俺だけ使えるバグで異世界無双

I.G

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5話 クラスのギャル

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「まさか……教室では大人しい貴方が、
あんな馬鹿なことをする人だったなんて
驚きね」

穴があったら入りたい。死にたい。

「け、け、けど! お前だって教室じゃ全然喋らないじゃんかよ! なのに今はべらべら喋りやがって!」

「それは教室という空間が
つまらないからに決まってるじゃない」

「確かに......」

もしかして......俺と愛って性格似てるのか?

そんなことを考えていた俺を、愛は横切って気を失っている針山の上半身の服を脱がし始める。

「どおおおおい! お、お前! 何してんだ!? まさかお前も性欲にまみれて」

「はぁ、何言ってるのよ。転移石を
回収してるに決まってるじゃない」

そう言って、愛はブチッと針山の胸から剥き出しの転移石を剥がした。

「うわ......いたそ......で、それどうするんだ? 愛が取り込むのか? 」

「はい」

愛はその転移石を俺に差し出した。

「え?」

「貴方がいなかったら私は今頃こいつに転移石を奪われていたわ。それを助けてくれたのは成瀬よ。だから、これは貴方が受け取るべきだわ」

「ま、まじで!? いいのか!?」

「ええ。私は転移石が一個あれば
十分だから。それに、この世界で
生きていくのだから、ステータスを
上げておかないと苦労すると思うわよ」

「そ、そうだよな。ならありがたく頂戴して」

やったあ!!! 
皆がこれでステータスを上げてるのみて、
別に興味ないしってツンツンしてたけど、
ほんとはこれめっちゃほしかったんだよな。

これで俺もパンチで岩を壊せて、魔法も使えるようになって......そして......この世界で可愛い女性たちにモテモテになって......ウヘウヘヘへ

「顔キモいわよ」

そう気味悪がる愛を余所に、俺は転移石を
胸に付けた。

だが、何も起こらない。
皆みたいに胸に取り込まれない。

「え? なんで? こうやったら皆取り込んでたのに」

「おかしいわね......どうしてかしら」

「あ、もしかして素肌じゃないと
ダメなのかな?」

そう思い立って、勢いよく服を脱いだ俺の頬を愛の手が叩いた。



結論から言うと、何度試しても転移石を取り込むことはできなかった。

「くそっ! なんで俺だけ毎回
こうなるんだよ!」

「あら、いいじゃない。
別に取り込めなくても」

「何でだよ。さっきはこの先
生きていく上でステータスは
上げといた方がいいって
言ってたじゃんかよ」

「それはそうだけど、それを売るだけで十分遊んで生きていけるくらいの金が手に入るらしいわよ」

「......え。なら今すぐ売りに行ってもいいですか?」

「この街で売っても換金できる資金はないと思うけど。できるとしたら王都かしら」

「王都か。ちなみにこの街から王都までどれくらいなんだ?」

「歩いて十日ぐらいかしら」

「と、十日」

この街に辿り着くためにあんなに
歩いてきたのに、まだ歩かないとなのか。

「まぁでも......凡人が遊んで暮らす
ためにはそれしかないか」

そく落胆しながらこの街を離れるために
人工壁に向かう。

「あら、どこに行くの?」

「どこって王都だよ」

「それなら門はこっちよ」

「ああ、いいよ。俺壁貫通できるし」

「でも、それじゃあ私が出れないじゃない」

「……え?」

「え?」

「ま、まさかついてきてくれるのか!?」

「ええ。助けてもらったのにここで
さようならは後味が悪いし。それに
したいことも特にないから」

「やったぁあああああ!!!
ボッチ脱出きたあああああ!!!」

「なにそのハイテンション、きもいわよ」

愛の話によると、魔王を倒したクラスメイト
たちは転移石を目的に仲間を襲う者と、そいつらから逃げる者に別れたらしい。
愛は逃げる側。転移石を失っては
この世界で生きていけないと、
ここまで逃げてきたんだとか。
だから、他の生徒たちがどうなったのかは
知らないそうだ。

「ついていく報酬として換金して得たお金の半分はもらうから」

「それが本当の目的か」

「ええ。十分なお金を手にいれて、
のんびりとした景色のいい場所に
家を建てて、死ぬまで穏やかに過ごすのが
私の夢」

「最高の夢じゃねぇかよ」

穏やかにね。俺もそうするかと、
街を離れて山道を進んでいたときだった。

「たす……けて……」

俺たちの前に現れたのは、
肩から血を吹き出し、鉄球の
足枷を嵌められたまま必死に助けを乞う
女性だった。

その異様な様子に俺と愛は言葉を失う。

罪人? 逃げてきたのか?

そう疑ってしまうほど、薄汚れた布切れのような服とボサボサな汚い髪。

「貴方もしかして......」

隣にいた愛が震えた声でこう口にした。

「三沢佳代?」

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