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十八話 服部隼人
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洞窟の暗闇から何かが近づいてくる。
「……あれは……」
「嘘っ……」
アルナとビルメがその姿を見て
落胆し、その場に膝をついてしまった。
「いいのか俺たち、こんなところで
待機していて。」
彼女が部下の二人を連れ、いなくな
った後、他の連中はやはり不安そうに
各々が過ごしていた。
「タチアナさんがそういったんだから
仕方ないだろ。」
「そうだけどよ……。」
叶うなら一緒に居てほしい。
誰もがそう思っていた時だった。
「おやおや、また人間がいますね……」
背後から謎の声が聞こえてくる。
「誰だ!?」
ドッペが素早く剣を抜き、身構えた
がもう遅かった。
「とりあえず、あなた達も私の物です。」
そう謎の声の主は言うと、紫の
煙を口から吐き出す。
俺は自前の脚力で難を逃れたが、
察知能力にたけたアサシンを含め
二十数名の仲間が皆、その場に倒れて
しまった。
「おや、驚いた。これをかわす
人間がいるとは。」
煙があたりに散乱し、ようやく謎の
声の正体が姿を現した。
「お前、魔族の幹部か?」
明らかにさっきの奴らとは違う。
スピードも能力も風格も。
「ご名答。いやはや、まさか
そこまで見破られるとは。
私はこんな成りですから
よく下級魔族に間違われるの
ですがね。」
確かに見た目は人間とさほど大差ない。
ただ、ブラックホウルのような目が
魔族という姿を彷彿とさせる。
「てことはお前がヘルドラか?」
「そこまでそちら側も把握しておら
れるのですね? ですが、残念。
違います。」
「違う? 幹部はここには一人しか
いないって聞いてたんだがな。」
「えぇ、本来であれば私はここには
いません。少し、事情がありまして
緊急で私がここに。
ちなみに、私の名はラーバと
いいます。以後お見知りおきを。」
「あ、服部隼人です。こちらこそ
よろしく。」
自然と挨拶を返してくる俺が
面白かったのか、ラーバは
少し笑う。
「面白いですね、あなた。
ますます欲しくなりましたよ。」
「そういえばさっきまた人間が
いるって言ったな? ここにいた
騎士団はどうした?」
「あぁ……それなら」
「っ! タチアナ様、一体どうしたら!?」
アルナがタチアナに必死に尋ねてくる。
「タチアナ様!」
ビルメもその敵と敵対しながら
タチアナの方を見る。
だか、タチアナもどうしていいのか
わからず、ただその敵を傷つけぬように
戦う他なかったからだ。
「どうしてっ……!?」
なぜならその敵とは、先に潜入させて
おいた自分の騎士団達だったから。
「……あれは……」
「嘘っ……」
アルナとビルメがその姿を見て
落胆し、その場に膝をついてしまった。
「いいのか俺たち、こんなところで
待機していて。」
彼女が部下の二人を連れ、いなくな
った後、他の連中はやはり不安そうに
各々が過ごしていた。
「タチアナさんがそういったんだから
仕方ないだろ。」
「そうだけどよ……。」
叶うなら一緒に居てほしい。
誰もがそう思っていた時だった。
「おやおや、また人間がいますね……」
背後から謎の声が聞こえてくる。
「誰だ!?」
ドッペが素早く剣を抜き、身構えた
がもう遅かった。
「とりあえず、あなた達も私の物です。」
そう謎の声の主は言うと、紫の
煙を口から吐き出す。
俺は自前の脚力で難を逃れたが、
察知能力にたけたアサシンを含め
二十数名の仲間が皆、その場に倒れて
しまった。
「おや、驚いた。これをかわす
人間がいるとは。」
煙があたりに散乱し、ようやく謎の
声の正体が姿を現した。
「お前、魔族の幹部か?」
明らかにさっきの奴らとは違う。
スピードも能力も風格も。
「ご名答。いやはや、まさか
そこまで見破られるとは。
私はこんな成りですから
よく下級魔族に間違われるの
ですがね。」
確かに見た目は人間とさほど大差ない。
ただ、ブラックホウルのような目が
魔族という姿を彷彿とさせる。
「てことはお前がヘルドラか?」
「そこまでそちら側も把握しておら
れるのですね? ですが、残念。
違います。」
「違う? 幹部はここには一人しか
いないって聞いてたんだがな。」
「えぇ、本来であれば私はここには
いません。少し、事情がありまして
緊急で私がここに。
ちなみに、私の名はラーバと
いいます。以後お見知りおきを。」
「あ、服部隼人です。こちらこそ
よろしく。」
自然と挨拶を返してくる俺が
面白かったのか、ラーバは
少し笑う。
「面白いですね、あなた。
ますます欲しくなりましたよ。」
「そういえばさっきまた人間が
いるって言ったな? ここにいた
騎士団はどうした?」
「あぁ……それなら」
「っ! タチアナ様、一体どうしたら!?」
アルナがタチアナに必死に尋ねてくる。
「タチアナ様!」
ビルメもその敵と敵対しながら
タチアナの方を見る。
だか、タチアナもどうしていいのか
わからず、ただその敵を傷つけぬように
戦う他なかったからだ。
「どうしてっ……!?」
なぜならその敵とは、先に潜入させて
おいた自分の騎士団達だったから。
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