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草太は仕事をし、ユリアはオムライスを食べる
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「ちょっとぉ、何なのよアンタ……この娘、可愛いじゃないの。こんなの、反則よ反則」
ラジャは巨体をくねらせながら、目の前のユリアを見つめる。照れ臭いけど、同時に嬉しくてたまらない、という感じだ。
対するユリアは、首を傾げながら巨漢の女装家を見上げていた。ちょっとだけ困っているような表情である。
そんな二人を横目で見ながら、草太は掃除の準備をする。今日はラジャの経営する喫茶店兼ゲイバー『虎の穴』の換気扇を掃除するべく来たのだが……昨日と同じく、ユリアが付いて来てしまったのである。
草太は仕方なく、ユリアのことをきちんと説明した上で頭を下げた。仕事の間はおとなしくしているから勘弁してくれ、と。もっとも、ラジャは一目でユリアのことを気に入ってくれたらしいが。
ラジャの本名や来歴がどんなものなのか、草太はよくは知らない。知っているのは、彼女……いや、彼が昔プロレスラーであったことだ。
数年前、プロレス界に衝撃的な事件が起きた。真・国際プロレスのナンバー2であった覆面レスラーのラジャ・タイガーが、突如として引退を表明したのである。
ラジャは身長二メートル近く、体重百四十キロという日本人離れした巨体を誇る大型レスラーであった。しかも、ただ大きいだけではない。運動神経も良く、ドロップキックのような技も使いこなしていたのだ。
将来は、真・国際プロレスのエースだろう……といわれていたラジャ・タイガーであったが、数年前に突如引退を表明したのであった。
さらに引退会見には素顔で、しかも女装した姿で登場し、ファンを驚愕させたのである。
その後、ラジャはこの流九市に住み着いた。昼間は喫茶店、夜はゲイバーとなる店『虎の穴』を経営している。草太はなぜか、この巨漢の女装家に気に入られており、ちょくちょく小さな仕事を頼まれていた。
草太もまた、ラジャのことを信頼している。この巨漢の女装家は、流九市の住人の中でも、本当の優しさを知っている数少ない人間のひとりである。
「ねえユリアちゃん、オムライス食べる?」
カウンター席に座っているユリアに、ラジャはニコニコしながら尋ねる。加納春彦のボディーガードである木俣源治が、小さく見えるほどの巨体である。当然ながら、顔も大きくゴツい。
さらに、その巨大な顔に施された化粧は濃く、けばけばしいものである。ショートカットの金髪、どぎつい色のアイシャドウ、さらには紫の口紅……子供が見たら、確実に怖がるだろう。いや、気の弱いおっさんが見ても怖がるはずだ。
しかし、ユリアには怯む様子がない。巨大かつ化粧の濃い顔を寄せてきたラジャに対し、小首を傾げてみせる。困ったなあ、とでも言いたげな様子だ。
次の瞬間、ラジャの巨体が震え出した。
「可愛い! ユリアちゃん可愛い! こら草太! ユリアちゃんが困ってるでしょ! ちゃんと説明してあげなさい!」
ラジャは店の奥を向いて怒鳴りつけた。すると、草太が顔を出す。
「あのお……俺は今、換気扇の掃除で忙しいんですけど?」
「そんなの後でいい! さっさとこっち来て、ユリアちゃんを助けてあげなさいよ!」
草太は仕方なく、仕事を中断しユリアのそばに来た。一方、ユリアは困った顔で彼の顔を見上げる。
「ねえユリアちゃん、オムライスって知ってる?」
ラジャが尋ねると、ユリアは首を横に振る。さらにその後、困ったような表情で頭を抱えて首を傾げる。
すると、ラジャの顔が歪んだ。
「ああん! 何なのよ、このバリエーション豊富なリアクションは! 可愛すぎるじゃない!」
言いながら、ラジャはキャッチャーミットのような巨大な手でユリアの頭を撫でる。見ている草太は、苦笑するしかなかった。
「ユリア、オムライスっていうのはな、卵焼きとケチャップがかかったご飯だ。ラジャ姉さんの作るオムライスは、凄く美味しいんだぞ。食べてみるか?」
草太の問いに、ユリアはこくんと頷く。次いで、大きな瞳に期待を込めてラジャを見つめた。
すると、ラジャは真剣な表情になる。何を思ったか、じっとユリアの顔を見つめた。
ややあって、口を開く。
「ねえユリアちゃん、お願いがあるの。頬っぺをプニプニしていい?」
真顔で、とんでもないことを言い出す。横にいる草太は唖然となった。この巨漢は、いったい何を考えているのだろう。
だが、ユリアは事の重大さが分かっていないらしい。困惑した表情を浮かべながらも、こくんと頷いた。
直後、ラジャは手を伸ばし彼女の頬っぺたをつまむ。ユリアは、ちょっと微妙な表情を浮かべながらも、されるがままになっていた。
「なんて素敵な頬っぺたなの……触りがいがあるわ」
あえぐような奇怪な声を出しながら、ラジャはなおも頬っぺたをつまみ続ける……さすがの草太も、これはマズイと思った。
「あ、あのう、ラジャさん? そろそろオムライス作っていただきたいなあ、なんて。ユリア、お前もお腹空いてるだろ?」
草太の言葉に、ユリアは頬っぺたをプニプニされながらも頷いた。すると、ラジャは名残惜しそうな顔をしながらも手を離す。
「わかったわよ。続きは、また今度ね」
ラジャは巨体を揺らしながらキッチンへと入っていく。その時になって、草太は今がお昼時であるのを思い出した。そろそろ、ユリアもお腹が空く頃だ。彼は、ユリアの頭を撫でた。
「ちょっと待っててね。あの人、見た目は変だけど料理は上手だから」
やがてラジャが、出来上がったオムライスを運んできた。
美味しそうな匂いに、ユリアは瞳を輝かせる。
「さあて、ラジャ姉さん特製のオムライスよ。今から、美味しくなる魔法をかけてあげるから」
そう言うと、ラジャは皿を置いた。ケチャップを出し、オムライスにハートマークを描いていく……横で見ている草太は、あまりのおぞましさに震え上がった。昨日の木俣といい、今日のラジャといい、ユリアは巨体の男を狂わせる何かを持っているのだろうか。
「美味しくなーれ、はいどうぞ」
その巨大な顔に笑みを浮かべながら、オムライスの皿を差し出すラジャ。
ユリアもニッコリ笑い、スプーンでオムライスを一口食べた。
直後、ユリアの表情が変わる。大きな瞳をまんまるに見開き、ラジャに向かって首を縦に振り出したのだ。まるで、ヘッドバンキングでもしているかのような勢いである。恐らく、美味しい! ということを全身全霊で伝えているつもりなのだろう。
「ちょ、ちょっとユリアちゃん!? 大丈夫!?」
ユリアの思わぬ動きに、さすがのラジャも驚いたらしい。だが、ユリアはひとしきり首を振った後、猛烈な勢いでオムライスを食べ始めた。
そばで見ていた草太は苦笑し、作業に戻る。来る前は不安だったが、ユリアはここでも上手くやれている。ラジャにも気に入ってもらえた。
とはいえ、いつまでもこのままではいられない。仕事場にユリアを連れ回していては、この先何が起こるか分からないのだ。
まずは、一刻も早く中田健介を見つけなくては。情報通の名取淳一に頼んではいるが、あの男は頼りない。
そんなことを考えながら、ラジャの方を見てみた。彼女(?)は幸せそうな顔で、オムライスに舌鼓を打つユリアを眺めている。まるで、我が子を見ている母親のようだ。
そんなラジャに、そっと近づいた。耳元に顔を近づけ囁く。
「ねえラジャさん、もし中田に関する情報を小耳に挟むようなことがあったら、俺に教えてくれると助かるんだけど」
すると、ラジャは大きく頷いた。こちらを向き、囁き返す。
「アタシに任せといて。ユリアちゃんのためなら、アタシは何でもしちゃうからね」
「ありがとう。そう言ってもらえると助かるよ」
草太は笑みを浮かべ、換気扇の掃除を再開した。
やがて作業が終わり、草太はユリアの手を握る。
「ラジャさん、終わったよう。今日は、ユリアが世話になっちゃったね。あ、それとオムライスの代金を──」
「いいのよ。あれは、アタシがご馳走してあげたんだから。そうよね、ユリアちゃん?」
ラジャの言葉に、ユリアはニッコリ笑った。直後、とことこ近づいていく。
そして何を思ったか、その大木のような足をギュッと抱きしめた。
「うわっ……凄いな、お前は」
見ている草太の口から、そんな言葉が洩れた。ユリアのオヤジ転がしの上手さは、どうやら天性のものらしい。
一方、ユリアはラジャの足を抱き締めたが……それは一瞬であった。すぐに離れペコリとお辞儀をして、草太のそばに行く。
そんな一連の動きを見ていたラジャは、いきなり頭を掻きむしった。
「何なのよ、この娘は! 反則よ反則! 何もかもが反則だわ!」
帰り道、二人は軽トラックに乗ってのんびりとドライブをした。ドライブといっても、狭い流九市内を車で走るだけだが。
しかも見える風景といえば、今にも崩れそうな木造住宅や草が伸び放題の空き地、酒瓶を片手に道路に座り込んでいるホームレスや不良外国人などである。
もっとも、ユリアは楽しそうに外を見ている。好奇心旺盛なユリアにとって、この流九市もテーマパークのようなものなのかもしれない。
それにしても、最近は外国人の数が多いな……などと思いながら、草太は事務所へと向かった。そろそろ、美桜が来てくれる時間帯である。
事務所に戻ると、にゃあと鳴く声がした。カゲチヨの挨拶である。尻を床に着け、前足を揃えた姿勢で草太とユリアを迎える。
ユリアは嬉しそうに、カゲチヨを撫でた。カゲチヨもまた、喉をゴロゴロ鳴らしながら彼女の手に顔を擦り付けていく。ひとりと一匹の楽しげな挨拶は、見ていて本当に微笑ましい。
草太はふと、こんな可愛い少女が自分の実の子供だったら、と考えた。ランドセルを背負って小学校に通い、やがて制服を着て中学校に入るのだ。そして受験の後、晴れて高校生になる。さらに、彼氏なんかを連れて来て……チャラい奴だったら、ラジャさんにぶっ飛ばしてもらおう。
その時、彼の妄想はストップする。
そういえば、ユリアの実の親は今どこにいるんだ?
事務所のソファーに座り、草太はじっと考えていた。その横では、ユリアがテレビを観ている。犬型のロボットと探偵の少女が悪と戦うアニメが放送されているらしい。もっとも、草太には何が何だか分からないが。
その時、ドアホンが鳴った。すると、ユリアは目を輝かせてドアの方を見る。
「もしかしたら、美桜お姉ちゃんかもしれないな。出てみる」
言いながら、草太は立ち上がった。今、美桜が来てくれたのだとしたらありがたい。まずは名取に電話して、中田のことを聞かなくては。
ドアを開けると、そこに立っていたのは夏目美桜だった。相変わらず野球帽を被り、サングラスとマスクを着けている。さらに、四月だというのに全身を覆う黒いコートを着ていた。その上、なぜか両手に紙袋をぶら下げている。誰が見ても、立派な不審人物であろう。
「なあ、美桜ちゃんよう……その格好、もうちょい何とかならないか? せめてさ、マスクとサングラスは外そうよ」
草太のごくまともなアドバイスを、美桜は無視したまま入っていく。
ユリアの前で紙袋を置き、サングラスとマスクを外した。素顔はなかなかの美人なのに、外を出歩く時は完璧なまでに顔を隠している。本当にもったいない話だ、などと草太が考えていると、美桜は紙袋の中身を取り出した。
そのとたん、草太は唖然となった。中に入っていたのは、子供用のシャツとパンツだったのだ。アニメの猫や、アニメのカラス天狗などがプリントされた可愛らしいものばかりである。
だが、ユリアは違う反応をした。それらを見た瞬間、大きな目をまんまるに見開いたのだ。興奮した様子で、パンツと美桜の顔とを代わる代わる見つめる。
すると、美桜は笑みを浮かべた。
「いいのよ、ユリアちゃん。全部、あなたのだから」
そのとたん、ユリアは両手を挙げた。バンザイ、と言っているつもりなのだろう。その仕草はあまりにも微笑ましく、見ている草太の顔も和んでいた。だが次の瞬間、美桜が険しい表情でこちらを向く。
「何ヘラヘラしてるんですか? 小さい女の子のパンツ見てニヤニヤしてたら、変態かと思われますよ」
キツい口調の美桜に、草太はきょとんとなった。この態度の差はなんなのだろうか。
「いや、別にそういうわけじゃ──」
「まあ、そんなことはどうでもいいです。ユリアちゃんをお風呂に入れますので、いつも通り出て行ってください」
美桜の有無を言わさぬ態度に、草太は仕方なく頷いた。美桜は最近、妙に強くなった気がする。これも、母性に目覚めたからだろうか。
外に出ると、草太はスマホを取り出す。まずは、名取に電話してみた。
(おう草太か。どうしたんだ?)
相も変わらず、横柄な態度の名取。草太はちょっと不快に感じながらも、出来るだけ愛想のいい声を出した。
「どうも、お疲れ様です。あのですね、中田さんのことなんですが……その後、何か新しい情報は──」
(おいおい、いくら俺でも、昨日の今日で情報が入るわけないだろうが。何か分かったら、真っ先にお前に知らせるから安心しろ)
「はあ、そうですか。ありがとうございます。そうしていただけると、本当に助かります」
いかにも申し訳なさそうな声を出す。もっとも内心では、その見返りに何をしなくてはいけないのかを考えていた。名取という男は、ギブアンドテイクの精神が骨の髄まで染み込んでいる。同時に、ローリスク・ハイリターンの精神もだ。
草太は近いうちに、中田の情報に対する代価を払わされることになるだろう。もっとも、名取はヤクザほど悪どくはない。付き合いやすい男であるのは確かだが。
(しかし変だな。お前、なんで中田にこだわるんだよ?)
名取の問いに、草太は思わず顔をしかめた。この男には、ユリアのことを知られたくなかった。いずれは知られてしまうだろうが、今は黙っていた方がいい。
「仕事があるのかないのか、はっきりさせて欲しいんですよ。後々になって、いきなり仕事を頼まれても困りますしね。何せ、中田さんは怖い人ですから」
草太が言ったとたん、名取の愉快そうに笑う声が聞こえた。
(しょうがねえ奴だな、お前は。いざとなったら、俺んところに来いよ。なんとかしてやるから)
「いやあ、それは助かりますよ。とにかく、中田さんの情報があったら教えてください」
その後、名取の自慢話や武勇伝、さらには説教をさんざん聞かされ……ようやく解放された草太。気がつくと、流九公園まで来ていた。
ふと公園内を見回すと、ホームレスの黒崎がベンチに座っている。さすがに、今日は不良たちに殴られていないらしい。憮然とした表情で、下を向いている。
「よう、おっちゃん」
声をかけ、同じベンチに座る。黒崎はちらりと草太の方を見たが、すぐに地面に視線を戻した。
「よかったなあ、今日は殴られてなくて」
草太の軽口に、黒崎はようやく反応した。苦虫を噛み潰したような表情で、こちらを向いた。
「今日は、ユリアはいないのか」
「ああ、今は家にいる。俺の友だちの女の子が、風呂に入れてあげてるよ」
「そうか……」
言ったきり、黒崎は黙り込んだ。草太から視線を外し、地面をじっと見つめている。考えてみれば、こんな風に黒崎と会話をしたのは初めてである。この偏屈ホームレスは、まず話しかけてこないのだ。仮にこちらから話しかけても「余計なお世話だ」などと言われるのがオチである。
なのに今は、向こうから話しかけてきている。どういう心境の変化なのだろうか。
「ユリアは、いつまで預かっているつもりだ?」
黒崎は、また話しかけてきた。草太は少し戸惑いながらも答える。
「さあな。そもそも、親と連絡が取れないんだよ。あんな可愛いのに……困ったもんだぜ」
その言葉を聞き、黒崎の表情が僅かながら変化した。空を見上げ、ふうとため息を吐く。
「哀れな話だな」
「ああ、本当に哀れな話だよ」
答えると同時に、スマホが着信を伝える。見ると事務所からだ。間違いなく美桜からだろう。
「よう、美桜ちゃん。終わったかい?」
スマホに向かい、気楽に語る。だが、聞こえてくる声は相も変わらず裏返っていた。
(は、はい! お、お風呂終わりました! は、早く帰って来てください!)
緊張感に満ちた声を聞き、草太は思わず苦笑した。いつになったら、美桜は電話でのやり取りに慣れてくれるのだろうか……などと思いながら立ち上がった。
「さて、そろそろ帰るとするか。おっちゃん、不良のガキ共に殴られないようにしなよ」
「余計なお世話だ。お前こそ、ユリアの面倒をしっかり見るんだぞ」
黒崎は、草太の顔を見ようともせずに言った。愛想の欠片も無い奴だ。もっとも、この偏屈ホームレスと会話をすること自体が珍しいのだが。
ユリアの存在は、こんなところにも影響を及ぼしているのかもしれない。
事務所に戻ると、ユリアがニコニコしながら右手をビシッと挙げる。お帰りなさい、という意味のリアクションなのだろう。
次いで、カゲチヨものそのそ歩いてくる。草太を見上げ、にゃあと鳴いた。一応、彼を出迎える気はあるらしい。
しかし、美桜だけは冷たい態度である。
「やっと帰って来ましたか。まったく、どこをほっつき歩いていたんだか……」
嫌味たらしく言いながら、帰り支度をする美桜。草太は仕方なく、ゴマをすって機嫌をとることにした。
「いやあ、美桜ちゃんにはいつも世話になりっぱなしだね。たまには、一緒に飯でも──」
「結構です」
「いや、でもさあ、ユリアのパンツ買ってもらったお礼もしたいから」
「そのことで、草太さんに言っておきたいことがあります。ユリアちゃんは、同じパンツをずっと履いてたんですよ。気づいていましたか?」
鋭い口調の美桜に、草太はたじたじになった。ご機嫌斜めの理由はそれかもしれない。
「ご、ごめん。知らなかったよ」
「あなたは、小さな子供を預かっているんです。その自覚が足りないのではないですか? もっと気を配ってあげてください」
「う、うん。分かった。と、ところでさ……お礼に飯でも──」
「結構です」
美桜の態度はにべもない。野球帽を被り、サングラスとマスクを着け、さっさと帰ってしまった。
「美桜お姉ちゃん、いつもああなんだよ。本当に困ったもんだね。女心は難しいねえ」
草太の言葉に、ユリアも難しい表情を作りうんうんと頷いた。
ラジャは巨体をくねらせながら、目の前のユリアを見つめる。照れ臭いけど、同時に嬉しくてたまらない、という感じだ。
対するユリアは、首を傾げながら巨漢の女装家を見上げていた。ちょっとだけ困っているような表情である。
そんな二人を横目で見ながら、草太は掃除の準備をする。今日はラジャの経営する喫茶店兼ゲイバー『虎の穴』の換気扇を掃除するべく来たのだが……昨日と同じく、ユリアが付いて来てしまったのである。
草太は仕方なく、ユリアのことをきちんと説明した上で頭を下げた。仕事の間はおとなしくしているから勘弁してくれ、と。もっとも、ラジャは一目でユリアのことを気に入ってくれたらしいが。
ラジャの本名や来歴がどんなものなのか、草太はよくは知らない。知っているのは、彼女……いや、彼が昔プロレスラーであったことだ。
数年前、プロレス界に衝撃的な事件が起きた。真・国際プロレスのナンバー2であった覆面レスラーのラジャ・タイガーが、突如として引退を表明したのである。
ラジャは身長二メートル近く、体重百四十キロという日本人離れした巨体を誇る大型レスラーであった。しかも、ただ大きいだけではない。運動神経も良く、ドロップキックのような技も使いこなしていたのだ。
将来は、真・国際プロレスのエースだろう……といわれていたラジャ・タイガーであったが、数年前に突如引退を表明したのであった。
さらに引退会見には素顔で、しかも女装した姿で登場し、ファンを驚愕させたのである。
その後、ラジャはこの流九市に住み着いた。昼間は喫茶店、夜はゲイバーとなる店『虎の穴』を経営している。草太はなぜか、この巨漢の女装家に気に入られており、ちょくちょく小さな仕事を頼まれていた。
草太もまた、ラジャのことを信頼している。この巨漢の女装家は、流九市の住人の中でも、本当の優しさを知っている数少ない人間のひとりである。
「ねえユリアちゃん、オムライス食べる?」
カウンター席に座っているユリアに、ラジャはニコニコしながら尋ねる。加納春彦のボディーガードである木俣源治が、小さく見えるほどの巨体である。当然ながら、顔も大きくゴツい。
さらに、その巨大な顔に施された化粧は濃く、けばけばしいものである。ショートカットの金髪、どぎつい色のアイシャドウ、さらには紫の口紅……子供が見たら、確実に怖がるだろう。いや、気の弱いおっさんが見ても怖がるはずだ。
しかし、ユリアには怯む様子がない。巨大かつ化粧の濃い顔を寄せてきたラジャに対し、小首を傾げてみせる。困ったなあ、とでも言いたげな様子だ。
次の瞬間、ラジャの巨体が震え出した。
「可愛い! ユリアちゃん可愛い! こら草太! ユリアちゃんが困ってるでしょ! ちゃんと説明してあげなさい!」
ラジャは店の奥を向いて怒鳴りつけた。すると、草太が顔を出す。
「あのお……俺は今、換気扇の掃除で忙しいんですけど?」
「そんなの後でいい! さっさとこっち来て、ユリアちゃんを助けてあげなさいよ!」
草太は仕方なく、仕事を中断しユリアのそばに来た。一方、ユリアは困った顔で彼の顔を見上げる。
「ねえユリアちゃん、オムライスって知ってる?」
ラジャが尋ねると、ユリアは首を横に振る。さらにその後、困ったような表情で頭を抱えて首を傾げる。
すると、ラジャの顔が歪んだ。
「ああん! 何なのよ、このバリエーション豊富なリアクションは! 可愛すぎるじゃない!」
言いながら、ラジャはキャッチャーミットのような巨大な手でユリアの頭を撫でる。見ている草太は、苦笑するしかなかった。
「ユリア、オムライスっていうのはな、卵焼きとケチャップがかかったご飯だ。ラジャ姉さんの作るオムライスは、凄く美味しいんだぞ。食べてみるか?」
草太の問いに、ユリアはこくんと頷く。次いで、大きな瞳に期待を込めてラジャを見つめた。
すると、ラジャは真剣な表情になる。何を思ったか、じっとユリアの顔を見つめた。
ややあって、口を開く。
「ねえユリアちゃん、お願いがあるの。頬っぺをプニプニしていい?」
真顔で、とんでもないことを言い出す。横にいる草太は唖然となった。この巨漢は、いったい何を考えているのだろう。
だが、ユリアは事の重大さが分かっていないらしい。困惑した表情を浮かべながらも、こくんと頷いた。
直後、ラジャは手を伸ばし彼女の頬っぺたをつまむ。ユリアは、ちょっと微妙な表情を浮かべながらも、されるがままになっていた。
「なんて素敵な頬っぺたなの……触りがいがあるわ」
あえぐような奇怪な声を出しながら、ラジャはなおも頬っぺたをつまみ続ける……さすがの草太も、これはマズイと思った。
「あ、あのう、ラジャさん? そろそろオムライス作っていただきたいなあ、なんて。ユリア、お前もお腹空いてるだろ?」
草太の言葉に、ユリアは頬っぺたをプニプニされながらも頷いた。すると、ラジャは名残惜しそうな顔をしながらも手を離す。
「わかったわよ。続きは、また今度ね」
ラジャは巨体を揺らしながらキッチンへと入っていく。その時になって、草太は今がお昼時であるのを思い出した。そろそろ、ユリアもお腹が空く頃だ。彼は、ユリアの頭を撫でた。
「ちょっと待っててね。あの人、見た目は変だけど料理は上手だから」
やがてラジャが、出来上がったオムライスを運んできた。
美味しそうな匂いに、ユリアは瞳を輝かせる。
「さあて、ラジャ姉さん特製のオムライスよ。今から、美味しくなる魔法をかけてあげるから」
そう言うと、ラジャは皿を置いた。ケチャップを出し、オムライスにハートマークを描いていく……横で見ている草太は、あまりのおぞましさに震え上がった。昨日の木俣といい、今日のラジャといい、ユリアは巨体の男を狂わせる何かを持っているのだろうか。
「美味しくなーれ、はいどうぞ」
その巨大な顔に笑みを浮かべながら、オムライスの皿を差し出すラジャ。
ユリアもニッコリ笑い、スプーンでオムライスを一口食べた。
直後、ユリアの表情が変わる。大きな瞳をまんまるに見開き、ラジャに向かって首を縦に振り出したのだ。まるで、ヘッドバンキングでもしているかのような勢いである。恐らく、美味しい! ということを全身全霊で伝えているつもりなのだろう。
「ちょ、ちょっとユリアちゃん!? 大丈夫!?」
ユリアの思わぬ動きに、さすがのラジャも驚いたらしい。だが、ユリアはひとしきり首を振った後、猛烈な勢いでオムライスを食べ始めた。
そばで見ていた草太は苦笑し、作業に戻る。来る前は不安だったが、ユリアはここでも上手くやれている。ラジャにも気に入ってもらえた。
とはいえ、いつまでもこのままではいられない。仕事場にユリアを連れ回していては、この先何が起こるか分からないのだ。
まずは、一刻も早く中田健介を見つけなくては。情報通の名取淳一に頼んではいるが、あの男は頼りない。
そんなことを考えながら、ラジャの方を見てみた。彼女(?)は幸せそうな顔で、オムライスに舌鼓を打つユリアを眺めている。まるで、我が子を見ている母親のようだ。
そんなラジャに、そっと近づいた。耳元に顔を近づけ囁く。
「ねえラジャさん、もし中田に関する情報を小耳に挟むようなことがあったら、俺に教えてくれると助かるんだけど」
すると、ラジャは大きく頷いた。こちらを向き、囁き返す。
「アタシに任せといて。ユリアちゃんのためなら、アタシは何でもしちゃうからね」
「ありがとう。そう言ってもらえると助かるよ」
草太は笑みを浮かべ、換気扇の掃除を再開した。
やがて作業が終わり、草太はユリアの手を握る。
「ラジャさん、終わったよう。今日は、ユリアが世話になっちゃったね。あ、それとオムライスの代金を──」
「いいのよ。あれは、アタシがご馳走してあげたんだから。そうよね、ユリアちゃん?」
ラジャの言葉に、ユリアはニッコリ笑った。直後、とことこ近づいていく。
そして何を思ったか、その大木のような足をギュッと抱きしめた。
「うわっ……凄いな、お前は」
見ている草太の口から、そんな言葉が洩れた。ユリアのオヤジ転がしの上手さは、どうやら天性のものらしい。
一方、ユリアはラジャの足を抱き締めたが……それは一瞬であった。すぐに離れペコリとお辞儀をして、草太のそばに行く。
そんな一連の動きを見ていたラジャは、いきなり頭を掻きむしった。
「何なのよ、この娘は! 反則よ反則! 何もかもが反則だわ!」
帰り道、二人は軽トラックに乗ってのんびりとドライブをした。ドライブといっても、狭い流九市内を車で走るだけだが。
しかも見える風景といえば、今にも崩れそうな木造住宅や草が伸び放題の空き地、酒瓶を片手に道路に座り込んでいるホームレスや不良外国人などである。
もっとも、ユリアは楽しそうに外を見ている。好奇心旺盛なユリアにとって、この流九市もテーマパークのようなものなのかもしれない。
それにしても、最近は外国人の数が多いな……などと思いながら、草太は事務所へと向かった。そろそろ、美桜が来てくれる時間帯である。
事務所に戻ると、にゃあと鳴く声がした。カゲチヨの挨拶である。尻を床に着け、前足を揃えた姿勢で草太とユリアを迎える。
ユリアは嬉しそうに、カゲチヨを撫でた。カゲチヨもまた、喉をゴロゴロ鳴らしながら彼女の手に顔を擦り付けていく。ひとりと一匹の楽しげな挨拶は、見ていて本当に微笑ましい。
草太はふと、こんな可愛い少女が自分の実の子供だったら、と考えた。ランドセルを背負って小学校に通い、やがて制服を着て中学校に入るのだ。そして受験の後、晴れて高校生になる。さらに、彼氏なんかを連れて来て……チャラい奴だったら、ラジャさんにぶっ飛ばしてもらおう。
その時、彼の妄想はストップする。
そういえば、ユリアの実の親は今どこにいるんだ?
事務所のソファーに座り、草太はじっと考えていた。その横では、ユリアがテレビを観ている。犬型のロボットと探偵の少女が悪と戦うアニメが放送されているらしい。もっとも、草太には何が何だか分からないが。
その時、ドアホンが鳴った。すると、ユリアは目を輝かせてドアの方を見る。
「もしかしたら、美桜お姉ちゃんかもしれないな。出てみる」
言いながら、草太は立ち上がった。今、美桜が来てくれたのだとしたらありがたい。まずは名取に電話して、中田のことを聞かなくては。
ドアを開けると、そこに立っていたのは夏目美桜だった。相変わらず野球帽を被り、サングラスとマスクを着けている。さらに、四月だというのに全身を覆う黒いコートを着ていた。その上、なぜか両手に紙袋をぶら下げている。誰が見ても、立派な不審人物であろう。
「なあ、美桜ちゃんよう……その格好、もうちょい何とかならないか? せめてさ、マスクとサングラスは外そうよ」
草太のごくまともなアドバイスを、美桜は無視したまま入っていく。
ユリアの前で紙袋を置き、サングラスとマスクを外した。素顔はなかなかの美人なのに、外を出歩く時は完璧なまでに顔を隠している。本当にもったいない話だ、などと草太が考えていると、美桜は紙袋の中身を取り出した。
そのとたん、草太は唖然となった。中に入っていたのは、子供用のシャツとパンツだったのだ。アニメの猫や、アニメのカラス天狗などがプリントされた可愛らしいものばかりである。
だが、ユリアは違う反応をした。それらを見た瞬間、大きな目をまんまるに見開いたのだ。興奮した様子で、パンツと美桜の顔とを代わる代わる見つめる。
すると、美桜は笑みを浮かべた。
「いいのよ、ユリアちゃん。全部、あなたのだから」
そのとたん、ユリアは両手を挙げた。バンザイ、と言っているつもりなのだろう。その仕草はあまりにも微笑ましく、見ている草太の顔も和んでいた。だが次の瞬間、美桜が険しい表情でこちらを向く。
「何ヘラヘラしてるんですか? 小さい女の子のパンツ見てニヤニヤしてたら、変態かと思われますよ」
キツい口調の美桜に、草太はきょとんとなった。この態度の差はなんなのだろうか。
「いや、別にそういうわけじゃ──」
「まあ、そんなことはどうでもいいです。ユリアちゃんをお風呂に入れますので、いつも通り出て行ってください」
美桜の有無を言わさぬ態度に、草太は仕方なく頷いた。美桜は最近、妙に強くなった気がする。これも、母性に目覚めたからだろうか。
外に出ると、草太はスマホを取り出す。まずは、名取に電話してみた。
(おう草太か。どうしたんだ?)
相も変わらず、横柄な態度の名取。草太はちょっと不快に感じながらも、出来るだけ愛想のいい声を出した。
「どうも、お疲れ様です。あのですね、中田さんのことなんですが……その後、何か新しい情報は──」
(おいおい、いくら俺でも、昨日の今日で情報が入るわけないだろうが。何か分かったら、真っ先にお前に知らせるから安心しろ)
「はあ、そうですか。ありがとうございます。そうしていただけると、本当に助かります」
いかにも申し訳なさそうな声を出す。もっとも内心では、その見返りに何をしなくてはいけないのかを考えていた。名取という男は、ギブアンドテイクの精神が骨の髄まで染み込んでいる。同時に、ローリスク・ハイリターンの精神もだ。
草太は近いうちに、中田の情報に対する代価を払わされることになるだろう。もっとも、名取はヤクザほど悪どくはない。付き合いやすい男であるのは確かだが。
(しかし変だな。お前、なんで中田にこだわるんだよ?)
名取の問いに、草太は思わず顔をしかめた。この男には、ユリアのことを知られたくなかった。いずれは知られてしまうだろうが、今は黙っていた方がいい。
「仕事があるのかないのか、はっきりさせて欲しいんですよ。後々になって、いきなり仕事を頼まれても困りますしね。何せ、中田さんは怖い人ですから」
草太が言ったとたん、名取の愉快そうに笑う声が聞こえた。
(しょうがねえ奴だな、お前は。いざとなったら、俺んところに来いよ。なんとかしてやるから)
「いやあ、それは助かりますよ。とにかく、中田さんの情報があったら教えてください」
その後、名取の自慢話や武勇伝、さらには説教をさんざん聞かされ……ようやく解放された草太。気がつくと、流九公園まで来ていた。
ふと公園内を見回すと、ホームレスの黒崎がベンチに座っている。さすがに、今日は不良たちに殴られていないらしい。憮然とした表情で、下を向いている。
「よう、おっちゃん」
声をかけ、同じベンチに座る。黒崎はちらりと草太の方を見たが、すぐに地面に視線を戻した。
「よかったなあ、今日は殴られてなくて」
草太の軽口に、黒崎はようやく反応した。苦虫を噛み潰したような表情で、こちらを向いた。
「今日は、ユリアはいないのか」
「ああ、今は家にいる。俺の友だちの女の子が、風呂に入れてあげてるよ」
「そうか……」
言ったきり、黒崎は黙り込んだ。草太から視線を外し、地面をじっと見つめている。考えてみれば、こんな風に黒崎と会話をしたのは初めてである。この偏屈ホームレスは、まず話しかけてこないのだ。仮にこちらから話しかけても「余計なお世話だ」などと言われるのがオチである。
なのに今は、向こうから話しかけてきている。どういう心境の変化なのだろうか。
「ユリアは、いつまで預かっているつもりだ?」
黒崎は、また話しかけてきた。草太は少し戸惑いながらも答える。
「さあな。そもそも、親と連絡が取れないんだよ。あんな可愛いのに……困ったもんだぜ」
その言葉を聞き、黒崎の表情が僅かながら変化した。空を見上げ、ふうとため息を吐く。
「哀れな話だな」
「ああ、本当に哀れな話だよ」
答えると同時に、スマホが着信を伝える。見ると事務所からだ。間違いなく美桜からだろう。
「よう、美桜ちゃん。終わったかい?」
スマホに向かい、気楽に語る。だが、聞こえてくる声は相も変わらず裏返っていた。
(は、はい! お、お風呂終わりました! は、早く帰って来てください!)
緊張感に満ちた声を聞き、草太は思わず苦笑した。いつになったら、美桜は電話でのやり取りに慣れてくれるのだろうか……などと思いながら立ち上がった。
「さて、そろそろ帰るとするか。おっちゃん、不良のガキ共に殴られないようにしなよ」
「余計なお世話だ。お前こそ、ユリアの面倒をしっかり見るんだぞ」
黒崎は、草太の顔を見ようともせずに言った。愛想の欠片も無い奴だ。もっとも、この偏屈ホームレスと会話をすること自体が珍しいのだが。
ユリアの存在は、こんなところにも影響を及ぼしているのかもしれない。
事務所に戻ると、ユリアがニコニコしながら右手をビシッと挙げる。お帰りなさい、という意味のリアクションなのだろう。
次いで、カゲチヨものそのそ歩いてくる。草太を見上げ、にゃあと鳴いた。一応、彼を出迎える気はあるらしい。
しかし、美桜だけは冷たい態度である。
「やっと帰って来ましたか。まったく、どこをほっつき歩いていたんだか……」
嫌味たらしく言いながら、帰り支度をする美桜。草太は仕方なく、ゴマをすって機嫌をとることにした。
「いやあ、美桜ちゃんにはいつも世話になりっぱなしだね。たまには、一緒に飯でも──」
「結構です」
「いや、でもさあ、ユリアのパンツ買ってもらったお礼もしたいから」
「そのことで、草太さんに言っておきたいことがあります。ユリアちゃんは、同じパンツをずっと履いてたんですよ。気づいていましたか?」
鋭い口調の美桜に、草太はたじたじになった。ご機嫌斜めの理由はそれかもしれない。
「ご、ごめん。知らなかったよ」
「あなたは、小さな子供を預かっているんです。その自覚が足りないのではないですか? もっと気を配ってあげてください」
「う、うん。分かった。と、ところでさ……お礼に飯でも──」
「結構です」
美桜の態度はにべもない。野球帽を被り、サングラスとマスクを着け、さっさと帰ってしまった。
「美桜お姉ちゃん、いつもああなんだよ。本当に困ったもんだね。女心は難しいねえ」
草太の言葉に、ユリアも難しい表情を作りうんうんと頷いた。
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