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二百七十一話 魔王城4
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「グラビティー!!!」
突如として再び姿を現したピエロは、
両手を広げて広範囲に重圧をかける。
その広さは約直径百メートル。
生き残っていた職業者達全員が
その範囲内に位置していた。
「まだ......死んでおらなかったか......」
弱い者から順に意識を失っていく。
そんな中でまだこの重圧に耐えて
いる者を確認した長老だったが
「......やはり......バーゼン君と
鬼灯ちゃんだけか......」
意識を保てていたのは長老を
含む三人だけのようだった。
そのピエロは勝ち誇った顔をして、
悔しそうな表情を浮かべている長老の
横を通り過ぎ、とある職業者の前に
立つ。
「よく見ておくのだぞ。お前たちの
未来を。」
そう言ってピエロはその意識を
失っている職業者の顔に手を当て
グシャッ!!
と、鈍い音をたてながらその職業者の
顔を重圧で破壊した。
「!?」
その光景を見て絶望的な表情を
浮かべる三人を横に、ピエロはまた
もう一人の職業者の前に立ち
グシャッ!!
と、今度は内臓を飛び散らせ
ながら腹部を破壊した。
「や、止め──」
「これは俺を怒らせた罰だぞ。
お前らはそこで重力に縛りつけられ
ながら、仲間が一人一人死んでいくのを
見とけだぞ。」
......まだ......腕だけなら!!
と、我慢の限界が来たバーゼンは、
服の中に隠していた小型銃を
取り出し何発か発泡する。
「そんな物を仕込んでいたのか。」
が、ピエロは再び紙のようにひらっと
銃弾をかわす。
「......糞っ!!」
「無駄だぞ。俺は自分にかかっている
重圧を極限まで低くすることで、
微小な風でも遠くまで飛ぶ体になるぞ。
だから、その銃弾が帯びている
風圧で勝手に俺はその銃弾を
かわせるのだぞ。」
「......もう......無理......」
と、ここで鬼灯が意識を失ってしまった。
残されたのは重圧で身動きの取れない
長老とバーゼンのみ。
「さあ、次はお前だぞ。」
すると、そのピエロが次の獲物と
したのは
「牛喜!!!」
バーゼンの部下だった。
バーゼンの叫び声を聞いて
愉快な表情をしながら、
ピエロは牛喜の顔に手を当てる。
「止めろ!」
「止めないのだぞ。さあ、死ね!!」
その時。
意識を失っていたはずの牛喜はかっと
目を開き、ピエロに飛びかかる。
重圧の中のため、多少時間は
かかったが、油断していたピエロを
捕まえるには充分だった。
あの長老やバーゼンが
身動きの取れない重圧の中
「オオオオオオオオオッ!!!!」
と雄叫びを上げながら立ち上がり、
ピエロを後ろから捕まえる。
「何故なのだぞ! まさか!
お前意識を失った振りを
していたな!?」
後ろにしがみついている牛喜を、
ピエロは引き剥がそうと暴れまくる。
「隊長!!!!!! 早く!!!!」
その言葉の意味がバーゼンには
直ぐにわかった。
だが、それを躊躇していたら、
この好機は直ぐに過ぎ去ってしまう。
何とか奮闘する牛喜だったが、
今にも重圧に負けて意識を
失ってしまいそうだった。
「それでは、お前にも銃弾が──」
「構いません!!! 我輩ごと
この魔族を!!!」
その牛喜の真剣な眼差しに、
バーゼンの躊躇いは無くなった。
「よく言ったのだよ。
お前のような偉大な職業者が
俺の部下であることを、俺は
誇りに思う。」
バンッ!!!
バーゼンは決してそれから
目を逸らすこと無く、最後まで
見続けた。
弾が貫通し、十二発の銃弾
を受け止め先に地面に倒れた
牛喜の姿と、口から大量の
血をはき、十五発の銃弾を
食らってようやく倒れた
ピエロの姿を。
突如として再び姿を現したピエロは、
両手を広げて広範囲に重圧をかける。
その広さは約直径百メートル。
生き残っていた職業者達全員が
その範囲内に位置していた。
「まだ......死んでおらなかったか......」
弱い者から順に意識を失っていく。
そんな中でまだこの重圧に耐えて
いる者を確認した長老だったが
「......やはり......バーゼン君と
鬼灯ちゃんだけか......」
意識を保てていたのは長老を
含む三人だけのようだった。
そのピエロは勝ち誇った顔をして、
悔しそうな表情を浮かべている長老の
横を通り過ぎ、とある職業者の前に
立つ。
「よく見ておくのだぞ。お前たちの
未来を。」
そう言ってピエロはその意識を
失っている職業者の顔に手を当て
グシャッ!!
と、鈍い音をたてながらその職業者の
顔を重圧で破壊した。
「!?」
その光景を見て絶望的な表情を
浮かべる三人を横に、ピエロはまた
もう一人の職業者の前に立ち
グシャッ!!
と、今度は内臓を飛び散らせ
ながら腹部を破壊した。
「や、止め──」
「これは俺を怒らせた罰だぞ。
お前らはそこで重力に縛りつけられ
ながら、仲間が一人一人死んでいくのを
見とけだぞ。」
......まだ......腕だけなら!!
と、我慢の限界が来たバーゼンは、
服の中に隠していた小型銃を
取り出し何発か発泡する。
「そんな物を仕込んでいたのか。」
が、ピエロは再び紙のようにひらっと
銃弾をかわす。
「......糞っ!!」
「無駄だぞ。俺は自分にかかっている
重圧を極限まで低くすることで、
微小な風でも遠くまで飛ぶ体になるぞ。
だから、その銃弾が帯びている
風圧で勝手に俺はその銃弾を
かわせるのだぞ。」
「......もう......無理......」
と、ここで鬼灯が意識を失ってしまった。
残されたのは重圧で身動きの取れない
長老とバーゼンのみ。
「さあ、次はお前だぞ。」
すると、そのピエロが次の獲物と
したのは
「牛喜!!!」
バーゼンの部下だった。
バーゼンの叫び声を聞いて
愉快な表情をしながら、
ピエロは牛喜の顔に手を当てる。
「止めろ!」
「止めないのだぞ。さあ、死ね!!」
その時。
意識を失っていたはずの牛喜はかっと
目を開き、ピエロに飛びかかる。
重圧の中のため、多少時間は
かかったが、油断していたピエロを
捕まえるには充分だった。
あの長老やバーゼンが
身動きの取れない重圧の中
「オオオオオオオオオッ!!!!」
と雄叫びを上げながら立ち上がり、
ピエロを後ろから捕まえる。
「何故なのだぞ! まさか!
お前意識を失った振りを
していたな!?」
後ろにしがみついている牛喜を、
ピエロは引き剥がそうと暴れまくる。
「隊長!!!!!! 早く!!!!」
その言葉の意味がバーゼンには
直ぐにわかった。
だが、それを躊躇していたら、
この好機は直ぐに過ぎ去ってしまう。
何とか奮闘する牛喜だったが、
今にも重圧に負けて意識を
失ってしまいそうだった。
「それでは、お前にも銃弾が──」
「構いません!!! 我輩ごと
この魔族を!!!」
その牛喜の真剣な眼差しに、
バーゼンの躊躇いは無くなった。
「よく言ったのだよ。
お前のような偉大な職業者が
俺の部下であることを、俺は
誇りに思う。」
バンッ!!!
バーゼンは決してそれから
目を逸らすこと無く、最後まで
見続けた。
弾が貫通し、十二発の銃弾
を受け止め先に地面に倒れた
牛喜の姿と、口から大量の
血をはき、十五発の銃弾を
食らってようやく倒れた
ピエロの姿を。
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