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第一章ヒューマニ王国編
この子どこの子(sideスヴェン)
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俺の名前はスヴェン。両親は平民であり、商売を生業とする商人だった。このまま行けば俺は商人になっていただろうが、両親は他国へと品物の買付けの為に旅立ち、その先で強盗にあい、帰らぬ人となった。
俺は両親と死に別れ、親戚に引き取られる事もなく孤児院に預けられた。そこで出会ったのは女と見紛うほどの美貌のカイルだった。
最初は女だと思っていたが、色々あって男だとわかった。色々あったんだ。
カイルは繊細で人をあまり信用しない警戒心の強い奴だった。時たま顔に似合わずに豪快な行動を起こして孤児院の職員に怒られてた。大体それに俺も巻き込まれていた。いい迷惑だったよ。
数年そんな風にカイルと共に過ごすうちに息が合い、心安い関係となった。職員に悪戯したり、新入りに色々と気を配ったりと楽しい日々だった。
だが、それは永遠に続くわけもなく俺とカイルは年齢の都合上、孤児院を去る事になった。いざ、去るとなると働き口を探さなくてはならなくなった。両親や後ろ楯のいない俺達が行き着く先はスラムか強盗や盗賊かと考えた俺だったが、カイルは違った。
カイルは驚く事に騎士に応募すると言い出したのだ。しかもちゃっかりと応募した後だった。更に俺に何の説明もなく俺の分も申請していた。事後報告過ぎんだろ。
試験は体力テストが主だった。体力は孤児院職員とおっかけっこをしていたので自信はあった。
筆記もあったが多少の覚えもあったのでギリギリセーフだった。因みにカイルは頭も良かった。
晴れて試験に合格し、日々訓練に明け暮れているとカイルに不穏な空気が絡み付きだした。
男所帯に女と見紛う程の美貌のカイルを先輩騎士達が目をつけたのだ。その結果、カイルは見事に人間不振、潔癖、常に不機嫌がセットされた。それがまた人を惹き付けるから本人にしてみればたまったものではない。騎士団に入ってからカイルの笑顔を見た覚えがない。
騎士団ではその人を寄せ付けない態度と容姿からカイルを『絶対零度の女神』と言われている。ついに女神とか言い出したよ。
今日も変わらず、カイルと共に朝の訓練をしていると精霊に出会い、童心に戻ったように追っかけた。ちょっと楽しかった。
近年稀に見るたくさんの精霊を見ているとカイルに呼ばれたので早足で合流する。
カイルに促されて見た先には赤ん坊がいた。それもカイル以上の美貌のだ。王族は美人が多く、最近生まれた王女もなかなかに整った容姿の持ち主だったが、これは絶世というか傾国の勢いだろ。
持ち上げるとふにゃふにゃと頼りなかったが、そこは孤児院で培った技量でカバーした。孤児院でもここまで生まれたての赤ん坊が来る事はなかった。
キョトンとした赤ん坊のあまりの愛らしさに珍しく微笑むカイル、俺も思わず頬が緩む。
いつになく上機嫌なカイルが俺から赤ん坊を引ったくった。酷くないか?
ちょっと拗ねつつ、赤ん坊が入っていたバスケットが目に写ったので親の手懸かりなどがないか確める。すると変わった玉が出てきた。赤く透明で模様がついている。なんだこれ?
取り敢えず、ここは魔獣も出る区域なのだからと移動する事にした。いつの間にか赤ん坊はカイルの腕の中で安心しきったように眠っていた。
俺は両親と死に別れ、親戚に引き取られる事もなく孤児院に預けられた。そこで出会ったのは女と見紛うほどの美貌のカイルだった。
最初は女だと思っていたが、色々あって男だとわかった。色々あったんだ。
カイルは繊細で人をあまり信用しない警戒心の強い奴だった。時たま顔に似合わずに豪快な行動を起こして孤児院の職員に怒られてた。大体それに俺も巻き込まれていた。いい迷惑だったよ。
数年そんな風にカイルと共に過ごすうちに息が合い、心安い関係となった。職員に悪戯したり、新入りに色々と気を配ったりと楽しい日々だった。
だが、それは永遠に続くわけもなく俺とカイルは年齢の都合上、孤児院を去る事になった。いざ、去るとなると働き口を探さなくてはならなくなった。両親や後ろ楯のいない俺達が行き着く先はスラムか強盗や盗賊かと考えた俺だったが、カイルは違った。
カイルは驚く事に騎士に応募すると言い出したのだ。しかもちゃっかりと応募した後だった。更に俺に何の説明もなく俺の分も申請していた。事後報告過ぎんだろ。
試験は体力テストが主だった。体力は孤児院職員とおっかけっこをしていたので自信はあった。
筆記もあったが多少の覚えもあったのでギリギリセーフだった。因みにカイルは頭も良かった。
晴れて試験に合格し、日々訓練に明け暮れているとカイルに不穏な空気が絡み付きだした。
男所帯に女と見紛う程の美貌のカイルを先輩騎士達が目をつけたのだ。その結果、カイルは見事に人間不振、潔癖、常に不機嫌がセットされた。それがまた人を惹き付けるから本人にしてみればたまったものではない。騎士団に入ってからカイルの笑顔を見た覚えがない。
騎士団ではその人を寄せ付けない態度と容姿からカイルを『絶対零度の女神』と言われている。ついに女神とか言い出したよ。
今日も変わらず、カイルと共に朝の訓練をしていると精霊に出会い、童心に戻ったように追っかけた。ちょっと楽しかった。
近年稀に見るたくさんの精霊を見ているとカイルに呼ばれたので早足で合流する。
カイルに促されて見た先には赤ん坊がいた。それもカイル以上の美貌のだ。王族は美人が多く、最近生まれた王女もなかなかに整った容姿の持ち主だったが、これは絶世というか傾国の勢いだろ。
持ち上げるとふにゃふにゃと頼りなかったが、そこは孤児院で培った技量でカバーした。孤児院でもここまで生まれたての赤ん坊が来る事はなかった。
キョトンとした赤ん坊のあまりの愛らしさに珍しく微笑むカイル、俺も思わず頬が緩む。
いつになく上機嫌なカイルが俺から赤ん坊を引ったくった。酷くないか?
ちょっと拗ねつつ、赤ん坊が入っていたバスケットが目に写ったので親の手懸かりなどがないか確める。すると変わった玉が出てきた。赤く透明で模様がついている。なんだこれ?
取り敢えず、ここは魔獣も出る区域なのだからと移動する事にした。いつの間にか赤ん坊はカイルの腕の中で安心しきったように眠っていた。
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