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九十八話 エレディア村4
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「あの任務でラーバが出没したのを
知っているのは隊長及び、私の
部下ビルメとアルナだけだ。
ドッペを含む君らはラーバの姿を
確認すること無く、眠らされた
はずだが......」
「......」
「もし仮に君もラーバに眠らされて
いたと主張するのであれば、
その後誰かが君に、最高機密情報を
もらしたということになるな......」
俺の耳元で追い討ちをかけるように
そう囁いてくる。
「確か......君は選抜試験でえらく、
アルナと仲良くしていたな。
そうか......アルナか......
アルナが君に言ったのだな。
それなら、私は彼女の上司と
して、今度会ったときはアルナに
罰を与えなければならないな。
それはとても残念だよ。」
「......俺です......」
俺の天使であるアルナさんが人質に
とられては白状せざるおえない。
俺の言葉を聞いて、ふっと
満足げに笑うと俺の右腕から手を離した。
「そうか......では君の力、いや
君が一体何者なのかについて
教えてもらおうか。」
「それは嫌です。」
「!?」
彼女は俺が観念して全て話すとでも
思ったのか、予想外の俺の返答に、
慌てながら再び俺を拘束しようと
したが俺はこの窮地から逃れる為に
抵抗を開始した。
「俺もあなたに聞きたいことが
あるんですよ!」
「な、なんだ。」
「あなた、俺のこと嫌ってますよね!」
「!?」
「あ、今、ぎくってした。」
「し、してない。」
「してない? じゃあ聞きますけど
なんで毒状態に陥ったときに
俺に助けを求めなかったんですか?」
「......」
「俺なんかに助けを求めたく
なかったんでしょ?」
「そ、それは違う。」
「ほんとに?」
「ほ、本当だ。」
「そう言いますけど、全く
俺と目を合わせてくれませんよね。」
あ、またぎくってした。
「まあ、別にそれはいいんですよ。
あなたが俺を嫌ってようが別に。
ですけどね、あなたは
もう少しで死ぬところだったんですよ!」
「......」
「自分は隊長だからといって、
少したかをくくってるんじゃ
ないですか?」
さっきの威勢のいい彼女とは
まるで別人のように、
しゅんと落ち込んでいる。
「......俺は回復魔法士です。
たとえ、俺のことが嫌いでも頼って
ください。」
「......」
怒られるということに
慣れていないのか、彼女は
戸惑いながら頷こうとする。
「もう二度とあんな無理はしないで
ください。」
そう捨て台詞を言って、俺は
彼女が落ち込んでいるうちに、
ささっとこの部屋から脱出した
のだった。
知っているのは隊長及び、私の
部下ビルメとアルナだけだ。
ドッペを含む君らはラーバの姿を
確認すること無く、眠らされた
はずだが......」
「......」
「もし仮に君もラーバに眠らされて
いたと主張するのであれば、
その後誰かが君に、最高機密情報を
もらしたということになるな......」
俺の耳元で追い討ちをかけるように
そう囁いてくる。
「確か......君は選抜試験でえらく、
アルナと仲良くしていたな。
そうか......アルナか......
アルナが君に言ったのだな。
それなら、私は彼女の上司と
して、今度会ったときはアルナに
罰を与えなければならないな。
それはとても残念だよ。」
「......俺です......」
俺の天使であるアルナさんが人質に
とられては白状せざるおえない。
俺の言葉を聞いて、ふっと
満足げに笑うと俺の右腕から手を離した。
「そうか......では君の力、いや
君が一体何者なのかについて
教えてもらおうか。」
「それは嫌です。」
「!?」
彼女は俺が観念して全て話すとでも
思ったのか、予想外の俺の返答に、
慌てながら再び俺を拘束しようと
したが俺はこの窮地から逃れる為に
抵抗を開始した。
「俺もあなたに聞きたいことが
あるんですよ!」
「な、なんだ。」
「あなた、俺のこと嫌ってますよね!」
「!?」
「あ、今、ぎくってした。」
「し、してない。」
「してない? じゃあ聞きますけど
なんで毒状態に陥ったときに
俺に助けを求めなかったんですか?」
「......」
「俺なんかに助けを求めたく
なかったんでしょ?」
「そ、それは違う。」
「ほんとに?」
「ほ、本当だ。」
「そう言いますけど、全く
俺と目を合わせてくれませんよね。」
あ、またぎくってした。
「まあ、別にそれはいいんですよ。
あなたが俺を嫌ってようが別に。
ですけどね、あなたは
もう少しで死ぬところだったんですよ!」
「......」
「自分は隊長だからといって、
少したかをくくってるんじゃ
ないですか?」
さっきの威勢のいい彼女とは
まるで別人のように、
しゅんと落ち込んでいる。
「......俺は回復魔法士です。
たとえ、俺のことが嫌いでも頼って
ください。」
「......」
怒られるということに
慣れていないのか、彼女は
戸惑いながら頷こうとする。
「もう二度とあんな無理はしないで
ください。」
そう捨て台詞を言って、俺は
彼女が落ち込んでいるうちに、
ささっとこの部屋から脱出した
のだった。
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