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宰相逃げる

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            アインたちは玉座の間に入っていった。

「何故貴様らがここに来ているんだ!?」

「何故ってここの兵をみんな倒したからだよ。」

「貴様は誰だ?」

「僕は他の国で貴族をやっているものだ。」

「他の国の貴族だと?では貴様が最近この国の街を奪って行った者か…」

「奪ったって言うけど君はぜんぜん他の町に力を入れてなかったじゃん。」

「それでも奪っていったのは事実だ。さぁ、返してもらおうか。他の街の村長たちもそれを望んでいるだろう。」

「そんな事ないよ。だって村長たちは自分の意思で僕の領地に入ってくれたから。」

「なるほど。なんとなくそうではないかとは思っていた。しかし、今ここで貴様を倒してしまえばその町は戻ってくるだろう。」

「それは無理だよ。だって君にはもう兵がいないじゃないか。」

「それがまずおかしいのだ。」

「なんで?」

「貴様は自分の兵をこの場内につれてきていないらしいな。」

「そうだけど?」

「そしてそこにいる兵たちはまともな食事を渡していなかったはずだ。だからそこの兵たちに戦う力は残っていないはずだ。」

「なんだ、そんなことを気にしていたんだ。」

「なんだと?」

「食料に関しては僕が渡しているし、武器も僕が渡してあげたから万全の状態だよ。」

「兵全員に食料を渡せるほどの量があったのか…しかし、それでも納得のいかないことがある。」

「何?」

「そこの兵たちは私についている兵に比べて弱かったはずだ。」

「何を根拠にそう言ってるの?」

「私はそこの者たちの訓練を見たことがあるが、私についている兵よりも訓練がなっていなかった。」

「それは君がちゃんと食事をさせていなかったからでしょ?そりゃ空腹だったらそこまで調子は出ないよ。」

「そうだったのか。しかし私も自分の身を守ることなんかできる。」

「どうするの?さすがに君が修行していたとしてもこの人数には勝てないよ。」

「それぐらい分かっている。なので逃げさせてもらう。」

「まて、宰相よ。この国はどうするのだ?」

「王様、今までありがとうございました。これからがんばってくださいね。『転移魔法発動』」

そして宰相はその場から姿を消した。

「何!アイン様、逃げられてしまいました。」

「しょうがない。転移魔法で逃げられたのでは追いかけるのは難しいだろう。それに元凶である宰相はもういなくなったんだからいいだろう。」

「そうですね。しかし、そこにいる国王はどうするのですか?」

そんな話をしていると、国王がしゃべり始めた。

「おい、そこの兵士よ。そこの良く分からない子供を殺すんだ。」

「本気で言っているのですか?」

「何だと?貴様、兵のくせに王である私に逆らうのか?」

「あなたたちは私たちを差別して、ひどい環境においていた。そんな人に仕える気はしません。」

「それでも私が王なのだ。命令を聞け。」

「今日からあなたはもう王様じゃありません。この人をどうしますか?アイン様。」

「とりあえず、どっかの辺境の地にでも連れて行こう。農家の苦労を味わえば性格も変わるかも知れないし。」

「分かりました。誰かこいつを辺境の地に送ってきてくれ。」

「まて、今私を助ければ大金をやろう。私は王なんだ。手を離せ~。」

そして3人の兵士が元王を連れて行った。

「アイン様、次はどうしますか?」

「一回、みんなに宰相の危機が去ったことを伝えて、君はここの国をまとめて行ってね。」

「しかし、私に国の管理などできるのでしょうか?」

「それじゃあ僕の領地から副官を派遣しておくから困ったことがあったら協力してがんばって。」

「分かりました。今回はありがとうございました。」

そう言われてアインは自分の領に帰っていった。
        
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