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第二章ドラゴニア帝国編

訓練風景を見学

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 朝食を取り、まだまだ賑やかな食堂を後にした私は次に騎士団の訓練所へと移動する。

 木剣で、魔法で飛び回る人形に斬りかかる騎士達の傍を通る。大体がギョッとした表情で訓練の手を止めるので上官に怒られている。更に追い討ちをかけるように飛んできた人形が衝突する。

 キョロキョロと挙動不審な私ですが、決して筋肉愛好家とかじゃないよ。騎士の人達って鍛えてるから細マッチョや筋肉隆々な見目麗しい男性達が上半身裸で訓練している。

 それを頬を染めながら影から見ている娘さんとかがいる。本当にこの城ってオープンだな。何処行っても一般人が城の中にいる。やっぱりジュールさんの政策かな?開かれた政治?

 とてとてと歩き回り、探しているのはコヒキさん達とカイルさん達。どんな訓練をしているのかを見学できればと思い、来たんだけど見当たらない。

「う?」

 誰か知っている人は居ないかと辺りを見回すと誰も居ない。どうやら探している間にあまり立ち入った事がない場所に入り込んでしまったらしい。人の気配がしないので、少し不安に思っていると、

「あれ?ニア…様?ん?姫様か?あれ、なんて呼べば良いんだ?」

 頭上からそんな言葉が降ってきたので顔を上げてみるとロウさんだった。黒い虎耳がピクピク、尻尾もユラユラしている。

「ロウにちゃ」

 人寂しかったので嬉しくなって両手を上げるとロウさんが抱き上げてくれた。いや、抱っこのおねだりじゃなかったんだけど…まあ、良いか。

「で?なんで此処にいるんだ?」

「にちゃ達に会いちゃかっちゃ」

 小首を傾げるという可愛らしい仕草をしていたロウさんが私の言葉を聞くと口許を手で隠した。

「にちゃ」

「いや…なんでもない」

 くぐもった声だったけれど何処か嬉しそうな響きが滲む。でもなんで嬉しそうなのか分からなくて私も首を傾げた。

 頭を一撫でされて、ロウさんは今までいた場所から移動を始めた。皆がいる所に連れてってくれるのだろう。

 少し進むと鬱蒼とした森に囲まれた建物が見えてきた。建物には蔦が這い、なんか隠れ家みたいでワクワクする。

 警戒する事もなくロウさんは建物に近付き、建物を回り込むように歩く。すると剣戟の音や打撃音などが聞こえてきた。どうやらここでも訓練をしているみたい。

 視界が開けた先には私が探していた面々が汗と怪我にまみれた姿で訓練していた。

 ここでも飛び回る人形を使っているけれど先程の風景と違い、武器を持ち、あきらかに臨戦態勢を模している。それに対応するスヴェンさん。スヴェンさんに近付いた瞬間に人形は腕を持ち上げて斬りかかっている。

 他はファンティーヌさんを相手に組手をするコヒキさんとキナリさん。多勢で攻められているのに余裕で躱し、いなし、反撃しているファンティーヌさんの姿に守護者に選ばれるだけあるなと感心してしまった。

 
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