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第4章
サイトウと稲荷大明神様 ⑦
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クマともタヌキともつかないぽんぽこりんなアンドロイドだった頃、囲碁対局動画を観るときにはな六の頭に入ってくる情報は、ほとんど動画からの情報だけだった。狭い寮の個室には余計なものが何もなくて静かだった。それに、当時のはな六の触覚は、生活と保身の為に必要な最低限のものしか備わっていなかった。
だが今のはな六は敏感な触覚を持っている。はな六の脳には、密着しているサイトウから、情報が絶え間なく送られてくる。それは温度と触り心地だ。かつてのはな六にとっては、温度とはただの数値でしかなく、触り心地などは存在しないものだった。
「ねぇ、サイトウ。サイトウとくっついていると、どうしてこんなに気持ちいいの?」
「ケケケ、それはおめぇが俺様のことを大好きだからだろ。はな六よぅ、そういうのを“幸せ”っていうんだ」
「幸せって、おれ知ってるよ。碁の対局で勝って、皆にすごいすごいって誉められることだ」
しかしはな六は、プロ棋士を辞めて“このはな六”に生まれ変わる前の長い間、ろくに勝てなかったし、勝ったとしても打ち負かして当然の相手との対局ばかりで、誉められることなどすっかりなくなっていた。はな六は長年、幸せを感じたことがなかった。
はな六は両の脚を、サイトウの脚にごしごしと擦りつけた。
「サイトウ、ちょっと寒くなってきた」
「あ?」
気が付けばだいぶ日が傾いてくる時間で、日当たりの悪い茶の間には、早くも夕闇の気配がひたひたと近づいてきていた。ひんやりとした冷気が畳から滲み出てきて、炬燵の下に敷かれた敷き布団をも通り抜け、はな六の脚を撫でようとする。
「そんなに寒ぃんなら、そろそろ炬燵点けてやろうか?」
はな六は首を横に振った。
「いいよ。サイトウはそれじゃ暑いんでしょ? おれは、サイトウが温めてくれれば充分だよ」
「可愛いこと言うじゃねぇかよぅ。よっしゃ、温めてやらぁ」
サイトウははな六のうなじにカプリと噛みついた。
「ん!」
はな六は身を捩った。サイトウの手がはな六の部屋着の裾に侵入し、腹筋をさわさわと撫で回す。気持ちが高まるとともに、はな六の体内がセックスの準備を始めた。心臓が高鳴り、体内電熱機の働きが加速する。身体中の水管を温水が駆け巡り、体温が上昇する。下着の中で柔らかく垂れ下がっていたお飾りが熱を持ち、膨張し、硬くなっていく。下腹の深部では人工精液の原液と温水が混合され、射精に備えて蓄えられる。そしてお飾りの先端からは少し粘性のある潤滑液が溢れ出す。
「んっ……」
サイトウの指先がお飾りの先端に触れ、円を描くように先端の穴を擦り、潤滑液を塗り広げていく。はな六は、背中をびくりと弓形に反らせた。サイトウはお飾りを弄ぶ手を止めずに、もう片方の手ではな六の乳首をつまんだ。お飾りから分泌された潤滑液は、サイトウの掌全体を濡らしたばかりでなく、下着の前をぐっしょりと濡らし、陰毛を浸し、内腿にまで及んでいた。ゆっくりと、サイトウの手がお飾りを扱き始める。
「ん、あ、あ、あ………」
はな六はサイトウの手の動きに合わせて喘いだ。炬燵布団の下ではこんな不埒なことが行われているが、テレビの中では先ほどと変わらず、麗凰が真剣な面持ちで、盤上に視線を落としていた。それがはな六の興奮を一層煽った。テレビ囲碁対局から、こんな形で目を逸らすなど。碁よりも気分を高揚させるものがあるなど……。
「手だけでイッちゃいそ?」
サイトウが耳許で囁いたが、はな六には答える余裕はない。サイトウの手の動きが速度を増す。はな六は奥歯を噛み締めて、腹の底からせり上がってくる快感をこらえようとしたが、限界はすぐだった。
「ぁあうっ!」
ビュッと精液が下着の裏を打った。どくどくと脈打つお飾りを、サイトウは搾り尽くさんばかりに扱き上げる。
「ぁ……ぁぁ、サイトウ……サイトウ……」
「お布団行くか?」
はな六は首をぶんぶんと横に振った。
「ここでして。今すぐ後ろから突かれたい。四つん這いで、後ろからがいい!」
そうはな六がねだると、サイトウはケケケケケと笑った。
「ほっか。四つん這いか。目茶苦茶に突かれてぇの?」
「ん。痛くなるくらい強くして。いっぱい乱暴なのがいい」
「わーったよ。じゃあ自分で脱ぎな」
はな六は炬燵から這い出て膝立ちになり、ズボンと下着を下ろした。精を吐き出してなお硬度を保ちピンと起ち上がっているお飾りから、粘液が糸のように細く、たらたらと流れ出している。はな六はそれを下着で拭った。上着と肌着も脱いで、それらを畳に敷き、その上に膝をついて四つん這いの姿勢になった。サイトウが背後から、はな六の臀部に手を置いて言った。
「テレビ消すか?」
「ううん。点けたままでいい」
「おめぇ、碁を観ながらヤるんきゃ?」
「ううん、早くおれの中を沢山擦って」
「よーしよし、おめぇは本当、可愛いなぁ」
サイトウははな六の体液で濡れた手を、はな六の臀部の割れ目に滑らせた。入り口に丹念に粘液を刷り込んでいく。何の抵抗もなく、サイトウの指ははな六の体内に滑り込む。指は腹の中から快感のツボに圧力を加えた。
「あぅっ!」
びゅうと精液が押し出され、身体の下に敷いた服の上に飛び散った。
「やだ、指じゃやだっ。ちゃんとサイトウので気持ちよくして! 痛くなるまで突いて!」
「へいへい。お望み通りにしてやるよ」
指はすぐに抜かれ、そしてすぐにズンと重い衝撃が腰の中を打つ。
「あぁいっ……!」
両肘から力が抜け、はな六は前のめりに突っ伏した。
「こらこら、ダメじゃねぇか。ちゃんと支えてなきゃ」
サイトウはぱちぱちとはな六の尻を叩いた。
「おめぇが言ったんだろ? 後ろから目茶苦茶に突きまくられたいってよぉ。テレビん中の小綺麗な顔したお嬢ちゃんに、見せつけてやんな、すっげぇ気持ちいいことしてるとこをよぉ。どうだ羨ましいだろってな。おら、起きろはな六」
はな六は呻きながら両手をつき、ぐっと身体を支えた。サイトウが手加減無しに後ろから突いてくる。腹の奥が鈍く痛み、その何倍もの快感がパッとはぜる。はな六は倒れないよう懸命に両手両足を踏ん張った。正面のテレビの中では、麗凰が何度目かの長考に入った。美しい顔をぴくりとも歪めず、無表情で盤上に視線を落としている様は、まるで本物の人形のようだ。
サイトウは小刻みにはな六の内部を擦り上げていく。はな六は腰砕けになり、ぺたりと肘をついた。サイトウは一物を抜かず、はな六の腰を両手で掴み、背中からうなじまでべろりとひと舐めした。はな六はぞくりと背を震わせ、ひと鳴きした。
「あぁ、やべっ。俺も気持ちいいわ。何度でも……出せそっ」
ぐっと突き上げられて、はな六のお飾りからはまた精液が溢れた。サイトウの一物がはな六の中でどくどくと脈打っている。サイトウははな六の肩に顎を載せて、荒い息を吐いた。
サイトウの一物は硬さを失わず、ゆっくりとはな六の中を掻き回す。はな六は何も考えられなくなり、気持ちいい、気持ちいいとうわごとのように繰り返した。
日は既にとっぷりと暮れ、二人は寝室に場所を移し、布団の中でしっかりと抱き合っていた。
ちゅっと音を立てて、唇と唇が離れた。はな六は唇の間から舌を出したまま、枕にこてっと頭を横たえた。口は開けっぱなしで、瞼はうとうとと、勝手に下りてくる。サイトウの掌がはな六の頬や額を撫で、髪をわしわしと揉みくちゃにした。
「あー……さすがにヘトヘトだぜ。めちゃくちゃにやった、なぁ?」
「ん……?」
サイトウの声は耳に入るものの、何を言ってるのかは、さっぱりわからない。
「はな六、おめぇさては電池切れか? 今残量いくつだ」
「は、あふ? へ……?」
「あーもう!」
隣に感じていた体温が去り、代わりにすぅ、と寒い風が布団に入り込んできた。はな六は身震いした。しばらくすると、突然ガバッと布団が全部剥がされた。
「さむ、寒いよぉ」
「ちっと我慢してろ」
腹を濡れタオルでゴシゴシと擦られ、次に乾いたタオルで乾拭きされた。臍周りを特にしつこく拭われる。充電器が挿入されると体温が上昇し、寒さが和らいでいく。布団が再び被せられ、隣にサイトウが寝そべった。
「まったくよぉ。電池なくなりそうなら早く言えっての」
「だってぇ、途中で止められたくなかったんだもん」
「へへっ可愛い奴め」
面倒をかけてしまったというのに、サイトウは上機嫌ではな六の唇をチュッチュと吸い、頭を撫でた。はな六は心地よさに目を閉じた。
「あー。正月休みも今日で終わりかぁー」
サイトウは早くも明日、三日から、通常通り働く気でいる。といっても、サイトウは年末年始休業中も、午前中はあれこれ作業をしていた。サイトウはただ休んでいる方が調子が出ないのだという。一方、はな六も明日の夜から仕事を再開する。
「後先考えずにおめぇとヤりまくれる時間が、今、終わったってぇことだ。あー、こんなに休暇が終わるのを惜しいと思ったことなんか、ねぇよなぁ」
はな六はサイトウの、毛むくじゃらの胸に鼻面を埋めたまま、サイトウのぼやきを聴いていた。
「なぁ、はな六よぉ」
「んー?」
「おめぇ、もう俺様の嫁なんだからよ」
「んー」
「そのボディの料金はもうチャラだかんな」
「え?」
「おめぇはもう、シャカリキんなって稼ぐ必要はねぇんだからよ。仕事なんかちょこっとでいいんだからな」
「え?」
「辛くなるほど働かなくていいんだぞ」
「え?」
はな六は顔を上げて、サイトウを見た。その時にはもうサイトウは目を閉じ、ぐうぐうと高いびきをかいていた。
だが今のはな六は敏感な触覚を持っている。はな六の脳には、密着しているサイトウから、情報が絶え間なく送られてくる。それは温度と触り心地だ。かつてのはな六にとっては、温度とはただの数値でしかなく、触り心地などは存在しないものだった。
「ねぇ、サイトウ。サイトウとくっついていると、どうしてこんなに気持ちいいの?」
「ケケケ、それはおめぇが俺様のことを大好きだからだろ。はな六よぅ、そういうのを“幸せ”っていうんだ」
「幸せって、おれ知ってるよ。碁の対局で勝って、皆にすごいすごいって誉められることだ」
しかしはな六は、プロ棋士を辞めて“このはな六”に生まれ変わる前の長い間、ろくに勝てなかったし、勝ったとしても打ち負かして当然の相手との対局ばかりで、誉められることなどすっかりなくなっていた。はな六は長年、幸せを感じたことがなかった。
はな六は両の脚を、サイトウの脚にごしごしと擦りつけた。
「サイトウ、ちょっと寒くなってきた」
「あ?」
気が付けばだいぶ日が傾いてくる時間で、日当たりの悪い茶の間には、早くも夕闇の気配がひたひたと近づいてきていた。ひんやりとした冷気が畳から滲み出てきて、炬燵の下に敷かれた敷き布団をも通り抜け、はな六の脚を撫でようとする。
「そんなに寒ぃんなら、そろそろ炬燵点けてやろうか?」
はな六は首を横に振った。
「いいよ。サイトウはそれじゃ暑いんでしょ? おれは、サイトウが温めてくれれば充分だよ」
「可愛いこと言うじゃねぇかよぅ。よっしゃ、温めてやらぁ」
サイトウははな六のうなじにカプリと噛みついた。
「ん!」
はな六は身を捩った。サイトウの手がはな六の部屋着の裾に侵入し、腹筋をさわさわと撫で回す。気持ちが高まるとともに、はな六の体内がセックスの準備を始めた。心臓が高鳴り、体内電熱機の働きが加速する。身体中の水管を温水が駆け巡り、体温が上昇する。下着の中で柔らかく垂れ下がっていたお飾りが熱を持ち、膨張し、硬くなっていく。下腹の深部では人工精液の原液と温水が混合され、射精に備えて蓄えられる。そしてお飾りの先端からは少し粘性のある潤滑液が溢れ出す。
「んっ……」
サイトウの指先がお飾りの先端に触れ、円を描くように先端の穴を擦り、潤滑液を塗り広げていく。はな六は、背中をびくりと弓形に反らせた。サイトウはお飾りを弄ぶ手を止めずに、もう片方の手ではな六の乳首をつまんだ。お飾りから分泌された潤滑液は、サイトウの掌全体を濡らしたばかりでなく、下着の前をぐっしょりと濡らし、陰毛を浸し、内腿にまで及んでいた。ゆっくりと、サイトウの手がお飾りを扱き始める。
「ん、あ、あ、あ………」
はな六はサイトウの手の動きに合わせて喘いだ。炬燵布団の下ではこんな不埒なことが行われているが、テレビの中では先ほどと変わらず、麗凰が真剣な面持ちで、盤上に視線を落としていた。それがはな六の興奮を一層煽った。テレビ囲碁対局から、こんな形で目を逸らすなど。碁よりも気分を高揚させるものがあるなど……。
「手だけでイッちゃいそ?」
サイトウが耳許で囁いたが、はな六には答える余裕はない。サイトウの手の動きが速度を増す。はな六は奥歯を噛み締めて、腹の底からせり上がってくる快感をこらえようとしたが、限界はすぐだった。
「ぁあうっ!」
ビュッと精液が下着の裏を打った。どくどくと脈打つお飾りを、サイトウは搾り尽くさんばかりに扱き上げる。
「ぁ……ぁぁ、サイトウ……サイトウ……」
「お布団行くか?」
はな六は首をぶんぶんと横に振った。
「ここでして。今すぐ後ろから突かれたい。四つん這いで、後ろからがいい!」
そうはな六がねだると、サイトウはケケケケケと笑った。
「ほっか。四つん這いか。目茶苦茶に突かれてぇの?」
「ん。痛くなるくらい強くして。いっぱい乱暴なのがいい」
「わーったよ。じゃあ自分で脱ぎな」
はな六は炬燵から這い出て膝立ちになり、ズボンと下着を下ろした。精を吐き出してなお硬度を保ちピンと起ち上がっているお飾りから、粘液が糸のように細く、たらたらと流れ出している。はな六はそれを下着で拭った。上着と肌着も脱いで、それらを畳に敷き、その上に膝をついて四つん這いの姿勢になった。サイトウが背後から、はな六の臀部に手を置いて言った。
「テレビ消すか?」
「ううん。点けたままでいい」
「おめぇ、碁を観ながらヤるんきゃ?」
「ううん、早くおれの中を沢山擦って」
「よーしよし、おめぇは本当、可愛いなぁ」
サイトウははな六の体液で濡れた手を、はな六の臀部の割れ目に滑らせた。入り口に丹念に粘液を刷り込んでいく。何の抵抗もなく、サイトウの指ははな六の体内に滑り込む。指は腹の中から快感のツボに圧力を加えた。
「あぅっ!」
びゅうと精液が押し出され、身体の下に敷いた服の上に飛び散った。
「やだ、指じゃやだっ。ちゃんとサイトウので気持ちよくして! 痛くなるまで突いて!」
「へいへい。お望み通りにしてやるよ」
指はすぐに抜かれ、そしてすぐにズンと重い衝撃が腰の中を打つ。
「あぁいっ……!」
両肘から力が抜け、はな六は前のめりに突っ伏した。
「こらこら、ダメじゃねぇか。ちゃんと支えてなきゃ」
サイトウはぱちぱちとはな六の尻を叩いた。
「おめぇが言ったんだろ? 後ろから目茶苦茶に突きまくられたいってよぉ。テレビん中の小綺麗な顔したお嬢ちゃんに、見せつけてやんな、すっげぇ気持ちいいことしてるとこをよぉ。どうだ羨ましいだろってな。おら、起きろはな六」
はな六は呻きながら両手をつき、ぐっと身体を支えた。サイトウが手加減無しに後ろから突いてくる。腹の奥が鈍く痛み、その何倍もの快感がパッとはぜる。はな六は倒れないよう懸命に両手両足を踏ん張った。正面のテレビの中では、麗凰が何度目かの長考に入った。美しい顔をぴくりとも歪めず、無表情で盤上に視線を落としている様は、まるで本物の人形のようだ。
サイトウは小刻みにはな六の内部を擦り上げていく。はな六は腰砕けになり、ぺたりと肘をついた。サイトウは一物を抜かず、はな六の腰を両手で掴み、背中からうなじまでべろりとひと舐めした。はな六はぞくりと背を震わせ、ひと鳴きした。
「あぁ、やべっ。俺も気持ちいいわ。何度でも……出せそっ」
ぐっと突き上げられて、はな六のお飾りからはまた精液が溢れた。サイトウの一物がはな六の中でどくどくと脈打っている。サイトウははな六の肩に顎を載せて、荒い息を吐いた。
サイトウの一物は硬さを失わず、ゆっくりとはな六の中を掻き回す。はな六は何も考えられなくなり、気持ちいい、気持ちいいとうわごとのように繰り返した。
日は既にとっぷりと暮れ、二人は寝室に場所を移し、布団の中でしっかりと抱き合っていた。
ちゅっと音を立てて、唇と唇が離れた。はな六は唇の間から舌を出したまま、枕にこてっと頭を横たえた。口は開けっぱなしで、瞼はうとうとと、勝手に下りてくる。サイトウの掌がはな六の頬や額を撫で、髪をわしわしと揉みくちゃにした。
「あー……さすがにヘトヘトだぜ。めちゃくちゃにやった、なぁ?」
「ん……?」
サイトウの声は耳に入るものの、何を言ってるのかは、さっぱりわからない。
「はな六、おめぇさては電池切れか? 今残量いくつだ」
「は、あふ? へ……?」
「あーもう!」
隣に感じていた体温が去り、代わりにすぅ、と寒い風が布団に入り込んできた。はな六は身震いした。しばらくすると、突然ガバッと布団が全部剥がされた。
「さむ、寒いよぉ」
「ちっと我慢してろ」
腹を濡れタオルでゴシゴシと擦られ、次に乾いたタオルで乾拭きされた。臍周りを特にしつこく拭われる。充電器が挿入されると体温が上昇し、寒さが和らいでいく。布団が再び被せられ、隣にサイトウが寝そべった。
「まったくよぉ。電池なくなりそうなら早く言えっての」
「だってぇ、途中で止められたくなかったんだもん」
「へへっ可愛い奴め」
面倒をかけてしまったというのに、サイトウは上機嫌ではな六の唇をチュッチュと吸い、頭を撫でた。はな六は心地よさに目を閉じた。
「あー。正月休みも今日で終わりかぁー」
サイトウは早くも明日、三日から、通常通り働く気でいる。といっても、サイトウは年末年始休業中も、午前中はあれこれ作業をしていた。サイトウはただ休んでいる方が調子が出ないのだという。一方、はな六も明日の夜から仕事を再開する。
「後先考えずにおめぇとヤりまくれる時間が、今、終わったってぇことだ。あー、こんなに休暇が終わるのを惜しいと思ったことなんか、ねぇよなぁ」
はな六はサイトウの、毛むくじゃらの胸に鼻面を埋めたまま、サイトウのぼやきを聴いていた。
「なぁ、はな六よぉ」
「んー?」
「おめぇ、もう俺様の嫁なんだからよ」
「んー」
「そのボディの料金はもうチャラだかんな」
「え?」
「おめぇはもう、シャカリキんなって稼ぐ必要はねぇんだからよ。仕事なんかちょこっとでいいんだからな」
「え?」
「辛くなるほど働かなくていいんだぞ」
「え?」
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