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二百五十七話 フリーズランド17

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「ど、どうしてそれを......」


「君の兄ちゃんから聞いた。さっき
船から降りるとき。」


「そ、そうか......兄様が......」


明らかにタチアナから
先ほどまでの楽しそうだった
表情がなくなった。
俺はタチアナを刺激しないように
慎重に話を進める。


「これから少しそれについて
質問するがいいか?答えたく
なかったらすぐに言ってくれ。」


俺の言葉にタチアナは
嫌そうではあるがこくっと頷く。


「その......保護された時のことは
覚えているか?」


「......何も......ただ、兄様が
裸のまま立っていた私を保護して
くれたと聞いただけだ。」


「......そうか。ちなみに、タチアナ。
その保護される前の記憶はあるのか?」


「保護される前?」


「ああ。五年前だからだいたい
タチアナが十五才とか十四才くらいの
頃の記憶だ。」


タチアナは首を横に振る。
もう声を出すのも嫌な質問を
俺は今しているのだろう。
だが、俺は更に続けた。


「前にさガビルさんっていう
人からお前について聞いたんだが......
お前って十五才で最高位職の勇者に
なったんだよな? そのことは覚えて
いるのか?」


「......それは覚えている。私が勇者に
なったのは兄様に保護されてから
1ヶ月後ぐらいだったからな。」


「なるほど。記憶があるのは
それから今に至るまでか......」


俺は頭の整理をしながら、
なぜタチアナが呪覆島で
保護されたのかを推理していると、
タチアナが俺から視線をそらし


「気持ち悪いだろ......こんな記憶喪失の
得体の知れない私が......」


と、また自分を卑下し始めたので
軽くタチアナの額にデコピンした。


「あほ。記憶喪失した人なんて
何百回も見てきたよ。
だから、別に珍しくもないし、
気持ち悪くもない。
タチアナはタチアナだ。」


「......ありがとう......」


すると、タチアナの目からぽろぽろと
涙がこぼれ落ちる。
今までも何度か涙目になっているのは
見たことがあるが、ここまで
大胆に泣いているのは初めて見た。
タチアナも、自分でも驚いているようで
必死に涙を拭っている。


「ほら。」


俺はその涙を拭いてもらうために
着ていたマントを咄嗟に
貸したが......


「ふーーーんっ!!!」


と、天然な彼女はチーン用に使った
のだった。
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