297 / 351
二百九十七話 真実5
しおりを挟む
「父母様。残念ながらこの子には
騎士としての才が全くもって
ございません。はっきり言って、
これ以上稽古をつけても無駄に
ございます。」
「うむ......」
「......睡蓮は
もう既にレベル100を超えていると
いうのに......全くあの子は
我が家の面汚しですわ。」
鬼灯が生まれた家は
代々王族の護衛を任される
騎士を多く排出していた。
だから、鬼灯はまだ僅か7才にして
剣術の稽古を強いられた。
それから、三年が経ったが
彼女の兄弟姉妹が才能を開花させて
いく中、鬼灯だけはレベル30にも
届かず、親からはこの言われよう
だった。
「おい、鬼灯。いつも人の後ろに
くっついてて気持ち悪いぞ。」
「そうだ、そうだ!」
「落ちこぼれ!」
「......」
そして、口数の少なかった
鬼灯は兄弟姉妹からも
いじめられていた。
「あ! 睡蓮兄さん!」
「睡蓮お兄ちゃん、 聞いて!今日も
鬼灯の奴、師匠に怒られてたんだよ!」
鬼灯の実の兄である
睡蓮は、怯える鬼灯に
歩みより
パンッ!
と、頬を叩いた。
さらに睡蓮は、その勢いで床に倒れた
鬼灯の腹を何度も蹴る。
「なんでお前なんて生まれてきたん
だろうな! ただでさえ、存在感が
ないんだから、誰にも見られないと
ころで細々と生きるか、それかいっその
こと死ねよ。」
辛辣な言葉を浴びせた睡蓮は、
泣いて痛がる鬼灯を見て愉快に笑った。
そして、一年後......
「もう、この家から出ていきなさい。
鬼灯。そして、決してお前のような
奴が私の子供であることを誰にも知ら
れないように。」
鬼灯は実の父からそう言われたのだった。
家から追い出された鬼灯は
騎士を止めた。
そもそも、自分にはこの職業が
合っていないということは
最初から気がついていた。
無口で影が薄くて、存在感の無い
自分に向いている職業といったら......
鬼灯はギルドの受付嬢に
盗賊になりたいと言ったのだった。
それから、鬼灯は盗賊としての
才能を開花させていき、
十五才にして、レベル400に達して
盗賊の最高位職である忍者になった頃。
彼女は運命の出会いをした。
それは、空が曇天模様で
気分が晴れない昼頃だった。
鬼灯はその才気を認められて
城に招かれたが、慣れない場所で
落ち着かず、城の庭園で暇を
潰していた。
が、暇を潰していたというのは
半分嘘だった。
実は今、自分以外にも
優秀な職業者達が集められており、
その中に彼女の兄である睡蓮も
含まれているようだった。
鬼灯は睡蓮と出くわさないよう、
逃げるように外に出てきたのだ。
頼むから......あいつとは......会いた
くない......
そう心の中で願っていた鬼灯に
「何故君はこんなところで
一人でいるのだ。」
話しかけてきたのは彼女だった。
騎士としての才が全くもって
ございません。はっきり言って、
これ以上稽古をつけても無駄に
ございます。」
「うむ......」
「......睡蓮は
もう既にレベル100を超えていると
いうのに......全くあの子は
我が家の面汚しですわ。」
鬼灯が生まれた家は
代々王族の護衛を任される
騎士を多く排出していた。
だから、鬼灯はまだ僅か7才にして
剣術の稽古を強いられた。
それから、三年が経ったが
彼女の兄弟姉妹が才能を開花させて
いく中、鬼灯だけはレベル30にも
届かず、親からはこの言われよう
だった。
「おい、鬼灯。いつも人の後ろに
くっついてて気持ち悪いぞ。」
「そうだ、そうだ!」
「落ちこぼれ!」
「......」
そして、口数の少なかった
鬼灯は兄弟姉妹からも
いじめられていた。
「あ! 睡蓮兄さん!」
「睡蓮お兄ちゃん、 聞いて!今日も
鬼灯の奴、師匠に怒られてたんだよ!」
鬼灯の実の兄である
睡蓮は、怯える鬼灯に
歩みより
パンッ!
と、頬を叩いた。
さらに睡蓮は、その勢いで床に倒れた
鬼灯の腹を何度も蹴る。
「なんでお前なんて生まれてきたん
だろうな! ただでさえ、存在感が
ないんだから、誰にも見られないと
ころで細々と生きるか、それかいっその
こと死ねよ。」
辛辣な言葉を浴びせた睡蓮は、
泣いて痛がる鬼灯を見て愉快に笑った。
そして、一年後......
「もう、この家から出ていきなさい。
鬼灯。そして、決してお前のような
奴が私の子供であることを誰にも知ら
れないように。」
鬼灯は実の父からそう言われたのだった。
家から追い出された鬼灯は
騎士を止めた。
そもそも、自分にはこの職業が
合っていないということは
最初から気がついていた。
無口で影が薄くて、存在感の無い
自分に向いている職業といったら......
鬼灯はギルドの受付嬢に
盗賊になりたいと言ったのだった。
それから、鬼灯は盗賊としての
才能を開花させていき、
十五才にして、レベル400に達して
盗賊の最高位職である忍者になった頃。
彼女は運命の出会いをした。
それは、空が曇天模様で
気分が晴れない昼頃だった。
鬼灯はその才気を認められて
城に招かれたが、慣れない場所で
落ち着かず、城の庭園で暇を
潰していた。
が、暇を潰していたというのは
半分嘘だった。
実は今、自分以外にも
優秀な職業者達が集められており、
その中に彼女の兄である睡蓮も
含まれているようだった。
鬼灯は睡蓮と出くわさないよう、
逃げるように外に出てきたのだ。
頼むから......あいつとは......会いた
くない......
そう心の中で願っていた鬼灯に
「何故君はこんなところで
一人でいるのだ。」
話しかけてきたのは彼女だった。
0
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる