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第一章ヒューマニ王国編
第一人間発見
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目まぐるしく変わる状況に着いていくのをやめようかと思っています。この頃、ええ。
神鳥さんに行くべき場所へと運んでもらっていた筈なのに気付けば、草原のど真ん中に置き去りよ。なんで?神鳥さんカムバック。
何も誰もいない場所に赤ちゃん放り出すってどうなの?せめて人がいる場所で置き去りにするなりして欲しかったよ。いや、置き去りもどうかと思うけど。
バスケットの中から見えるのは高く伸びる草しか分からん。視界が低いからなんだろうけどもさ。どうしたらいいの?これ!
暫くバスケットの中で運動がてらうごうごと動き、たまに発声練習するけども、あ~とかう~とかしか口から出ない。赤ちゃんだからこればっかりはしょうがないか。
そんな事をして随分と時間がたった頃、遠くから草を踏む音が聞こえた。
人だとありがたいけど、獣だとピンチです。抵抗のしようがないからね。そんな事を考えている間に音はどんどん近付いてくる。
緊張のあまり固まっているとぬっと姿を表したのは黒い影。逆光で姿が判断できない。
「子供?」
落ち着いた、だけれども少し驚いたような声は男性の声だった。人だった。命の危険レベルが下がる。これで盗賊やなんかだと再び私の生存が危機的状況になる。
「スヴェン!こっちです!」
誰かの名前を呼んだ。もう一人いるだと。どうしよう。おろおろとしているともう一人らしき影が私を覗き込む。
「本当だ。なんでこんな所に?」
そう言ってスヴェンと呼ばれた男性が私へと手を伸ばす。優しい手付きだったので特に抵抗する事もなかった。
「大人しいですね」
やっと逆光から解放され男性達の顔を見る事ができた。最初に私を発見してくれた男性は長い髪をハーフアップにしている銀色の髪にオリオンブルー色の瞳。一見、冷たそうな色合いの組み合わせだけど、案じるような優しい感情を良く写している。大変整った容姿の中性的な美人だった。黙って立っていると女性で通りそう。
「見てみろよ、カイル。驚いてるのか、キョトンとした顔してるぞ」
私を抱き上げたスヴェンさんは短髪の茶色の髪色にアンバー色の瞳の精悍な男性だった。所謂ワイルドなイケメンさん。
私を見詰めるカイルさんは私の掌に指を押し付けた。反射的にキュッと握るとカイルさんは嬉しそうに破顔した。もうトロトロの蕩ける笑顔で私まで嬉しくなって笑ってしまった。
盗賊とか危険人物とか疑う気持ちが全部どっか行ってしまった。きっと本当はもっと疑うべきなんだろうけど、私は今は赤ちゃんだし、何より本当の赤ちゃんがそんな事を考えるわけない。きっと本能的に自分に危険がないかあるかを判断するだろう。
そこいくとカイルさんとスヴェンさんはきっと、多分、恐らく大丈夫な人だと思う。私の本能が機能してればだけど。
「あ、笑いましたよ。可愛いですね」
「珍しいな。お前がこんなに笑うなんてな」
まだニコニコしているカイルさんを見て、また笑う。するとカイルさんがスヴェンさんから私を引ったくるように抱く。
優しくあやすようにゆらゆらと揺られ、心地好くなって瞼が重くなってきた。この体は直ぐに眠くなってしまうのが欠点な気がす………スピ~。
神鳥さんに行くべき場所へと運んでもらっていた筈なのに気付けば、草原のど真ん中に置き去りよ。なんで?神鳥さんカムバック。
何も誰もいない場所に赤ちゃん放り出すってどうなの?せめて人がいる場所で置き去りにするなりして欲しかったよ。いや、置き去りもどうかと思うけど。
バスケットの中から見えるのは高く伸びる草しか分からん。視界が低いからなんだろうけどもさ。どうしたらいいの?これ!
暫くバスケットの中で運動がてらうごうごと動き、たまに発声練習するけども、あ~とかう~とかしか口から出ない。赤ちゃんだからこればっかりはしょうがないか。
そんな事をして随分と時間がたった頃、遠くから草を踏む音が聞こえた。
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緊張のあまり固まっているとぬっと姿を表したのは黒い影。逆光で姿が判断できない。
「子供?」
落ち着いた、だけれども少し驚いたような声は男性の声だった。人だった。命の危険レベルが下がる。これで盗賊やなんかだと再び私の生存が危機的状況になる。
「スヴェン!こっちです!」
誰かの名前を呼んだ。もう一人いるだと。どうしよう。おろおろとしているともう一人らしき影が私を覗き込む。
「本当だ。なんでこんな所に?」
そう言ってスヴェンと呼ばれた男性が私へと手を伸ばす。優しい手付きだったので特に抵抗する事もなかった。
「大人しいですね」
やっと逆光から解放され男性達の顔を見る事ができた。最初に私を発見してくれた男性は長い髪をハーフアップにしている銀色の髪にオリオンブルー色の瞳。一見、冷たそうな色合いの組み合わせだけど、案じるような優しい感情を良く写している。大変整った容姿の中性的な美人だった。黙って立っていると女性で通りそう。
「見てみろよ、カイル。驚いてるのか、キョトンとした顔してるぞ」
私を抱き上げたスヴェンさんは短髪の茶色の髪色にアンバー色の瞳の精悍な男性だった。所謂ワイルドなイケメンさん。
私を見詰めるカイルさんは私の掌に指を押し付けた。反射的にキュッと握るとカイルさんは嬉しそうに破顔した。もうトロトロの蕩ける笑顔で私まで嬉しくなって笑ってしまった。
盗賊とか危険人物とか疑う気持ちが全部どっか行ってしまった。きっと本当はもっと疑うべきなんだろうけど、私は今は赤ちゃんだし、何より本当の赤ちゃんがそんな事を考えるわけない。きっと本能的に自分に危険がないかあるかを判断するだろう。
そこいくとカイルさんとスヴェンさんはきっと、多分、恐らく大丈夫な人だと思う。私の本能が機能してればだけど。
「あ、笑いましたよ。可愛いですね」
「珍しいな。お前がこんなに笑うなんてな」
まだニコニコしているカイルさんを見て、また笑う。するとカイルさんがスヴェンさんから私を引ったくるように抱く。
優しくあやすようにゆらゆらと揺られ、心地好くなって瞼が重くなってきた。この体は直ぐに眠くなってしまうのが欠点な気がす………スピ~。
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