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悪魔の契約
しおりを挟むその王はとある建物の地下に居た。
「皆さん。こんにちは。」
「ああ、新米のお前か。覚悟は決まったのか?」
「はい。覚悟は決まりました。」
「そうか。お前はアインを倒して王になりたいんだったな?」
「はい。」
「俺等はそれを応援しよう。ようこそ、悪魔の世界へ。」
そう、黒いフードをかぶった人が言った。
「皆さんは、王になりたいという願望は無いのですか?アインを倒した瞬間に僕を殺すとか…」
「安心しろ。俺らにもう、そんな意思はない。昔は王になりたいと思っていた時代もあったが、今となっては関係の無い話だ。」
「ああ、それに、私に関しては元々王だったからな。」
「そんな皆さんが何故、王に興味が無くなってしまったのですか?」
「俺らの目的を達成するには、そんな王になりたいなどという夢は邪魔だったのでな。」
「王になる夢をあきらめてまで達成したい目標とは何なのでしょうか?」
「ああ、簡単さ。アインを殺す。これだけだ。」
「そ、そんなにあの方に恨みがあるのですか?」
「ああ、正直に言って、我々が転移魔法を手に入れてからは簡単に人が集まったからな。あいつは多くの人のために個人を攻撃する。確かに正義の味方だ。しかし!そういう奴は悪から嫌われるってことを教えてやろうと思ってな。」
「そうだったのですか…グリム会長」
「おいおい、俺等はこの島で一応国をやっているんだ。貿易国も10ヶ国くらいある。攻めて国王と呼んでくれないか?セノヴァ男爵よ。」
「すみません。なんとなくやっていることが会社の会長ぽくって…」
「まぁな。お前のことも男爵と呼んでいるが、すぐに自分の会社を作らせてやろう。少しの間だが待っていてくれ。」
「分かりました。グリム国王のほかの貴族をほとんど知らないのですが、他にはどのような人が居るのですか?」
「ああ、他の貴族は、大神官とかいろいろな役職の奴がいるな。まぁ、基本的に皆アインによって立場を消させられたがな。」
「そうだったのですか。しかし、皆さん一回はアインにやられているのですよね?」
「そうだな。」
「ではいったいどうやって勝つのですか?」
「それは、自分の体を悪魔に売るんだよ。」
「悪魔とは?」
「悪魔とは、魔族の中でも強烈な悪の心を持ったものが、正義の心を捨てて力を得た結果だな。理性は失っていないため、相手を陥れるときにだけは頭が良く回るが、それ以外では頭が回らない種族だ。」
「悪魔に体を売るとどうなるのですか?」
「特にデメリットは無いが、悪魔の気分次第で体が操られることだな。」
「そんな!それでは自由が無いではないですか!」
「そんなことは無いぞ?実際俺は今自由に動いているじゃないか。」
「た、確かに。」
「俺ら貴族に一番必要なのは悪魔に操られない心の強さだ。まぁ、俺や大神官は特例で違うがな。」
「な、何が違うのですか?」
「元々、この国を作ったのは俺たち2人だ。俺たち2人は真っ先に悪魔と契約をして、最上位悪魔との契約に成功した。最上位悪魔は他の悪魔と違い、知性が残っている奴もいるが、俺たちはその悪魔を引いた、ちなみに、悪魔のランクは契約者の恨みなどの気持ちに変わる。」
「そ、それでは、知性が残っている悪魔では操られてしまうのではないでしょうか?」
「逆だ。俺たちと最上位悪魔は話が合った。そして、最近は悪魔の中でもアインのことが話題になっているらしい。」
「そうなのですか?」
「まぁ、何故かを言おうとすると口が動かなくなるせいでいえないらしいが。」
「なんか曖昧ですね。」
「そこはどうでも良い。とにかく、俺らの利害は一致したんだ。だから俺が操られることはまず無い。お前は気をしっかり持って、悪魔に操られるな。行くぞ!」
「そんないきなり…ウギャャャャャャ」
そして、セノヴァの体はどんどんと黒くなっていったのであった。
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