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生産の要
しおりを挟む彼が最初に向かったのは酒場だった。
酒場には、多くの人が集まるし、それに、お酒に酔って口が緩くなっているので、比較的簡単に情報を仕入れることができるからだ。
それに、アインは酒場に関しては、禁じていない。
酒場を禁じてしまえば、国民からの反感は発生してしまうだろうし、それに正直、問題を起こすのは一部の客なので会って、酒場というのは、基本的には安全な場所なのだった。
「すまんが、聞きたいことがある。」
カイゼルはさっそく、マスターに話しかけた。
「なんだ?せめて品物を頼んでからにしてもらいたかったのだが。」
「すまん。それでは、先にマスターのおすすめを出してくれ。」
カイゼルがそういうと、マスターは黙って作り始めた。
それを待って、そして、自分の席に置かれてから、もう一回マスターに話しかけた。
「それで、話を聞いてもらえるか?」
「なんだ?」
「今回は、この国の王である、アイン王についてを聞きに来たのだ。」
「なぜそんなことをするんだ?
我々は、この国の国民だ。
そんな質問をしてくるものを警戒しないで話を聞けってのは無理だが…」
「私は、他国のメディアのものだ。
そして、今回私は、この国の取材が仕事となった。
しかし、国に直接聞いてもしょうがない。
過去に、私の同僚が、国に話を聞きに行ったら、自分の国を誇示することばかりをしゃべって、自国が、困っている弱点を全くしゃべらなかったのだ。」
「なるほどな。
だからこそ、城下町という、比較的国の情報が手に入りやすく、国の手が回っていないであろう酒場に来たのか。」
「まぁ、そういうことだな。」
「そうか。しかし、私もこの国の政治家ではない。
だからこそ、自分の国については知っておきたいとは思っているが、正直、あまり知らないというのが現状だ。」
「それでもいい。この国の王の話を聞かせてくれ。」
「国の話じゃなくていいのか?」
「いや、もちろんその話も重要なんだが、それでも最初に気になるのは、その国を治めている王についてだろう?」
正直、内心では、結構ばれたのではないかと緊張していたが、その場はとっさの嘘で、切り抜けたのだった。
「まぁ、良いか。それじゃあ、話始めるぞ。
まず、この国というのは、世界から見ても結構最近できた国だ。
それこそ、まだ10年すら経っていない。」
「それは、我々の情報でも知っている。」
「しかし、我が国は今となっては結構裕福な生活ができるくらいには、大きな国になった。
それはすべてアイン王のおかげだろう。」
「そんなにもすごい王なのか?」
「ああ、何しろ、この国の海外への主力製品のほとんどは、アイン王が考えたものだ。
しかし、それと同時に、問題もある。」
「なんなのだ?」
「もしも、彼がいなくなってしまったらの話だ。
今まで、我が国に関しては、新たな技術などは、アイン王の力で開発してきた。
そりゃ、国の運営がうまいものはアイン王以外にいるだろうが、それでも、彼以上に生産に天才的な考え方を持っている者はいないだろう。」
そう、この国の問題は、アインに頼りすぎていることである。
しかし、だからこそ、現状のアインの人気の率はものすごく高かったのだった。
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