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第25話 サヨナラだ!

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「うるさい!アレを落とすから巻き込まれんなって言ってんだよ!もういい。行くぜ!」
冒険者たちの説得を諦めた俺は、持てる魔力を解放し、展開する。



「すっ、すげぇ魔力だ……」
「もしかしてドラゴンよりも強い?」
「少なくともあのドラゴンよりラクスさんの方が圧が強い……」
「これ、本気で離れた方が良いんじゃないか?」
「全員移動だ!門の方に走れ!」
「「「「「はい!ミシェールさん!」」」」」」
ナイスだミシェール。さすがに状況をよくわかってるな。
深層を切り抜けた俺がどれくらい強くなってるかは知らないだろうけど、俺の態度で判断してくれたんだろう。



「ラクスさん。ありがとうございます。その……気を付けて」
そして、最後まで残ったのはシファ。
強情な娘だね。

まぁいい。

こいつはずっと俺を信じてくれてたみたいだしな。



「あっ……」

お礼も兼ねて、シファを抱きしめ、あたまを撫でてやる。

「ありがとな、シファ。信じてくれて」
「はい……あぁ……」

真っ赤になったのが可愛くて、その額にキスを落とす。

子供だと思ってたんだけど、半年の間に成長したのは俺だけじゃなかったな。


「行ってくれ。さっきお守りに魔法を充填しておいたけど、できるだけ離れてくれた方が安心する」
「わかりました。私も門の方に行っています」
「あぁ。あとはアレを落としてから話そう」
「はい。待っています」

笑顔で行ってくれた。


それを見送ってから、俺は魔法で浮かび上がる。

さぁ、覚悟はいいな。トカゲ野郎。

浮かび上がった俺はドラゴンの目の前まで行く。
巨大な目に浮かび上がるのは、笑えることに戸惑い、そして恐怖だ。

当然だな。
こいつは今まで誰かに蹂躙されたことなんかないだろう。
常に強者であり、常に勝ってきた。
そんなやつが地上にいるちっぽけな生物の魔力でずっと沈黙させられていたんだ。

驚くだろうな。
いや、驚いただろうな。

でも、相手が悪かったんだ。
深層ではお前クラスの敵がうじゃうじゃいたぜ?
なぜか深層から下層には来れないみたいだったが、お前はイレギュラーか?

下層に沸いちまったんだろ?
だから敵なしだっただけだ。



出て来た先に俺がいたのが運の尽きだったな。


グルォォオオォォォオオオオオォォオオオオオオオオオオ!


おぉ?この期に及んで良い気合だな。


さっきの赤いブレスを放ってきたから、弾き飛ばす。
悪いな。それを喰らってやるわけにはいかない。


弾き飛ばす方向には注意を払ったぜ?
街に落としたら不味いからな。弾いたブレスは球状になって門のはるか向こうに飛んで行った。



じゃあ、サヨナラだ。







『エクリプス』
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