15 / 63
第2章
はな六の独立宣言 ②
しおりを挟む
マサユキは厚ぼったいまぶたをほんの僅かに見開き、分厚い唇を少し開いて、はな六を見下ろした。そして一分くらい沈黙し、はな六が不安でそわそわし始めた頃にようやく言った。
「セックスしてもらってもいいですか?」
「えっ」
「さっきの表情、すごくエチエチだったので、勃ってしまいました。ちょっと我慢し難いので、挿れさせていただけると有難いです」
はな六はマサユキの下半身に指を這わせた。スウェット地の下で、マサユキの大きな逸物がひくりひくりと蠢いていた。
セックスの後、はな六がシャワーを浴び終えると、マサユキは電話応対をしていた。
「六花ちゃん、お仕事入りましたよ。六十分コースで指名あり、オプションは無しです」
「了解」
はな六はマサユキのもとに歩いていき、書類に注文を記入しているマサユキの手元を覗き込んだ。
「遠いとこ?」
「車で三十分くらいです」
「そう」
マサユキは顔を上げ、はな六の唇に口付けた。
「どうしました? そんなに心配そうな顔して」
「仕事の前はいつも心配だよ。変な客に当たったらやだなぁって」
「そうですか。危ないと思ったらすぐ僕に電話してくださいね、助けに行きますから」
「うん、ありがと」
「いいえ、それが僕の仕事ですから」
マサユキの手によしよしと頭を撫でられ、はな六は目を細めた。
「あ、そうそう、六花ちゃん」
「なに?」
「パーツの交換の件ですが、僕などが意見してよいのかわかりませんけれども、あえて僕の好みを申し上げるならば、僕はエチエチに乱れる六花ちゃんが好きなので、六花ちゃんがより気持ちよく感じられるパーツがいいですねぇ。まぁ、一意見として聞き流していただければ」
「わかった。参考にするね」
はな六はマサユキの頬にチュッとキスをした。ふと時計を見ると、もう仕事仲間達が出勤して来る時間で、廊下の方から陽気な話し声と足音が近付いて来るのが聴こえた。
迎えの車は客が手配してくれるというので、はな六はマサユキと二人、マンションの駐車場で待っていた。すると、てっきりタクシーが迎えに来るのかと思いきや、やって来たのはピカピカの高級車だった。
「あらら、ハイエンド」
「おれが乗って大丈夫なの?」
「モチのロンですよ。お客様が呼んでくれたのですから」
運転手が車を降りて来て、はな六の為に後部座席のドアを開け、恭しく頭をたれた。
「VIP待遇ですね」
「おれちょっと心配になって来た。お金がかかってるからって、変なことされたりしないよね?」
「大丈夫ですよ。ただのお金持ちの道楽でしょう。でももし何かあったらすぐにお電話下さいね。駆けつけますから。あと携帯のGPS、オンにしといて下さい」
はな六は携帯端末を取り出し、位置情報がオンになっていることを確認した。そして恐る恐る運転手に荷物を預け、車に乗り込んだ。手を振るマサユキに、ぎこちなく手を振り返す。間もなく車はスムーズに動きだした。はな六は泣きそうになりながら、遠ざかっていくマサユキの姿を見詰め続けた。
はな六を乗せた高級車が滑り込んだのは、森の側にそびえ立つ、ホテルのような趣の高層建築だった。オレンジ色の光に満ちた豪奢なエントランスに、行き先を間違えているのではないかと一層心配になったが、運転手は何も間違いなどない様子で後部座席のドアを開け、はな六が降りるのを待つ。はな六はおずおずと車内から大理石の床に足を下ろした。
マンションなのにホテルのようにロビーに受付カウンターがある。人のいるカウンターがある場所では、いつも緊張してしまう。時々、受付係にはな六のような業種の者が出入りするのを嫌う者がいて、嫌悪感剥き出しの塩対応をされることがある。塩対応だけならいいが、警察を呼ばれることもまれにあるらしい。そうならないよう、さもここの住民の友達であるかのように、胸を張って堂々としなければならない。だが、こんな場違いな所で堂々とできる訳がない。
ところがはな六がロビーに入ると、受付係の一人が近づいてきて荷物を預り、エレベーターまで案内してくれた。どうやら、きちんと受付まで話が通してあるらしい。
エレベーターの中に鏡があったので、はな六は両手で頬っぺたをわしわしと揉みほぐし、それから鏡の中の自分に向かってにっこりと笑った。自分が今から訪う部屋の住人は自分の恋人なのだという暗示を自分にかけるためだ。
エレベーターが目的のフロアに停まる。はな六は頬をパチパチと叩いて、エレベーターを降り、重厚なカーペットの敷き詰められた廊下を歩き出した。
「はぁ……」
思わずため息が出てしまう。グレーを基調とした広い部屋は、これまで訪問したどの部屋よりも豪華だった。磨き上げられたシックな黒のキャビネット、広々としたオープンキッチン、透明なガラス製のローテーブル。そしてはな六が腰を下ろしている、手触りがよくふかふかのソファー。厚く敷き詰められた絨毯から足の裏に、ほかほかと床暖房の熱が伝わってくる。
膝の上にも、ほかほかと熱を発するものが一匹。ラグジュアリーなマンション住まいにしてはごく普通の、どこにでもいそうな雑種の白猫だ。猫はよく躾けられているのか、それとも飼い主に似て大人しい質なのか、テーブルの上にある菓子やおつまみを欲しがることはせず、はな六の膝の上に行儀よく座っていた。
ふと猫がくるりと振り向き、「にゃ」と小さく鳴いた。
「めっだよ」
とはな六がいうと、猫はわかっているとでも言いたげな様子で伸び上がり、はな六の顎に頭のてっぺんを擦りつけた。
「くすぐったい! やめてよ“蒸しパン”」
だが猫の重みやふかふかな手触りは心地よく、猫を飼いたがる人間の気持ちをはな六は今ようやく理解した。
「六花は飲み物は何がいい?」
オープンキッチンから、蒸しパンの飼い主が言った。
「えっと、お構いなく」
「遠慮しないで。酒は呑める?」
「いえ、全然だめなんです」
「下戸なんだ。じゃあソフトドリンクがいいかな」
「お水がいいです」
「本当に? 車酔いでもした?」
「んー」
(クルマヨイって、何だろう……)
さりげなく言われたからには、人間にはよくあることなのだろう。質問したら人間ではないことがバレるかもしれない。目の前の相手は、はな六がアンドロイドだと知ったら手荒な真似をしてくるだろうか?
子供の頃、悪ガキ達がクマともタヌキともつかないぽんぽこりんなアンドロイドだったはな六を足蹴にしたり碁石を投げつけてきたりする中、一人離れた所に佇んでこちらの様子を窺っていたジュンソ。
そう、あのハン・ジュンソだ。恐るべき偶然により、はな六は旧友の部屋に招かれてしまったのだ。
「はい、お水どうぞ」
ジュンソがはな六の目の前にグラスを置いた。蒸しパンは飼い主に遠慮してか、はな六の膝から降りていった。
「ありがとうございます。うわぁ、すごい、綺麗なコップですね」
透明なグラスには格子状の繊細なカッティングがほどこされていて、間接照明を受けてキラキラと輝いている。
「エドキリコって言うんだ。知ってる?」
はな六は首を振った。
「ジャパンの伝統工芸品だよ。気に入ったなら持って帰ってもいいよ」
「いえいえ結構です! すごく高そうだし」
「別にそんなに高くないよ。二万円くらいだったかな」
「二万円!?」
ただの客人に水を出すグラスが二万円とは、普通の金銭感覚じゃない!
(ジュンソの家は金持ちだ、という噂は子供時代に聞いたことがあるけど、まさかこれほどのものとは……)
はな六がおののいていると、ジュンソはそんなのお構い無しではな六の隣に座り、ワインボトルの栓を開け、手酌で氷の入ったグラスに注いだ。
「もっと長い時間遊びたいんだけど、今日は君は延長は出来ないって店長さんから言われた。もしかして学生さん?」
はな六は曖昧に頷いた。
「これ、この間街をぶらぶらしてたら見つけたんだ。こんなの見たことないでしょ? 安いのに結構美味しいんだよ」
そう言って、ジュンソはボトルを回してラベルをはな六の方へ向けた。
“アカダマポートワイン”
(これは……)
はな六はしょっちゅう見かける。サイトウの家の冷蔵庫に常備されているし、マサユキの部屋の台所にもある。料理の仕込みに使う赤ワインだ。つい先日も、マサユキがユユのリクエストで鶏の照り焼きを作るため、前日の夕方に鶏肉をこのワインに漬けていた。
「こんな素晴らしいものが千円以下で売っていた。ジャパンは面白い国だね」
ジュンソはグラスを掲げ、はな六のグラスに軽く当てた。グラスと氷が涼しげに鳴る。グラスの中身を半分ほど一息に飲んでしまうと、ジュンソはソファーに背中を預けて寛いだ。組んだ脚の、薄手のルームシューズを履いた爪先がゆらゆらと穏やかに揺れる。と、どこに隠れていたのか、蒸しパンがひょっこりと顔を出した。大きな眼をキョロキョロと動かして飼い主の爪先を追ったが、すぐに飽きた様子ではな六の膝に飛び乗ってきた。はな六が撫でてやると、蒸しパンは心地よさそうにゴロゴロと喉を鳴らした。
「珍しいじゃないか。お客さんに懐くなんて」
ジュンソに顎をわしわしと撫でられ、蒸しパンは仰向けになって身体をくねらす。
「この子は“にくまん”。もう一匹、双子の兄弟が、たぶんそこら辺に隠れていると思うけど……」
はな六はギクリとした。この白猫は昔はな六が面倒を見た“蒸しパン”ではなかったのだ。さっき、はな六が猫を蒸しパンと呼んだのをジュンソは聴いていただろうか?
「セックスしてもらってもいいですか?」
「えっ」
「さっきの表情、すごくエチエチだったので、勃ってしまいました。ちょっと我慢し難いので、挿れさせていただけると有難いです」
はな六はマサユキの下半身に指を這わせた。スウェット地の下で、マサユキの大きな逸物がひくりひくりと蠢いていた。
セックスの後、はな六がシャワーを浴び終えると、マサユキは電話応対をしていた。
「六花ちゃん、お仕事入りましたよ。六十分コースで指名あり、オプションは無しです」
「了解」
はな六はマサユキのもとに歩いていき、書類に注文を記入しているマサユキの手元を覗き込んだ。
「遠いとこ?」
「車で三十分くらいです」
「そう」
マサユキは顔を上げ、はな六の唇に口付けた。
「どうしました? そんなに心配そうな顔して」
「仕事の前はいつも心配だよ。変な客に当たったらやだなぁって」
「そうですか。危ないと思ったらすぐ僕に電話してくださいね、助けに行きますから」
「うん、ありがと」
「いいえ、それが僕の仕事ですから」
マサユキの手によしよしと頭を撫でられ、はな六は目を細めた。
「あ、そうそう、六花ちゃん」
「なに?」
「パーツの交換の件ですが、僕などが意見してよいのかわかりませんけれども、あえて僕の好みを申し上げるならば、僕はエチエチに乱れる六花ちゃんが好きなので、六花ちゃんがより気持ちよく感じられるパーツがいいですねぇ。まぁ、一意見として聞き流していただければ」
「わかった。参考にするね」
はな六はマサユキの頬にチュッとキスをした。ふと時計を見ると、もう仕事仲間達が出勤して来る時間で、廊下の方から陽気な話し声と足音が近付いて来るのが聴こえた。
迎えの車は客が手配してくれるというので、はな六はマサユキと二人、マンションの駐車場で待っていた。すると、てっきりタクシーが迎えに来るのかと思いきや、やって来たのはピカピカの高級車だった。
「あらら、ハイエンド」
「おれが乗って大丈夫なの?」
「モチのロンですよ。お客様が呼んでくれたのですから」
運転手が車を降りて来て、はな六の為に後部座席のドアを開け、恭しく頭をたれた。
「VIP待遇ですね」
「おれちょっと心配になって来た。お金がかかってるからって、変なことされたりしないよね?」
「大丈夫ですよ。ただのお金持ちの道楽でしょう。でももし何かあったらすぐにお電話下さいね。駆けつけますから。あと携帯のGPS、オンにしといて下さい」
はな六は携帯端末を取り出し、位置情報がオンになっていることを確認した。そして恐る恐る運転手に荷物を預け、車に乗り込んだ。手を振るマサユキに、ぎこちなく手を振り返す。間もなく車はスムーズに動きだした。はな六は泣きそうになりながら、遠ざかっていくマサユキの姿を見詰め続けた。
はな六を乗せた高級車が滑り込んだのは、森の側にそびえ立つ、ホテルのような趣の高層建築だった。オレンジ色の光に満ちた豪奢なエントランスに、行き先を間違えているのではないかと一層心配になったが、運転手は何も間違いなどない様子で後部座席のドアを開け、はな六が降りるのを待つ。はな六はおずおずと車内から大理石の床に足を下ろした。
マンションなのにホテルのようにロビーに受付カウンターがある。人のいるカウンターがある場所では、いつも緊張してしまう。時々、受付係にはな六のような業種の者が出入りするのを嫌う者がいて、嫌悪感剥き出しの塩対応をされることがある。塩対応だけならいいが、警察を呼ばれることもまれにあるらしい。そうならないよう、さもここの住民の友達であるかのように、胸を張って堂々としなければならない。だが、こんな場違いな所で堂々とできる訳がない。
ところがはな六がロビーに入ると、受付係の一人が近づいてきて荷物を預り、エレベーターまで案内してくれた。どうやら、きちんと受付まで話が通してあるらしい。
エレベーターの中に鏡があったので、はな六は両手で頬っぺたをわしわしと揉みほぐし、それから鏡の中の自分に向かってにっこりと笑った。自分が今から訪う部屋の住人は自分の恋人なのだという暗示を自分にかけるためだ。
エレベーターが目的のフロアに停まる。はな六は頬をパチパチと叩いて、エレベーターを降り、重厚なカーペットの敷き詰められた廊下を歩き出した。
「はぁ……」
思わずため息が出てしまう。グレーを基調とした広い部屋は、これまで訪問したどの部屋よりも豪華だった。磨き上げられたシックな黒のキャビネット、広々としたオープンキッチン、透明なガラス製のローテーブル。そしてはな六が腰を下ろしている、手触りがよくふかふかのソファー。厚く敷き詰められた絨毯から足の裏に、ほかほかと床暖房の熱が伝わってくる。
膝の上にも、ほかほかと熱を発するものが一匹。ラグジュアリーなマンション住まいにしてはごく普通の、どこにでもいそうな雑種の白猫だ。猫はよく躾けられているのか、それとも飼い主に似て大人しい質なのか、テーブルの上にある菓子やおつまみを欲しがることはせず、はな六の膝の上に行儀よく座っていた。
ふと猫がくるりと振り向き、「にゃ」と小さく鳴いた。
「めっだよ」
とはな六がいうと、猫はわかっているとでも言いたげな様子で伸び上がり、はな六の顎に頭のてっぺんを擦りつけた。
「くすぐったい! やめてよ“蒸しパン”」
だが猫の重みやふかふかな手触りは心地よく、猫を飼いたがる人間の気持ちをはな六は今ようやく理解した。
「六花は飲み物は何がいい?」
オープンキッチンから、蒸しパンの飼い主が言った。
「えっと、お構いなく」
「遠慮しないで。酒は呑める?」
「いえ、全然だめなんです」
「下戸なんだ。じゃあソフトドリンクがいいかな」
「お水がいいです」
「本当に? 車酔いでもした?」
「んー」
(クルマヨイって、何だろう……)
さりげなく言われたからには、人間にはよくあることなのだろう。質問したら人間ではないことがバレるかもしれない。目の前の相手は、はな六がアンドロイドだと知ったら手荒な真似をしてくるだろうか?
子供の頃、悪ガキ達がクマともタヌキともつかないぽんぽこりんなアンドロイドだったはな六を足蹴にしたり碁石を投げつけてきたりする中、一人離れた所に佇んでこちらの様子を窺っていたジュンソ。
そう、あのハン・ジュンソだ。恐るべき偶然により、はな六は旧友の部屋に招かれてしまったのだ。
「はい、お水どうぞ」
ジュンソがはな六の目の前にグラスを置いた。蒸しパンは飼い主に遠慮してか、はな六の膝から降りていった。
「ありがとうございます。うわぁ、すごい、綺麗なコップですね」
透明なグラスには格子状の繊細なカッティングがほどこされていて、間接照明を受けてキラキラと輝いている。
「エドキリコって言うんだ。知ってる?」
はな六は首を振った。
「ジャパンの伝統工芸品だよ。気に入ったなら持って帰ってもいいよ」
「いえいえ結構です! すごく高そうだし」
「別にそんなに高くないよ。二万円くらいだったかな」
「二万円!?」
ただの客人に水を出すグラスが二万円とは、普通の金銭感覚じゃない!
(ジュンソの家は金持ちだ、という噂は子供時代に聞いたことがあるけど、まさかこれほどのものとは……)
はな六がおののいていると、ジュンソはそんなのお構い無しではな六の隣に座り、ワインボトルの栓を開け、手酌で氷の入ったグラスに注いだ。
「もっと長い時間遊びたいんだけど、今日は君は延長は出来ないって店長さんから言われた。もしかして学生さん?」
はな六は曖昧に頷いた。
「これ、この間街をぶらぶらしてたら見つけたんだ。こんなの見たことないでしょ? 安いのに結構美味しいんだよ」
そう言って、ジュンソはボトルを回してラベルをはな六の方へ向けた。
“アカダマポートワイン”
(これは……)
はな六はしょっちゅう見かける。サイトウの家の冷蔵庫に常備されているし、マサユキの部屋の台所にもある。料理の仕込みに使う赤ワインだ。つい先日も、マサユキがユユのリクエストで鶏の照り焼きを作るため、前日の夕方に鶏肉をこのワインに漬けていた。
「こんな素晴らしいものが千円以下で売っていた。ジャパンは面白い国だね」
ジュンソはグラスを掲げ、はな六のグラスに軽く当てた。グラスと氷が涼しげに鳴る。グラスの中身を半分ほど一息に飲んでしまうと、ジュンソはソファーに背中を預けて寛いだ。組んだ脚の、薄手のルームシューズを履いた爪先がゆらゆらと穏やかに揺れる。と、どこに隠れていたのか、蒸しパンがひょっこりと顔を出した。大きな眼をキョロキョロと動かして飼い主の爪先を追ったが、すぐに飽きた様子ではな六の膝に飛び乗ってきた。はな六が撫でてやると、蒸しパンは心地よさそうにゴロゴロと喉を鳴らした。
「珍しいじゃないか。お客さんに懐くなんて」
ジュンソに顎をわしわしと撫でられ、蒸しパンは仰向けになって身体をくねらす。
「この子は“にくまん”。もう一匹、双子の兄弟が、たぶんそこら辺に隠れていると思うけど……」
はな六はギクリとした。この白猫は昔はな六が面倒を見た“蒸しパン”ではなかったのだ。さっき、はな六が猫を蒸しパンと呼んだのをジュンソは聴いていただろうか?
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】
【続編も8/17完結しました。】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
【完結】王子様の婚約者になった僕の話
うらひと
BL
ひょんな事から第3王子のエドワードの婚約者になってしまったアンドル。
容姿端麗でマナーも頭も良いと評判エドワード王子なのに、僕に対しては嘘をついたり、ちょっとおかしい。その内エドワード王子を好きな同級生から意地悪をされたり、一切話す事や会う事も無くなったりするけれど….どうやら王子は僕の事が好きみたい。
婚約者の主人公を好きすぎる、容姿端麗な王子のハートフル変態物語です。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
国王様は新米騎士を溺愛する
あいえだ
BL
俺はリアン18歳。記憶によると大貴族に再婚した母親の連れ子だった俺は5歳で母に死なれて家を追い出された。その後複雑な生い立ちを経て、たまたま適当に受けた騎士試験に受かってしまう。死んだ母親は貴族でなく実は前国王と結婚していたらしく、俺は国王の弟だったというのだ。そして、国王陛下の俺への寵愛がとまらなくて?
R18です。性描写に★をつけてますので苦手な方は回避願います。
ジュリアン編は「騎士団長は天使の俺と恋をする」とのコラボになっています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる