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百五十話 三日月島15

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魚人達の陣地が業火に包まれる。
炎は逃げ惑う魚人達を捕まえ、
みるみるうちに燃やし尽くしていく。


敵地からある程度離れている船の上からも
その魚人の悲鳴が聞こえてきた。


「こ、これが......ナンバーツーの力
ですか......」


ルドルフはその脅威に呆気にとられる。



「ざっと、こんなものね。」



ヨーテルは敵地を半壊させ、陸地に
いた魚人のほとんどが炎を恐れて、
海に逃げ込んでいったのを見届けると
満足そうな顔をして言った。


その言葉に船内が沸く。


窮地から一転し、難を逃れたという
解放感から皆が歓喜を上げていた。




「素晴らしいです。ヨーテルさん。
流石で──」



「そんなことより、さっさっと長老を
見つけて、こんな島からおさらばよ。
わかったら早く準備しなさい。」


「は、はい。」


もはや完全にこの船の長の権限は、
ルドルフからヨーテルに移っていた。


「それにしてもどこに行ったのかしら.....
長老ってば......」


ヨーテルはそう言いながら自分のほうきに
またがる。


「長老が逃げるはずも無いし、何か
きっと理由があるんだわ......」


ヨーテルは浮遊魔法をほうきにかけると
ふわふわ空を飛びながら、
三日月島を見渡す。


「妙ね......たったあれだけの攻撃で
魔族達がああも易々とやられるなんて......」


ヨーテルは島をある程度見渡すと、
次に魚人が潜っていった海に
目をやる。


「特に異変はないわね......」


そう呟き、ヨーテルが船に
戻ろうとしたその時。


ヨーテルは船が揺れているのに
気がついた。


いや、違う。船が揺れているのではない。
船ではなく、海が揺れていたのだ。



三日月島近辺の海全体が
地震が起きているかのように、
揺れている。
船内ではもうすでにパニック状態
だった。


ヨーテルはそれを見ると、急いで
船に戻ろうとする。



「これは......」


ヨーテルは船に着地しようとした瞬間、
空の上であるものを見た。



「影?」



ヨーテルの目には船が浮かぶ
海面に、とてつもなく巨大な
影が映っていた。

 
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