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第34話 血眼になって死んだ国王の愛人とその子供を探す件
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ようやくここまで来た。
翌朝、俺は幸福感に塗れていた。
エフィを救い出し、プロポーズし、受け入れてもらった。父さんにもミトラ様にも許可を貰った。
最高だ。
幸せすぎて何か見落としてないか心配になる。
王族は一網打尽にしてしまったし、魔狼はヴェルト教授が倒した。悪霊は完全に俺のしもべだし、エフィは可愛い。
うん、完璧だ。
あとは国王の遺児を見つけるだけ。
父さんは全く頼りにならない。国王になってエフィーを娶ればいいとか、貴族社会の何たるかをまったく理解していないお気楽モード全開のことを言い出したから殴ってわからせた。
一方、俺を国王にしたらマズいと思っている勢力……特に、アザレンカ公爵家などは必死に国王の血族を探しているらしいが、見つかっていない。
国王は疑心暗鬼な小心者だったから、自らのライバルになりそうな親族をかなり殺していた。もしくはあえて治療しない、などの方針を採っていた。その上で王城内に住んでいる王族も多かったせいで、軒並み死亡していた。
あとはもう、俺と同じように国王の愛人の線で探すか、王家の血を受け継いでいる高位貴族の中で選ぶしかなくなっていた。
それをされると俺に確定するから勘弁してほしい。
なにせ、普通は爵位を継ぐと同時に王位継承権は返上する。
そもそも高位貴族だし、年齢高めで残っていた俺は上位に位置してしまっている。
だから全力で探さないといけない。そしてきっと探せる。弱気になったらダメだぞクラム。エフィとの幸せな未来を掴むためだ!
ということで、さて、どこにいる。
俺はもう探索を開始している。
悪霊カーシャを使ってな。
彼女は元情報部の魔術師だけあって、得意領域だ。
さっそく王城に入って調査を開始してくれたら、何人かの候補者を探してきた。
その人たちに俺がしれっと"人物史"をかける。
するとあっさりと手掛かりが見つかった。
<元侍従長であるバルトは、王妃の命令により国王の愛人エマとその子供を王城から追放した>
今から11年前の事件だった。
□王城にて
「そろそろさすがに国王の空位期間が長すぎて限界だ。諸外国に弱みを見せるわけにはいかない」
突然出て来たこのおっさんはラード侯爵。
高齢だが、以前は大臣をやっていた人で、暫定政権で外交を担当してもらうために呼び出された人だ。
侯爵ではあるが、その交友関係は広く、影響力は大きい。
そして中立派で、俺に国王になれと言っている人でもある。なんて迷惑な。
「覚悟は決まったかね。状況的に君がやるのが最上だ」
「ご冗談を。私はエルダーウィズ公爵家を継いで新たな国王を盛り立てていきたいと考えています」
お決まりのようにそう返す俺に厳しい視線を送ってくる侯爵。
彼からすると国王位を固辞する俺は意味不明な存在なのだろう。
前は自分が若ければ立候補していたとか言ってたな。
もちろん彼も侯爵を継いだ時に王位継承権を放棄している。
「国王陛下の子供を追っておりますゆえ、もうしばらくお待ち願いたい」
「国王陛下の子供……王子ということか? 何か見つけたのか。しかし国王が認知しておらぬのなら王位につけるかはわからんぞ?」
「私の"人物史"は嘘をつきません。必ず見つけます」
「どうしてそこまで……?」
「俺はエフィを守るとともに、彼女を応援するつもりです。そのためには国王になるわけにはいかないのです。もちろん、臣下として新たな国王を支えるつもりで、その気持ちは変わりません」
□エルダーウィズ公爵邸にて
俺たちは次その愛人が向かったと思われる場所を探索した。
エマという名前だけでは厳しい。しかし、11年前に王城で働いていて、追放された女。しかも身ごもっているか、もしくは赤子を連れているはず。
少なくとも元侍従長の記録に国王の子供を殺したという記述はなかったし、他のやつにもなかった。
文字通り馬車馬のように悪霊カーシャを働かせる俺。
『残業代をくださいよ~~~!』
「何を言ってるんだ?お前は部下じゃなくて、しもべで悪霊だろ? 消滅しても構わないから働け!」
『ひどい~~~でも、それがいいの~~~』
「さっさと行け!!!!」
「イクわ~~~♡」
なんのやり取りだよ。
もしエフィにバレたら不潔って言われそうだから勘弁してほしい、ビッチな悪霊とか。
「まだ見つからないの? クズなの? その目はお飾りなの? 成仏するの?」
どこかの世界線の悪い人もびっくりなパワハラっぷりを見せつけてしまったけど、それだけ俺は必死だった。
ちなみにカーシャには魔力を与えてるし、望むお仕置きもたまにはくれてやってるから言うほど嫌がってないからな?
存在を消しかねない鞭打ちとか何が楽しいのかさっぱり理解できないが……。
「まだ見つからないのか?」
『名前はわかったわよ。エマ・ヴェルトよ。でも、その先がね~。どうも隠されてるみたいでさ、魔法で。痕跡はあるんだけど追えないのよ。まるで"魔女"の魔法みたいよね』
「よくやった!!! 行ってくる!」
『えっ? わかったの? ねぇ、待ってよ! っていうかこれほどいてよ! あん……動けないよ! 望んだのは私だけど、放置プレイはやめて~~~』
翌朝、俺は幸福感に塗れていた。
エフィを救い出し、プロポーズし、受け入れてもらった。父さんにもミトラ様にも許可を貰った。
最高だ。
幸せすぎて何か見落としてないか心配になる。
王族は一網打尽にしてしまったし、魔狼はヴェルト教授が倒した。悪霊は完全に俺のしもべだし、エフィは可愛い。
うん、完璧だ。
あとは国王の遺児を見つけるだけ。
父さんは全く頼りにならない。国王になってエフィーを娶ればいいとか、貴族社会の何たるかをまったく理解していないお気楽モード全開のことを言い出したから殴ってわからせた。
一方、俺を国王にしたらマズいと思っている勢力……特に、アザレンカ公爵家などは必死に国王の血族を探しているらしいが、見つかっていない。
国王は疑心暗鬼な小心者だったから、自らのライバルになりそうな親族をかなり殺していた。もしくはあえて治療しない、などの方針を採っていた。その上で王城内に住んでいる王族も多かったせいで、軒並み死亡していた。
あとはもう、俺と同じように国王の愛人の線で探すか、王家の血を受け継いでいる高位貴族の中で選ぶしかなくなっていた。
それをされると俺に確定するから勘弁してほしい。
なにせ、普通は爵位を継ぐと同時に王位継承権は返上する。
そもそも高位貴族だし、年齢高めで残っていた俺は上位に位置してしまっている。
だから全力で探さないといけない。そしてきっと探せる。弱気になったらダメだぞクラム。エフィとの幸せな未来を掴むためだ!
ということで、さて、どこにいる。
俺はもう探索を開始している。
悪霊カーシャを使ってな。
彼女は元情報部の魔術師だけあって、得意領域だ。
さっそく王城に入って調査を開始してくれたら、何人かの候補者を探してきた。
その人たちに俺がしれっと"人物史"をかける。
するとあっさりと手掛かりが見つかった。
<元侍従長であるバルトは、王妃の命令により国王の愛人エマとその子供を王城から追放した>
今から11年前の事件だった。
□王城にて
「そろそろさすがに国王の空位期間が長すぎて限界だ。諸外国に弱みを見せるわけにはいかない」
突然出て来たこのおっさんはラード侯爵。
高齢だが、以前は大臣をやっていた人で、暫定政権で外交を担当してもらうために呼び出された人だ。
侯爵ではあるが、その交友関係は広く、影響力は大きい。
そして中立派で、俺に国王になれと言っている人でもある。なんて迷惑な。
「覚悟は決まったかね。状況的に君がやるのが最上だ」
「ご冗談を。私はエルダーウィズ公爵家を継いで新たな国王を盛り立てていきたいと考えています」
お決まりのようにそう返す俺に厳しい視線を送ってくる侯爵。
彼からすると国王位を固辞する俺は意味不明な存在なのだろう。
前は自分が若ければ立候補していたとか言ってたな。
もちろん彼も侯爵を継いだ時に王位継承権を放棄している。
「国王陛下の子供を追っておりますゆえ、もうしばらくお待ち願いたい」
「国王陛下の子供……王子ということか? 何か見つけたのか。しかし国王が認知しておらぬのなら王位につけるかはわからんぞ?」
「私の"人物史"は嘘をつきません。必ず見つけます」
「どうしてそこまで……?」
「俺はエフィを守るとともに、彼女を応援するつもりです。そのためには国王になるわけにはいかないのです。もちろん、臣下として新たな国王を支えるつもりで、その気持ちは変わりません」
□エルダーウィズ公爵邸にて
俺たちは次その愛人が向かったと思われる場所を探索した。
エマという名前だけでは厳しい。しかし、11年前に王城で働いていて、追放された女。しかも身ごもっているか、もしくは赤子を連れているはず。
少なくとも元侍従長の記録に国王の子供を殺したという記述はなかったし、他のやつにもなかった。
文字通り馬車馬のように悪霊カーシャを働かせる俺。
『残業代をくださいよ~~~!』
「何を言ってるんだ?お前は部下じゃなくて、しもべで悪霊だろ? 消滅しても構わないから働け!」
『ひどい~~~でも、それがいいの~~~』
「さっさと行け!!!!」
「イクわ~~~♡」
なんのやり取りだよ。
もしエフィにバレたら不潔って言われそうだから勘弁してほしい、ビッチな悪霊とか。
「まだ見つからないの? クズなの? その目はお飾りなの? 成仏するの?」
どこかの世界線の悪い人もびっくりなパワハラっぷりを見せつけてしまったけど、それだけ俺は必死だった。
ちなみにカーシャには魔力を与えてるし、望むお仕置きもたまにはくれてやってるから言うほど嫌がってないからな?
存在を消しかねない鞭打ちとか何が楽しいのかさっぱり理解できないが……。
「まだ見つからないのか?」
『名前はわかったわよ。エマ・ヴェルトよ。でも、その先がね~。どうも隠されてるみたいでさ、魔法で。痕跡はあるんだけど追えないのよ。まるで"魔女"の魔法みたいよね』
「よくやった!!! 行ってくる!」
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