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第一章ヒューマニ王国編

目に優しくない

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 居た堪れない空気にしてしまった私を皆は生暖かい瞳で見ている。

「ズビッ……一応の準備が出来…ズビビッ…ましたので、玉体を……ブビッ…お連れ下さい」

 涙と鼻水を盛大に流すロナルドさんが空気をブッタ斬るように遣って来たのでこれ幸いとテンションを上げる。

 キャッキャッと楽しくも嬉しくもないのに笑う。無意味なテンションを上げる行為とか凄く恥ずかしいんだけどな。

「では私が連れて行きましょう。殿下、ニアをお渡し下さい」

 カイルさんが私を抱こうと手を差し出すが、エレンさんはカイルさんを一瞬見てから首を横に振る。
 その後ろで横を向いて盛大にはなをかむロナルドさん。そういう所が空気読まないって言われるんだよ。主に私にだけどね。

「良いよ。僕が連れて行くから」

 エレンさんはそう言ってカイルさんの横を通ってロナルドさんの方へと歩いて行く。

「で?何処に行けば良いのかな?」

「殿下が自らでございますか…では、此方へ」

 ロナルドさんは今度は空気を読んでエレンさんを伴って王宮内へと移動する。それにぞろぞろと続くカイルさんとスヴェンさんとクリフさん。

 青いカーペットの上を歩きながら進み、さっきまでいた後宮へと戻ってきた。広い後宮の中の一室へとロナルドさんは案内する。

「急遽ご用意しましたので侍女は一人でございますが、これから人を増やしますので」

 そう言ってドアを開け、一行を部屋の中へと入るようにと促す。さっきからロナルドさんは誰に対して報告してるんだろ?私じゃないよね。多分エレンさんだよね。ワタシコトバワカラナイ。

 部屋へと入ると先ず目に入ったのは、どピンク。カーテンからカーペット、ソファと部屋の中の調度品がこれでもかって程のピンク。何処を見てもピンク。ピンク、ピンク、ピンクでゲシュタルト崩壊起こしそうだし、目に優しくない。何?女の子だからピンクにしておけば間違いないって思った?間違いだよ!

「ロナルド……」

 目に優しくないピンク一色に流石に私が気の毒になったのかエレンさんがロナルドさんへと避難めいた目を向ける。

「色は後で何とかしますので、今日は御容赦を」

 眉が下がるロナルドさん。急遽用意してくれただけでも凄いよ。ピンク一色で纏めたのも凄いけどね!

 溜め息一つついて部屋に設置されたベビーベッドへと寝かせてくれるエレンさん。お察しの通りベビーベッドもピンクです。休めない!抗議の為にうごうごと動いてアピールする。

「おや、気に入ってくださったのですね」

 気にいるかぁぁぁ!!出せ!私をここから出せ!なんの辱しめなの、これ!

「今は僕の魔力で満腹だろうけど次からはどうしようか?僕も忙しくて、そう頻繁には来れないんだけど…」

 おっと、放置ですか?これはあれかな?久々の無我あきらめの境地発動ですか?

「ですが、殿下程の魔力を持つ者など王妃様位しか…」

「母上か。分かった。僕がなるべく来るようにするよ。母上だと多分ニアを傷付けようとするからね」

 私もベネッタさんは遠慮したいよ。ファンティーヌさんの件があるから絶対恨んでる。

 私をベビーベッドに隔離して安心したのか、皆部屋を後にした。しんと静かになった部屋には私だけ………あれ?侍女は!?
 
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