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二百一話 再会を夢見て15

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「すまん! これ運ぶの手伝ってくれ!」


「ああ! わかった!」


「これはどこに運べばいいの?」


「あっちだ! あっち!」


太陽に日が登り、この島にきて
四日目が経とうとしているなか、
船内は食料や船旅に必要な
物を運び込むのに慌ただしく
なってきた。
人魚姫と交わした約束の期限まで
おそらくもう一時間もない。
もしも約束を破ってしまえば、
魚人達は俺たちに攻撃を
仕掛けてくる可能性があるため
皆必死だった。


「牛喜さんこれってどこに......」


「おお、隼人! こっちだこっち!」


俺もこの船に乗っているため、
なるべく目立たないように
手伝いをしていた。


「おーい! 隼人!」


すると、海から俺の名前を
呼ぶ声がする。
誰だ?  と思って顔を覗かせると
そこには海面から顔を出しながら
手を振るワインがいた。


「どうした。なんか用か?」


「あ、いや......一応、お前に礼を
言っておきたくて......」


「ああ、いいよ。この前、俺は
お前にひどいことしたし、
そんときの償いとでも思って
くれれば。」


「そ、それは元はと言えば俺が
お前たちの船に潜入したのが
悪かったんだし......」


「でもあれは他の魔族に命令された
だけなんだろ?」


「ああ......」


「なら、お前は悪くねぇよ。」


俺がそう言うと今にも泣きそうな
顔を浮かべるワインを見ながら、
こういうやつがもっと増えていけば、
きっとそう遠くない未来に、
人間と魚人とか互いに手を取り合って
いける日もくるんだろうなと思った。



「じゃあ、俺もやることあるから──」


「隼人!」


すると、ワインは声を張り上げて


「ありがとう!!!!!」


と言って、そのままワインは海の
中に消えていった。


「頼んだぞ。」


所詮、俺はこの世界からいなくなるんだ。
これくらいは言ってもいいだろうと
自分に言い聞かせた。


それからまたしばらくして
タチアナが全員の前に出てくる。


「これより、我々は一度ジュラ島に
帰還する! 皆、持ち場についてくれ。」


『はい!!』


タチアナの号令に各々が
自分の持ち場に移動し、
船が動き出す。



結局、あの二人は会ったのだろうか......



余計なお世話だということは
わかっていても、やはり気になって
しまい、俺は遠ざかっていく
三日月島をぼーっと眺めたのだった。



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