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最初の洗礼 *

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「な、に言って...」


「オナれっつってんの」


瑞季は頭がおかしくなったんじゃないだろうか。そうでもなければこの状況が理解できない。


「ここで...?」


「今、ここで」


そんなのできるわけがない...


「む、り...」


「指示したことすらできねぇ駄目犬はいらねぇぞ」


「......っ」


はじめから朋に選択肢なんかなかった。固く手を握りしめたせいで、爪が手のひらにきつく食い込む。


「やれよ」


「......わかった」


やるしかない、そう思うのに身体が動かない。逃げ出したいと本気で思った。


「下全部脱げ」


男同士なのだから、目の前で服を脱ぐくらい別にそれほど気にすることではないはずなのに、これからすることを思うと逆らい難い抵抗がある。早くしろ、という瑞季の声に背中を押されて、ほとんど自棄になってスウェットと下着を脱ぎ捨てた。


「ふはっ、色気ねぇな」


「そんなの、あるわけないだろっ...」


「どうだか......床でやれ」


瑞季は自分の目の前の床を指差した。言われるままに腰を下ろすと、フローリングの冷たさが肌に滲みる。


「足ちゃんと開いて」


おずおずと足を少し広げると、瑞季の足が隙間に入ってきて、股関節が軋むほどに無理矢理開かされる。


突然無防備に晒されたそこに空気が触れるのが生々しくて、顔が熱くなった。消えてしまいたくて、堪えるように唇を噛む。


「ほら、見ててやるからやれよ」


「っ趣味悪い......」


「あ?同級生の目の前で股全開でオナるやつほどじゃねぇわ」


それはお前がさせたんだろ......


精一杯の強がりで瑞季を睨み付けてから、まだなんの反応も示していないそこに手を伸ばす。何度か上下に扱くだけで簡単に勃ち上がってきた。もういっそ早く終わらせてしまおうと目を固く閉じて、焦りぎみに手を動かす。


「......ッフ......ン......」


そのとき、ピロンという電子音がして、驚いて顔を上げると、瑞季の携帯があられもない格好の朋に向けられていた。


「う、そ...」


「何手止めてんだよ。続けろ」


「ぁ...嫌だっ、撮んな...」


慌てて身体を起こして瑞季を止めようとするが、肩を蹴られて床に尻をつく。


「物分かり悪すぎんだろ。俺がやれっつったらお前はやるんだよ」


「...っ!」


瑞季の前で、カメラまで回っているというのに、情けなくて涙が溢れる。一瞬にして萎えたそれに再び手を伸ばすと、こんなに屈辱的な状況でもそれは素直に反応してきた。


「......ふっ...ぅ...はっ...」


「泣きながら自分で慰めるとか恐ろしく無様だな」


「や、だ......ぁ...」


「施設ではどうしてたんだ?子供ばっかいちゃできないだろ?」


元々淡白な朋は、一人ですることなんてほとんどなかった。だから、施設で集団で生活していて不便を感じたことなどない。


「....んなの..しないっ......くっ、ぅ...」


「ふーん」


込み上げてくる声を必死に噛み殺す朋を見下ろして、瑞季は蔑むように鼻で笑った。


「どうりでそんなに早いわけだ。お前、もう出そうだろ」


「はぁっ......ふ、くっ......」


「おい」


瑞季の足が朋の顎をくいと持ち上げ、顔を上げさせられる。それだけでも屈辱的なのに、瑞季の目は朋を煽るように半月状に歪んだ。


「俺の目見たままイけ」


「......!」


それはつまりカメラに顔を晒すことになるわけで。羞恥で顔に血が昇る。


拙い抵抗を試みるが、とっくに昇りつめていた身体は言うことをきかなかった。


「ぁ...ダメっ......はぁ、ンンッ...!!」


「ククッ...あーあ、お前ベトベトだね」


腹は涙と吐き出した精とが混ざり合い、ドロドロになっていた。回っていたカメラが止まる音が聞こえ、身体から力が抜けて床にへたりこむ。


「面白いもん録れたし、今日はこれでいいわ。きれいにしてから出てけよ」


"今日は"という瑞季の言葉に呆然とする。


こんなのがこれから続くのか......


俺、耐えられるかな...


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