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第六章 Blues Drive Monster
#50 大魔天開闢
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四国会議参列組織。
企業連盟。金剛衆。二十二機関。極龍會。
これら四つの勢力から配出され、編成された四国会議の混成部隊。
彼等は剣山を囲う形で隊列を配置し、すでに進行作戦を開始していた。
傭兵。僧兵。軍兵。極道。機械兵器。魔術師。覚醒者。その他様々な属性の戦闘職。
現地の作戦参加人数、総勢1092名。
それらすべての人員が、この戦場に漂う異様な空気に困惑していた。
静寂。圧倒的なまでの底無しの静けさ。剣山に住まうすべての動植物の気配すら消えている。
身体中の五感や、それらを超越した第六感にすら、何も感知させない無窮の孤独。
そこに生の息吹はなく、死に近い薄ら寒さだけが黙々と鎮座している。
この感覚の正体を、混成部隊の参加者たちは皆、正しく理解していた。
『無の境地』。殺しの業を極限までに昇華させた人間たちが常用する殺意内包の技術。
己に内在する殺意を、波紋ひとつ相手に感知させない達人の次元。
つまり逆説的にいえば、この静寂は黒十字の殺意そのもの。
すなわち、この剣山全域が黒十字の『殺しの領域』であることを物語っているのだ。
前代未聞。なんとも規格外。
未曾有の敵のそのあまりの強大さに、四国会議混成部隊達は実力の差すらも推し量ること叶わず、ただただその不気味さに困惑していた。
▼霊匣/接続
全自動術式 邪悪逆樹/展開
術式種別/悪魔系
全自動術式【邪悪逆樹】。
カバラ思想における悪徳や悪業などの様々な悪の力を図式化した“邪悪の樹”。
その概念を集合無意識より抽出し、術者に適応させる術式だ。
その効能は『現文明の固定観念に則り、術者の悪の諸力を算出し、その数値を霊力として出力する』。
黙示録の獣をはじめとする世界規模の悪行と、その血統の始祖・ヒトラーの所業も加算される黒十字にとってはこれ以上ない至極凶悪な術式である。
また、無尽蔵ともいえるその莫大なエネルギー量を“邪悪の樹”の階層を利用して、ギアのように切り替え、他の複数の術式へと分配する。
『ッッ!?剣山全域に高エネルギー反応確認。総員、警戒してくださいっ』
四国会議のオペレーターが全部隊に通達する。
▽我は叛逆者 神に愛されし者どもよ
怯えよ 竦め
此処に貴様らの居場所などないのだから
大地の鳴動。地響きとともに剣山が吼える。
それは胎動するかのように脈を打ち、そして次の瞬間、山頂から天に向かって一条の光柱が放たれる。その光の柱を視認した四国勢力混成部隊の誰しもが、光の射出地点こそ、この天変地異の元凶であり、今回の騒動の首謀者・黒十字の潜伏先であることを確信する。
さらに畳みかけるように、山頂から麓にかけて、無造作に紫電が迸る。
▽大規模召喚術式 大魔天開闢 発動
『召喚魔術の信号を確認。数、10、50、280、500、870……… 尚も増加っ』
先刻までの静寂を裂くように、
剥き出しの殺意が今、
四国会議混成部隊に襲い掛かろうとしていた。
企業連盟。金剛衆。二十二機関。極龍會。
これら四つの勢力から配出され、編成された四国会議の混成部隊。
彼等は剣山を囲う形で隊列を配置し、すでに進行作戦を開始していた。
傭兵。僧兵。軍兵。極道。機械兵器。魔術師。覚醒者。その他様々な属性の戦闘職。
現地の作戦参加人数、総勢1092名。
それらすべての人員が、この戦場に漂う異様な空気に困惑していた。
静寂。圧倒的なまでの底無しの静けさ。剣山に住まうすべての動植物の気配すら消えている。
身体中の五感や、それらを超越した第六感にすら、何も感知させない無窮の孤独。
そこに生の息吹はなく、死に近い薄ら寒さだけが黙々と鎮座している。
この感覚の正体を、混成部隊の参加者たちは皆、正しく理解していた。
『無の境地』。殺しの業を極限までに昇華させた人間たちが常用する殺意内包の技術。
己に内在する殺意を、波紋ひとつ相手に感知させない達人の次元。
つまり逆説的にいえば、この静寂は黒十字の殺意そのもの。
すなわち、この剣山全域が黒十字の『殺しの領域』であることを物語っているのだ。
前代未聞。なんとも規格外。
未曾有の敵のそのあまりの強大さに、四国会議混成部隊達は実力の差すらも推し量ること叶わず、ただただその不気味さに困惑していた。
▼霊匣/接続
全自動術式 邪悪逆樹/展開
術式種別/悪魔系
全自動術式【邪悪逆樹】。
カバラ思想における悪徳や悪業などの様々な悪の力を図式化した“邪悪の樹”。
その概念を集合無意識より抽出し、術者に適応させる術式だ。
その効能は『現文明の固定観念に則り、術者の悪の諸力を算出し、その数値を霊力として出力する』。
黙示録の獣をはじめとする世界規模の悪行と、その血統の始祖・ヒトラーの所業も加算される黒十字にとってはこれ以上ない至極凶悪な術式である。
また、無尽蔵ともいえるその莫大なエネルギー量を“邪悪の樹”の階層を利用して、ギアのように切り替え、他の複数の術式へと分配する。
『ッッ!?剣山全域に高エネルギー反応確認。総員、警戒してくださいっ』
四国会議のオペレーターが全部隊に通達する。
▽我は叛逆者 神に愛されし者どもよ
怯えよ 竦め
此処に貴様らの居場所などないのだから
大地の鳴動。地響きとともに剣山が吼える。
それは胎動するかのように脈を打ち、そして次の瞬間、山頂から天に向かって一条の光柱が放たれる。その光の柱を視認した四国勢力混成部隊の誰しもが、光の射出地点こそ、この天変地異の元凶であり、今回の騒動の首謀者・黒十字の潜伏先であることを確信する。
さらに畳みかけるように、山頂から麓にかけて、無造作に紫電が迸る。
▽大規模召喚術式 大魔天開闢 発動
『召喚魔術の信号を確認。数、10、50、280、500、870……… 尚も増加っ』
先刻までの静寂を裂くように、
剥き出しの殺意が今、
四国会議混成部隊に襲い掛かろうとしていた。
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