は死んだ。
だが、まだ終わってない。
俺には最後にやらなけれ
ばならないことがある。
俺は右手を上げて、今タチアナから
吸収した魔力を全て上空に放った。
すると、その魔力は城の天井を
突き破って、花火のように散り、
雨のように辺りに降り注いだ。
「ゴホッ!!」
その雨粒を受け取ったタチアナの
兄ちゃんが、血を吐きながらも
息を吹き返す。
「バーゼン!」
俺の様子をうかがっていた鬼灯は
生き返った彼の元に駆け寄った。
きっと直に他にも息を吹き返す者が続々
と現れるだろう。
だが、俺にはそれを見届ける時間は
残されてなかった。
視界が次第に暗くなる。
これは眠気によく似ていた。
俺はいつもこの睡魔によって
世界を旅立つ。
この後この世界は一体どうなるの
だろう。
見届けたい人物が何人もいる。
幸せになって欲しい。
俺にはそう願うことしかできない。
俺はまた別の異世界に転生させ
られるのだ。
けれど、今回はこれっぽっちも
悲しくなかった。
それはきっと俺を待っている
人がいるからなのだろう。
もうこのまま目を閉じたって何も
怖くない。
すると、その時鬼灯が俺に何を
言っているのが聞こえた。
しかし、この眠気ではっきりと
彼女の言っている言葉がわからなかっ
たが、俺が意識を失うその直前だけ、
彼女の言葉がはっきりと聞こえた。
彼女は俺にこう言っていた。
「タチアナを頼んだよ!」
と.........
「重......」
俺は自分に乗っかってる何かの重みで
目を覚ました。
「おかえり。隼人君。」
まだ目を開けていない俺の耳に、
いつもの神様の一言が耳に入ってくる。
いつもなら
あー、またか......
と憂鬱な表情を浮かべて
このベットから出るのだが、
今回は違った。
俺はばっと目を開けてベットから
飛び起きようとする。
しかし、それができなかった。
なぜなら、先ほどから俺の上に誰かが
いるから。
俺はまさかと思い、ゆっくりと
布団の中を覗いてみた。
「......」
俺はほっとした。
「よかった......成功してた......」
なぜなら、俺の視線の先には、
心地良さそうに寝息を立てて目を
閉じているタチアナがいたから。
タチアナの死体を俺はゆっくりと
地面に寝かした。
後ろを振り向けば、先ほど俺に何かを
叫ぼうとしていた魔王の死体が
転がっていた。
これで間違いなく魔王は死んだ。
だが、まだ終わってない。
俺には最後にやらなけれ
ばならないことがある。
俺は右手を上げて、今タチアナから
吸収した魔力を全て上空に放った。
すると、その魔力は城の天井を
突き破って、花火のように散り、
雨のように辺りに降り注いだ。
「ゴホッ!!」
その雨粒を受け取ったタチアナの
兄ちゃんが、血を吐きながらも
息を吹き返す。
「バーゼン!」
俺の様子をうかがっていた鬼灯は
生き返った彼の元に駆け寄った。
きっと直に他にも息を吹き返す者が続々
と現れるだろう。
だが、俺にはそれを見届ける時間は
残されてなかった。
視界が次第に暗くなる。
これは眠気によく似ていた。
俺はいつもこの睡魔によって
世界を旅立つ。
この後この世界は一体どうなるの
だろう。
見届けたい人物が何人もいる。
幸せになって欲しい。
俺にはそう願うことしかできない。
俺はまた別の異世界に転生させ
られるのだ。
けれど、今回はこれっぽっちも
悲しくなかった。
それはきっと俺を待っている
人がいるからなのだろう。
もうこのまま目を閉じたって何も
怖くない。
すると、その時鬼灯が俺に何を
言っているのが聞こえた。
しかし、この眠気ではっきりと
彼女の言っている言葉がわからなかっ
たが、俺が意識を失うその直前だけ、
彼女の言葉がはっきりと聞こえた。
彼女は俺にこう言っていた。
「タチアナを頼んだよ!」
と.........
「重......」
俺は自分に乗っかってる何かの重みで
目を覚ました。
「おかえり。隼人君。」
まだ目を開けていない俺の耳に、
いつもの神様の一言が耳に入ってくる。
いつもなら
あー、またか......
と憂鬱な表情を浮かべて
このベットから出るのだが、
今回は違った。
俺はばっと目を開けてベットから
飛び起きようとする。
しかし、それができなかった。
なぜなら、先ほどから俺の上に誰かが
いるから。
俺はまさかと思い、ゆっくりと
布団の中を覗いてみた。
「......」
俺はほっとした。
「よかった......成功してた......」
なぜなら、俺の視線の先には、
心地良さそうに寝息を立てて目を
閉じているタチアナがいたから。
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