112 / 351
百十二話 エレディア村18
しおりを挟む
「タチアナ?」
「......」
様子がおかしい。
「......すまない。何も覚えていないんだ。
何も......」
「おい、大丈夫か?」
「......何も......私は......」
「おい!」
タチアナは頭を抱え込んだと
思ったらその場にばたりと倒れてしまった。
「ここは?」
倒れたタチアナを病院に運び、
休ませること二時間。
タチアナはふっと目を覚ました。
「目、覚めたか。」
「? 我々は洞窟で話していた
はずだが......」
「覚えてないのか? タチアナ、
子供達と遊び疲れて話してる
途中に眠っちゃったんだよ。」
「そう......だったのか。すまない。
恥ずかしいところを見せたな。」
そう言うとタチアナはベットから
出る
「おい。もう立ち上がっても
大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。それよりも、隼人。
我々もそろそろこの村から三日月島に
向かおう。おそらくだが、皆、
次の島に向かったのだとしたら
その三日月島にいるかもしれない。
だから上手くいけば我々と皆は
そこで合流できる可能性もある。」
「いや、だがな──」
「もし私が今みたいに疲れて倒れても
君がいてくれるのなら
安心さ。頼りにしているぞ。」
タチアナはそう言ってぽんぽんと俺の不安をよそに肩を叩いてくる。
俺が不安がってるのは、
タチアナがまた疲れて倒れるんじゃないか
とかではなく、洞窟で彼女が倒れたとき、
全く回復魔法が効かなかったことだ。
疲れて倒れたのであれば、
ヒールで数分足らずで目を覚ます。
だが、あのときは違った。
別の魔法をかけても全く効かなかった。
では何故彼女は急に倒れたのか?
考えられるのは一つ。
俺がした質問。
俺のあの質問で彼女の様子が
一変した。
しかも、そのことについてタチアナは
全く覚えてない。
人は耐えられないほど辛かったことを
無意識的に記憶から消すことが
あるらしいが......まさかな......
「どうした、隼人? 行くぞ。」
「あぁ、わかった。」
俺はあの時、何か、何か重要な
ことを目の当たりにした、
そんな気がしてならなかった。
「......」
様子がおかしい。
「......すまない。何も覚えていないんだ。
何も......」
「おい、大丈夫か?」
「......何も......私は......」
「おい!」
タチアナは頭を抱え込んだと
思ったらその場にばたりと倒れてしまった。
「ここは?」
倒れたタチアナを病院に運び、
休ませること二時間。
タチアナはふっと目を覚ました。
「目、覚めたか。」
「? 我々は洞窟で話していた
はずだが......」
「覚えてないのか? タチアナ、
子供達と遊び疲れて話してる
途中に眠っちゃったんだよ。」
「そう......だったのか。すまない。
恥ずかしいところを見せたな。」
そう言うとタチアナはベットから
出る
「おい。もう立ち上がっても
大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。それよりも、隼人。
我々もそろそろこの村から三日月島に
向かおう。おそらくだが、皆、
次の島に向かったのだとしたら
その三日月島にいるかもしれない。
だから上手くいけば我々と皆は
そこで合流できる可能性もある。」
「いや、だがな──」
「もし私が今みたいに疲れて倒れても
君がいてくれるのなら
安心さ。頼りにしているぞ。」
タチアナはそう言ってぽんぽんと俺の不安をよそに肩を叩いてくる。
俺が不安がってるのは、
タチアナがまた疲れて倒れるんじゃないか
とかではなく、洞窟で彼女が倒れたとき、
全く回復魔法が効かなかったことだ。
疲れて倒れたのであれば、
ヒールで数分足らずで目を覚ます。
だが、あのときは違った。
別の魔法をかけても全く効かなかった。
では何故彼女は急に倒れたのか?
考えられるのは一つ。
俺がした質問。
俺のあの質問で彼女の様子が
一変した。
しかも、そのことについてタチアナは
全く覚えてない。
人は耐えられないほど辛かったことを
無意識的に記憶から消すことが
あるらしいが......まさかな......
「どうした、隼人? 行くぞ。」
「あぁ、わかった。」
俺はあの時、何か、何か重要な
ことを目の当たりにした、
そんな気がしてならなかった。
10
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!
織侍紗(@'ω'@)ん?
ファンタジー
ルーチェ村に住む少年アインス。幼い頃両親を亡くしたアインスは幼馴染の少女プラムやその家族たちと仲良く過ごしていた。そして今年で十二歳になるアインスはプラムと共に近くの町にある学園へと通うことになる。
そこではまず初めにこの世界に生きる全ての存在が持つ職位というものを調べるのだが、そこでアインスはこの世界に存在するはずのない無職であるということがわかる。またプラムは賢者だということがわかったため、王都の学園へと離れ離れになってしまう。
その夜、アインスは自身に前世があることを思い出す。アインスは前世で嫌な上司に手柄を奪われ、リストラされたあげく無職となって死んだところを、女神のノリと嫌がらせで無職にさせられた転生者だった。
そして妖精と呼ばれる存在より、自身のことを聞かされる。それは、無職と言うのはこの世界に存在しない職位の為、この世界がアインスに気づくことが出来ない。だから、転生者に対しての調整機構が働かない、という状況だった。
アインスは聞き流す程度でしか話を聞いていなかったが、その力は軽く天災級の魔法を繰り出し、時の流れが遅くなってしまうくらいの亜光速で動き回り、貴重な魔導具を呼吸をするように簡単に創り出すことが出来るほどであった。ただ、争いやその力の希少性が公になることを極端に嫌ったアインスは、そのチート過ぎる能力を全力にバレない方向に使うのである。
これはそんな彼が前世の知識と無職の圧倒的な力を使いながら、仲間たちとスローライフを楽しむ物語である。
以前、掲載していた作品をリメイクしての再掲載です。ちょっと書きたくなったのでちまちま書いていきます。
孤高のミグラトリー 〜正体不明の謎スキル《リーディング》で高レベルスキルを手に入れた狩人の少年は、意思を持つ変形武器と共に世界を巡る〜
びゃくし
ファンタジー
そこは神が実在するとされる世界。人類が危機に陥るたび神からの助けがあった。
神から人類に授けられた石版には魔物と戦う術が記され、瘴気獣と言う名の大敵が現れた時、天成器《意思持つ変形武器》が共に戦う力となった。
狩人の息子クライは禁忌の森の人類未踏域に迷い込む。灰色に染まった天成器を見つけ、その手を触れた瞬間……。
この物語は狩人クライが世界を旅して未知なるなにかに出会う物語。
使い手によって異なる複数の形態を有する『天成器』
必殺の威力をもつ切り札『闘技』
魔法に特定の軌道、特殊な特性を加え改良する『魔法因子』
そして、ステータスに表示される謎のスキル『リーディング』。
果たしてクライは変わりゆく世界にどう順応するのか。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
チート能力でステータスの差を埋めました。
ハリー
ファンタジー
ある日突然学年ごと異世界に勇者として召喚されてしまった渡部優太。 与えられたステータスは平均以下。絶望を覚えた優太だったが固有スキルがチートだった。固有スキルはガチャを引くだけ。当たれば天国、外れれば地獄。 あらゆるスキル、魔法、従魔を使って異世界攻略を始める~。
投稿ペースはゆっくり目にしようかなと思ってます。 楽しみながら書こうと思っておりますのでよろしくお願いします!
※この作品は小説家になろう様でも投稿しています。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
スキルを極めろ!
アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作
何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める!
神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。
不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。
異世界でジンとして生きていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる