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三百八話 光8

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「姉様! 一体これはどういうこと
なのだよ!」


「?」


「この紙に次の討伐部隊のリーダー
として姉様の名前が載ってある!」


「ああ......それ......」


険悪な表情で部屋に入ってきた
バーゼンに、爪をパチパチと
切りながら姉様と呼ばれた女性は
答えた。
髪はバーゼンと同じ赤色。
逆に目はぱっちりとした
綺麗な女性だった。


「ああそれではないのだよ! 
俺は何故姉様の名前がここに
載っているのかを聞いているのだよ!」


「こら......バーゼン。
私の部屋ではいつも静かにしなさいと
言っているでしょ。」


「今はそれどころではないのだよ。
質問に答えてくれ、姉様!」


「ガンナーの隊長である私に、
政府から次の呪覆島へ遠征に
討伐隊のリーダーとして加わってくれ
ないかと頼まれたのですよ。」


「なっ! 姉様! まさかそれを引き受けた
のか!?」


バーゼンが驚愕する中、バーゼンの
姉は当然のように頷く。


「どうしてなのだよ! 
この遠征が無謀であることなど
姉様もわかっているだろう!
こんなの死ににいくようなもの
なのだよ!」


「ですが、誰かがこの討伐隊を
率いらなければ、それこそ
この隊員達は無駄死にしてしまいます。
私はそうならないためにも、
自分でこの選択をしたのですよ。」


「ならば......俺も共に姉様と
行くのだよ。」


「馬鹿を言うんじゃありません。
確かに、貴方には素質がある。
私よりもずっと。レベルも550を超えて
直に帝国精鋭隊の仲間入りをする
でしょう。
ですが、今の貴方では足手まといです。
大人しく鍛練に励みなさい。」


「そ、そんな......」


姉に冷たいことを言われて
自分の無力感に打ちひしがれる
バーゼンに、姉はそっと近づき、ギュと
彼を抱き締めた。


「酷いことを言ってごめんなさい。
でもね、私は決して死ぬために行くので
ないんですよ。きっと......何か成果を
得てここに帰ってきます。」


「......」


「たから、貴方もいい加減その
泣き虫なところを克服しておきなさい。
次に私と会う時には立派な
ルーベルト家の男として成長している
のですよ。」



それから三ヶ月後、バーゼンの姉は
討伐隊のリーダーとして、ヤナハや
下の大陸中からかき集められた職業者
達と共に、呪術島へ幹部討伐を目標に
出港した。
しかし、その後彼女が
バーゼンの元に帰って来ることは
なかった。


そして、そらからまたしばらくして
実はその討伐隊のリーダーとして
一番最初に白羽の矢が立ったのは
自分であったことと、それを
断固拒否したのが姉であったことを
バーゼンは知ったのだった。
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