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百六十二話 三日月島27

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「明らかに今までの道とは
違うな。」


俺達は海底洞窟を抜け、まるで
ばかでかいアリの巣のような
洞窟へとたどり着いた。


「見てみろ隼人。そこらじゅうに
小さな池のようなものがある。
この中を潜っていけば
海に繋がるのではないか?」


「あ、そっちは行かない。絶対。」


タチアナの言う通り、そこらじゅうに
海の池がある。
もしここが魚人達の住みかなら、
おそらくああいう
池を通じて海とここを行き来して
いるのかもしれない。


「ならば、どうする? このいくつもの
分かれ道を進むつもりか?」


「......海の中を泳ぐよりかは
迷子になった方がいい。」


「なにをバカなことを......。
はぁ......わかった。とりあえず、
進んでみよう。」


「助かるよ。でも、ここって結構、
整備されているのに、魚人が
一人もいないな......」


洞窟の中は俺とタチアナの
言葉しか聞こえない。


「それも......そうだな。おかしい。
長老はこの島には魚人が
多く生息していると言っていたのだが、
まさかここは三日月島ではないのか?」


「じゃあ、まだ俺たちは
海底洞窟を抜けてな──」


すると突然、タチアナが俺の
口を手で塞いでくる。


「静かに。」


タチアナはそう言うと、
俺を岩影に引っ張る。


「なんだ、どうした?」


「しっ! 聞こえないのか? 
足音だ。」



「足音?」



そう言われて俺は
辺りに耳をすませてみる。


すると


コツコツと二人の慌ただしい足音が
こちらに近付いて来るのがわかった。


俺とタチアナは身を潜め、
その謎の足音が近付いてくるのを
じっと待つ。


「急いで、幹部様に報告するぞ!」


「あぁ! くそ! あの人間ども! 
まさかこのごにおよんで脱走するとは!」


「もしも一人でも人間を
逃がしたと知られたら、
俺たち魚人は魔族に殺されちまう。」


「わかってる! そんなこと!」


険悪な表情を浮かべる
二人の魚人は、そんな
会話をしながらどんどん俺らの
方へ向かってくる。


て、あれ?



なんか片方の魚人。



どっかで見たな......
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