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二十九話 帝国精鋭隊5
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突如、会議室の天上から女性の声が
聞こえる。
「わざわざ帝国精鋭隊を召集して、
何をしているのかと思って来て
みれば……」
一同が天を見上げると、
魔女帽子と黒いマントを被り、
ほうきにまたがったまま、会議室の
天上で浮いている女が彼らを見下し
ていた。
「ヨーテル! まさか君がこの
召集に応じてくれるとは。」
ヨーテル
帝国精鋭隊
職業魔法使い最高位職 大魔道士
レベル765
性別 女性
長老に次ぐ高レベルの職業者。
プライドが高く、容姿は可愛いが
一匹狼な性格であまり人を
寄り付けない。
「ふんっ。」
ヨーテルは無愛想にそっぽを
向くも、ほうきから
降りて、席に座る。
「くだらないとはどういう事なのだよ。」
「そのまんまの意味よ。
わざわざ使えない奴らを集めて
討伐軍を結成するなんて
くだらない以外の何ものでもないわ。」
「ろくに会議にも出席せず、
のうのうと一人でいつもどこがで
時間を過ごしているお前のような
やつに、俺の妹が考えた案をくだらない
などと言う権利など無いのだよ。」
「はぁ? あんたこそ、この間の
幹部との戦闘で瀕死に追いやら
れたクズのくせによくも私にそんな
口が聞けたものね。あんたなんて
いてもいなくてもいっしょなんだから
さっさと帝国精鋭隊を辞めたら?」
「……言わせておけば……おもてに出るのだよ。
どちらが上かはっきりさせてやる。」
「いいわよ? こてんぱんにやられて
恥かいても知らないんだから。」
「おい、もうよせって二人共!」
いつもは冷静なバーゼンとヨーテルの
言い合いに珍しく、カクバが止めに入る。
「今は喧嘩なんかしている場合じゃね
ぇだろ。」
「あぁ、そうだ。
ヨーテル、君があまり他人と
協力したくないのは知っている
が、今はそんなことを嫌がって
いる時では無いんだ。」
「別に嫌がってなんかいないわよ。
私はただ、役に立ちそうも無い奴らを
ぞろぞろ魔王討伐に連れて行っても
邪魔になるだけって言ってんの。」
「確かに、仲間が多すぎても、
戦う時かえって邪魔になる時あります
もんね~。特に回復魔法士とか。」
ルバルフの言葉にサッちゃんが
びくっとする。
「は? なんでだよ。回復職の人間は
討伐任務には必要不可欠だぞ。」
「そうでしょうか? 正直、
回復や一時的なステータスアップ
なんかはポーションで
代用できますし、逆に戦えもしない
彼らが戦闘の場にいると、ただでさせ
手一杯な僕たちが守らなければなら
なくなる。はっきり言って重みです。」
「で、でも! ポーションより
私達の魔法の方が圧倒的に回復量も
強化量も多いです!」
自分は隊長として、回復職が
不必要なんて言われたら
勇気を出してても反論しなければ
ならない。
サッちゃんは自分の愛用している
杖を握りしめ力強く言った。
「それはあなた達が高レベルだったら
の話でしょ?
今の回復職の皆さんにはそれほどの
力はありません。
だって、レベル450程度のあなたが
隊長になれるのですから、回復職の
皆さんの力なんて底が知れてます。」
「お前……それ言ったらお前も
レベル600もいってねぇじゃねえか!」
「だぁかぁら! 僕はもう少しで
600レベルになるんです!
さっき言ったでしょ!?」
「……お前……レベル上げずに……
死ね。」
ずっと寝ていた鬼灯が、顔を上げて
そんなことを吐いた。
「残念。僕は死にませーん。」
「……ほんとお前嫌い。」
聞こえる。
「わざわざ帝国精鋭隊を召集して、
何をしているのかと思って来て
みれば……」
一同が天を見上げると、
魔女帽子と黒いマントを被り、
ほうきにまたがったまま、会議室の
天上で浮いている女が彼らを見下し
ていた。
「ヨーテル! まさか君がこの
召集に応じてくれるとは。」
ヨーテル
帝国精鋭隊
職業魔法使い最高位職 大魔道士
レベル765
性別 女性
長老に次ぐ高レベルの職業者。
プライドが高く、容姿は可愛いが
一匹狼な性格であまり人を
寄り付けない。
「ふんっ。」
ヨーテルは無愛想にそっぽを
向くも、ほうきから
降りて、席に座る。
「くだらないとはどういう事なのだよ。」
「そのまんまの意味よ。
わざわざ使えない奴らを集めて
討伐軍を結成するなんて
くだらない以外の何ものでもないわ。」
「ろくに会議にも出席せず、
のうのうと一人でいつもどこがで
時間を過ごしているお前のような
やつに、俺の妹が考えた案をくだらない
などと言う権利など無いのだよ。」
「はぁ? あんたこそ、この間の
幹部との戦闘で瀕死に追いやら
れたクズのくせによくも私にそんな
口が聞けたものね。あんたなんて
いてもいなくてもいっしょなんだから
さっさと帝国精鋭隊を辞めたら?」
「……言わせておけば……おもてに出るのだよ。
どちらが上かはっきりさせてやる。」
「いいわよ? こてんぱんにやられて
恥かいても知らないんだから。」
「おい、もうよせって二人共!」
いつもは冷静なバーゼンとヨーテルの
言い合いに珍しく、カクバが止めに入る。
「今は喧嘩なんかしている場合じゃね
ぇだろ。」
「あぁ、そうだ。
ヨーテル、君があまり他人と
協力したくないのは知っている
が、今はそんなことを嫌がって
いる時では無いんだ。」
「別に嫌がってなんかいないわよ。
私はただ、役に立ちそうも無い奴らを
ぞろぞろ魔王討伐に連れて行っても
邪魔になるだけって言ってんの。」
「確かに、仲間が多すぎても、
戦う時かえって邪魔になる時あります
もんね~。特に回復魔法士とか。」
ルバルフの言葉にサッちゃんが
びくっとする。
「は? なんでだよ。回復職の人間は
討伐任務には必要不可欠だぞ。」
「そうでしょうか? 正直、
回復や一時的なステータスアップ
なんかはポーションで
代用できますし、逆に戦えもしない
彼らが戦闘の場にいると、ただでさせ
手一杯な僕たちが守らなければなら
なくなる。はっきり言って重みです。」
「で、でも! ポーションより
私達の魔法の方が圧倒的に回復量も
強化量も多いです!」
自分は隊長として、回復職が
不必要なんて言われたら
勇気を出してても反論しなければ
ならない。
サッちゃんは自分の愛用している
杖を握りしめ力強く言った。
「それはあなた達が高レベルだったら
の話でしょ?
今の回復職の皆さんにはそれほどの
力はありません。
だって、レベル450程度のあなたが
隊長になれるのですから、回復職の
皆さんの力なんて底が知れてます。」
「お前……それ言ったらお前も
レベル600もいってねぇじゃねえか!」
「だぁかぁら! 僕はもう少しで
600レベルになるんです!
さっき言ったでしょ!?」
「……お前……レベル上げずに……
死ね。」
ずっと寝ていた鬼灯が、顔を上げて
そんなことを吐いた。
「残念。僕は死にませーん。」
「……ほんとお前嫌い。」
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