勇者と魔王。異世界転生者たちと闘う！

破章の壱 How to Stop Worrying and Start Living

２３ターン目／鉄の獣

　元騎士団長がすぐさま動く。
　マンドラゴラを蹴り飛ばし、剣を抜きながら思念言語を唱える。

　●【炎属性】✕【付与】✕【武器】
　▼元騎士団長は 呪文を唱えた！【成功ヒット】

【フレイムソード】発動！
　元騎士団長の剣が燃える。
　彼は剣を振るい、袈裟斬り。
　その刃からは炎の斬撃が射出され、遠方で宙を舞ってたマンドラゴラに直撃。
　人型植物は一気に燃焼し、粉砕する。
　
「敵襲ゥゥゥーーーッッ！？」
　号令をかける元騎士団長。
　身構える【解放戦線レジスタンス】たち。

　そんな彼等は思念言語を聞き付ける。

　●【氷属性】✕【打撃】✕【敵全体】
　※【場内属性フィールド:氷】発動！ 魔法威力に乗算！
　▼敵魔法使いは 呪文を唱えた！【成功ヒット】

【アイスクレイグ】発動！
　畳み掛けるように、今度は解放戦線レジスタンスの頭上に、巨大な氷の塊が出現。
　それは、密集した彼等全員を圧殺するには充分な大きさで、瞬く間に重力に従い、落下する。

　●【炎属性】✕【付与】✕【全体】
　●【風属性】✕【斬撃】✕【全体】
　●【氷属性】✕【刺突】✕【単体】
　●【地属性】✕【防御】✕【全体】
　▼解放戦線レジスタンスは 合体攻撃を繰り出した！【大成功クリティカル】

【花鳥風月】発動！
　氷の槍が炎の竜巻を纏い、敵のアイスクレイグに突貫する。それはさながらドリルのように渦を巻き、巨大な氷の塊を氷削していく。
　粉々に砕けた氷の破片が、猛烈に飛散するが、炎の竜巻に紛れたきめ細かな砂の粒子がベールのようにそれらをさらに分解し、濾過の原理で、中央部に固まる【解放戦線レジスタンス】の元から遠ざける。

　相殺成功。どうにか第一陣を突破する。
　と思いきや、

「！？」

　刹那、【解放戦線レジスタンス】の一人の胸部から、曲刀の切っ先が突出する。
　奇襲による致命の一撃バッグスタブ。
　背後にはターバンとマスクで顔を隠す人間の暗殺者アサシンの姿が―――。

「テメェッッ！！」
　仲間を殺られ、近くに居た解放戦線レジスタンス隊員が、怒りに身を任せて剣を振るう。

　しかし暗殺者アサシンはそれを軽々と躱し、白い森の中に姿を眩ます。

「―――くそ！おい、しっかりしろ！！」
　仲間に駆け寄る解放戦線レジスタンス隊員。
　しかし、暗殺者アサシンによる凶刃の犠牲になった隊員はすでに絶命していた。

　情景反射で救援に走りだすグリフィン。
　しかし、彼の眼はさらなる敵の出現を捉える。

　それは、巨大な狼人間ワーウルフ。
　非常に筋肉質で、２.５メートルはあろう巨体。毛色は黒く、鋭い牙を剥き出した口腔からは、生暖そうな涎が湯気を立てながら垂れていく。
　狼人間ワーウルフは、何やら機械的なバッグパックを背負っており、そのバッグパックからはベルトのようなものが伸びている。
　ベルトは、狼人間ワーウルフの手元に構えられた砲・筒・状・の・鉄・の・固・ま・り・と連結しており、それを見るや否や、グリフィンは背筋を凍らせ、顔の血色を一瞬にして青ざめさせる。

　回転式多銃身機関砲ガトリングキャノン。
　狼人間ワーウルフは照準を合わせ、【解放戦線レジスタンス】たち目掛けて、その殺傷兵器鉄の獣を咆哮させるブッ放す。