灰色のエッセイ

ろれつが回らない話

　少し前の話ですが、某危険地域を取材する系の番組でヤク中に取材したら、ろれつの回らない口でわけわからんことをカメラに向かい喋ってました。本人の中では普通に喋っているつもりなのでしょうが、それを言語化する能力がドラッグのやり過ぎで損なわれてしまったのでしょう。
　実のところ、私の地元にもこういうおっさんたちがいました。ほとんどがアルコール依存ですが、何を言ってるのか全くわかりません。仕方ないので「はあ、そうですね」などと適当な相槌を打ち、折を見て話を切り上げて逃げる……そんなことが、よくありました。

　1999年、東名高速にて酒気帯び運転のトラックドライバーによる事故があり、ふたりの子供が亡くなるという痛ましい事故がありました。
　私の友人は、かつて逮捕されたことがありますが……裁判をした際、そのドライバーと話したそうです。拘置所から裁判所に行くと、控室のような場所に数人の容疑者と共に入れられるそうです。そこで、件のドライバーもいたとか。話したものの、何を言っているのか全くわからなかったそうです。
　当然ながら、逮捕された後に容疑者は酒を飲むことなど出来ません。しかも、裁判は2000年の時だったそうです。したがって、件のドライバーは半年以上、一滴も飲んでいないのです。にもかかわらず、何を言っているのかわからない……これも、アルコール依存の後遺症なのかもしれないですね。