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番外編 カエラside④
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毎日のように行っていた王城に行かなくなって半月。
断り続ける私にエリアーナは「行きたくないなら行く必要はないわ。行きたくなったらまた教えて」と笑って言った。
エリアーナは何も言わないけど、きっと私の気持ちに気付いているのだと思う。多分、自分ですら気付けなかった最初から……
自身の初恋の気持ちを抑え込むのは苦しかったけど、その苦しさにも慣れた頃、アムール殿下は変装をして我が家を急に訪れた。
私は両親と姉にバレないようにアムール殿下を早急に自室に連れてきた。
「で……殿下っっ……何をされているのです?」
「今は商人のアルトだよ。君が購入した本を届けに来た」
「私は本など購入していませんっ」
「君が来てくれないから自ら行動を起こしたんだよっっ」
「っっ……」
心が痛む。
なんで、この人はこの国の王太子なんだろう?
「アムール殿下。私はもう王城にはいきません。やはり身の丈に合っていないというか……私はあくまで伯爵家の次女ですから……」
必死に考えてきた“王城に来れない理由”を必死に捻り出して伝えるも、アムール殿下は納得しないと頭を振って私を強く抱きしめた。
「カエラ。私は君が好きだ。初めて会ったあの日からずっと君の事が頭から離れない……私はこの国の王太子として純血者であるミリアを正妃に迎えなくてはならない。この国を背負うものとしてそれは変えられない。全て私の我儘であるのはわかっている。でも、君を愛してしまったんだ……だから私から離れないで欲しい。カエラ……君は私の事、嫌い?」
「嫌いじゃないわ……好きよ……私も……でも……無理よ」
「カエラ……」
私は、私を抱きしめるアムール殿下から力一杯離れる。
そんな私をアムール殿下は悲しげに見つめた。
アムール殿下の告白は嬉しかった。
でも、だからこそ私は戸惑った。
だってこんな事、婚約者のミリア様に申し訳なさすぎる。
どんなに好きでもこんな事は許されない……
そんな私の気持ちを分かってか、アムール殿下は私の家に訪問した数日後に先手を取って私を近い将来側室に迎える事を国民に宣言した。
正妃と婚姻をしてない内に側室を迎えるなんて過去にはなかった事なので、王家・貴族は揉めた。
でも、アムール殿下の決意は固かった。
アムール殿下は私を心の底から愛してくれた。
そんなアムール殿下を見て、私もその愛に応えたいと思った。
私の中にあった迷いは全て消し去った。
そして、煩い周りの者を黙らせたいとアムール18歳、私が21歳の時に計画的に私は身籠りました。
アムールはすぐに私を側室に迎え、同時にミリア様とも婚姻をして私はケンビットを産んだ。
私の王城内での立場はあまり良いとは言えるものではありませんでした。
中には直接的に私に対して「アバズレ」と罵る人もいた。
ミリア様からもいつもキツい視線を感じていました。
でも、それを覚悟の上で私はアムールの近くにいる事を望んだので全てを受けいれました。
アムールは私を変わらず愛してくれたしケンビットにも愛情を注いでくれた。
でも、同時にミリア様と仲睦まじく過ごしている姿もよく目にした。
仕方ない事だと思いながらも内心複雑な思いはずっと消えなかった。
本当にこれでよかったのか……
私は間違った事をしているのではないのか?
私はずっと考えていましたが、一向に答えは出てきませんでした。
それからしばらくした頃、ドイル国で流行病が襲った。
流行病によりアムールの父15代目国王ランドル様、エリアーナの叔母である王妃ナリエ様。そしてアムールの正妃……王太子妃のミリア様が亡くなりました。
本当に急な事だった。
アムールも流行病に罹ったものの、他の方よりは軽症ですみ何とか一命を取り留め、流行病が落ちきアムールの体調が戻った頃、16代目国王としてアムールが即位。
私も側妃でありながら亡くなったミリア様の代わりに王妃の代理としてアムールの隣に立つようになりました。
そして、アムールは病の後遺症で子を授かる事が出来なくなってしまった。その為、私が産んだケンビットがこの国の王太子となりました。
断り続ける私にエリアーナは「行きたくないなら行く必要はないわ。行きたくなったらまた教えて」と笑って言った。
エリアーナは何も言わないけど、きっと私の気持ちに気付いているのだと思う。多分、自分ですら気付けなかった最初から……
自身の初恋の気持ちを抑え込むのは苦しかったけど、その苦しさにも慣れた頃、アムール殿下は変装をして我が家を急に訪れた。
私は両親と姉にバレないようにアムール殿下を早急に自室に連れてきた。
「で……殿下っっ……何をされているのです?」
「今は商人のアルトだよ。君が購入した本を届けに来た」
「私は本など購入していませんっ」
「君が来てくれないから自ら行動を起こしたんだよっっ」
「っっ……」
心が痛む。
なんで、この人はこの国の王太子なんだろう?
「アムール殿下。私はもう王城にはいきません。やはり身の丈に合っていないというか……私はあくまで伯爵家の次女ですから……」
必死に考えてきた“王城に来れない理由”を必死に捻り出して伝えるも、アムール殿下は納得しないと頭を振って私を強く抱きしめた。
「カエラ。私は君が好きだ。初めて会ったあの日からずっと君の事が頭から離れない……私はこの国の王太子として純血者であるミリアを正妃に迎えなくてはならない。この国を背負うものとしてそれは変えられない。全て私の我儘であるのはわかっている。でも、君を愛してしまったんだ……だから私から離れないで欲しい。カエラ……君は私の事、嫌い?」
「嫌いじゃないわ……好きよ……私も……でも……無理よ」
「カエラ……」
私は、私を抱きしめるアムール殿下から力一杯離れる。
そんな私をアムール殿下は悲しげに見つめた。
アムール殿下の告白は嬉しかった。
でも、だからこそ私は戸惑った。
だってこんな事、婚約者のミリア様に申し訳なさすぎる。
どんなに好きでもこんな事は許されない……
そんな私の気持ちを分かってか、アムール殿下は私の家に訪問した数日後に先手を取って私を近い将来側室に迎える事を国民に宣言した。
正妃と婚姻をしてない内に側室を迎えるなんて過去にはなかった事なので、王家・貴族は揉めた。
でも、アムール殿下の決意は固かった。
アムール殿下は私を心の底から愛してくれた。
そんなアムール殿下を見て、私もその愛に応えたいと思った。
私の中にあった迷いは全て消し去った。
そして、煩い周りの者を黙らせたいとアムール18歳、私が21歳の時に計画的に私は身籠りました。
アムールはすぐに私を側室に迎え、同時にミリア様とも婚姻をして私はケンビットを産んだ。
私の王城内での立場はあまり良いとは言えるものではありませんでした。
中には直接的に私に対して「アバズレ」と罵る人もいた。
ミリア様からもいつもキツい視線を感じていました。
でも、それを覚悟の上で私はアムールの近くにいる事を望んだので全てを受けいれました。
アムールは私を変わらず愛してくれたしケンビットにも愛情を注いでくれた。
でも、同時にミリア様と仲睦まじく過ごしている姿もよく目にした。
仕方ない事だと思いながらも内心複雑な思いはずっと消えなかった。
本当にこれでよかったのか……
私は間違った事をしているのではないのか?
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