18 / 49
三章
42話 弟と育児 / エルヴェ
しおりを挟む
< 小さい設定 >
シュレッサー伯爵もお兄さんも大変距離の近いコミュニケーションが好き
< 小話 >
――とある日の学園内
「エルヴェ、お前も話してて直ぐ抱きつくけど……弟君は更に近すぎない?」
研究棟の仲間の言葉に様子を見に行くために、1年の校舎に向かう。弟の口から最近友達の名前を聞く。
ノエル、クロード、カミュ様、アレックス王子、友達と呼ぶには恐れ多いが、弟が楽しそうに語るのなら、それでいい。
母を失った時、ユーグはまだ片言でしゃべれるぐらいだった。
シュレッサーは探求者の死を悔やまない。だから、悲しくても私も父も母を誇った。
――母様、偉いの。
真似をして涙も流さない幼子には無理があった。程なく、毎晩叫ぶように起きて母を求めて泣くようになった。
――母様、いない。母様、どこ?
父と一緒に子供の心理学や育児の研究を慌ててした。育児に答えはないらしい。
私たちで母の穴を埋めよう。そう結論を出して、日に何度も何かある度に抱き締めた。
夜、弟を抱き締めて寝るミルクの臭いと温かい体温は気づけば自分の穴を埋めていた。守っているのか、守られているのか。私も父も抱き締めて育て続けた。
遠くに友達を抱き締めている弟を見つける。
「ユーグ! 抱き締めて話すのは、ダメです!」
やり過ぎたかな? 気づけば私も父も人に距離が近いと言われるようになってしまったが、弟のあれはちょっと近すぎる。
でも、笑う弟が満足げなら、それでいい。
「この方が落ち着くんだよね」
「ユーグ、耳を噛むのはなしです!!」
「えっ?だってお願い聞いてもらいやすくなるし?」
それは、兄さん教えてないぞ! 誰だ、弟に変な事を教えたのは?!
それでいい、とは兄さんは言えないぞ!
シュレッサー伯爵もお兄さんも大変距離の近いコミュニケーションが好き
< 小話 >
――とある日の学園内
「エルヴェ、お前も話してて直ぐ抱きつくけど……弟君は更に近すぎない?」
研究棟の仲間の言葉に様子を見に行くために、1年の校舎に向かう。弟の口から最近友達の名前を聞く。
ノエル、クロード、カミュ様、アレックス王子、友達と呼ぶには恐れ多いが、弟が楽しそうに語るのなら、それでいい。
母を失った時、ユーグはまだ片言でしゃべれるぐらいだった。
シュレッサーは探求者の死を悔やまない。だから、悲しくても私も父も母を誇った。
――母様、偉いの。
真似をして涙も流さない幼子には無理があった。程なく、毎晩叫ぶように起きて母を求めて泣くようになった。
――母様、いない。母様、どこ?
父と一緒に子供の心理学や育児の研究を慌ててした。育児に答えはないらしい。
私たちで母の穴を埋めよう。そう結論を出して、日に何度も何かある度に抱き締めた。
夜、弟を抱き締めて寝るミルクの臭いと温かい体温は気づけば自分の穴を埋めていた。守っているのか、守られているのか。私も父も抱き締めて育て続けた。
遠くに友達を抱き締めている弟を見つける。
「ユーグ! 抱き締めて話すのは、ダメです!」
やり過ぎたかな? 気づけば私も父も人に距離が近いと言われるようになってしまったが、弟のあれはちょっと近すぎる。
でも、笑う弟が満足げなら、それでいい。
「この方が落ち着くんだよね」
「ユーグ、耳を噛むのはなしです!!」
「えっ?だってお願い聞いてもらいやすくなるし?」
それは、兄さん教えてないぞ! 誰だ、弟に変な事を教えたのは?!
それでいい、とは兄さんは言えないぞ!
0
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?
tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」
「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」
子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。
勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
あなたを忘れる魔法があれば
七瀬美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。
ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。
私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――?
これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような??
R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます
婚約者とその幼なじみの距離感の近さに慣れてしまっていましたが、婚約解消することになって本当に良かったです
珠宮さくら
恋愛
アナスターシャは婚約者とその幼なじみの距離感に何か言う気も失せてしまっていた。そんな二人によってアナスターシャの婚約が解消されることになったのだが……。
※全4話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる