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番外編 エリックside ②
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それから私は家に引きこもるようになった。
唯一の心の救いは妹のマリーナだった。
その頃、マリーナはハイハイを覚えて色々な表情を見せるようになっていた。
つい先日まで寝てばかりいた赤ん坊だったのに成長の早さにビックリすると共に私にとても懐いてくれているマリーナが可愛くて仕方なかった。
どうしようもない自分の気持ちがマリーナによって癒されていた。
それからもマリーナはスクスクと成長していった。
そして、マリーナは1歳になった頃に微量ながらも魅了の力を持っていると聞かされた。
魅了の力?
マリーナはみんなから可愛いがられて「妖精姫」と呼ばれていた。それはマリーナが事実可愛いからで魅了の力など関係あるのだろうか?
そもそもそう思う私もマリーナの魅了に既に掛かっているのか?
私にはよくわからなかった。
父上に聞いたら気にする事はないと言われたので私は気にしない事にした。
でも、その魅了の力のせいかマリーナの成長は驚くほどに早かった。
同じ時期に生まれた子と比べても本当に同じ歳?と疑問になるくらいマリーナは利発な子だった。
言葉を覚えて活発に行動するようになるとマリーナは私の後をよくついてきて私に抱きついてきてキスをしたりスキンシップも多くなくってきた。
マリーナは可愛いとおもう。
マリーナが自分を好いてくれているのは嬉しかったし、マリーナのそんな行動も兄妹間の戯れだと思って深く考えてはいなかった。
しかし、少しづつだけどマリーナの行動に違和感を感じるようになってしまった。
マリーナが2歳を迎える頃、マリーナが私を見る瞳に色目を帯びているのに気づいた。
最初は気のせいだと思った。
たかが2歳の子供だ。そんな気持ちがあるわけがない。
でも。そう思えば思うほどマリーナの私を見るピンク色の瞳の奥に色目を感じてしまう。
マリーナもあの時の貴婦人と同じ目をしている。
恐怖を感じた。
それからはよく私にキスをしてくるマリーナに「それは大切な人とだけする事だから兄様にしてはだめだよ」と教えた。
「お兄様が私の大切な人だから将来はお兄様と結婚する」と言われた時は何故だか身震いした。「兄妹で結婚はできないんだよ」とマリーナには笑顔で答えたけどこのままではいけないと直感で感じた。
普通の兄妹ならそんな会話は笑い話になるかもしれない。
でも私はそうは思えなかった。
妹であるマリーナの事は好きだし大切にしたい。
でも、マリーナが私を見る際に瞳の奥に感じるあの感じはどうしても受け入れる事ができなかった。
早々になんとかしなければと思った。でも、こんな事は父や母、ましてやユリマーリアには相談できなかった。
マリーナはまだ幼くて他の人を知らないから私に固執しているだけかもしれない。
きっと成長して色々な人と出会えばマリーナも変わるはず。
私はそう考えて落ち着くまでマリーナとは距離を取ることに決めた。
それからしばらくして私と同じ血が流れた妹のアエリアが生まれた。
アエリアを見た時には親近感を覚えた。
だってアエリアは私と同じ純血だったから。
両親が同じ為かマリーナとは違いアエリアは私ともよく似ていた。
なぜだかそれがとても嬉しかった。
マリーナとの事があったばかりだったから余計にそう感じるのかもしれない。
私はアエリアによく会いに行くようになった。
抱っこしてあやして、メイド長のマネに教えてもらってオムツを変えたりミルクをあげたり……マリーナにできない分、アエリアにできる事は出来るだけしてあげた。
アエリアが生まれてからすぐ、1ヶ月程だった頃、殿下がアエリアに会いに来ると聞いた。
なぜ殿下がアエリアに?
疑問に思ったものの、それよりもあの時から殿下がどうなったかずっと気がかりだった。
殿下とは2年程会っていない。
久々に殿下に会えると思い、私は馬車の音が聞こえてくるなり慌てて外に出た。
久々に見た殿下は以前よりも冷たい雰囲気になっていた。
一瞬目が合った様な気がしたがすぐに逸らされてしまった。
胸がギュと締め付けられる様に苦しくなった。
私は逃げてしまったが、殿下はあの王城の中で未だに苦しみながら生活をしていると思うと何もできない自分が悔しくて仕方なかった。
数日後、父から殿下とアエリアの婚約の話を聞いた。
ビックリした。あの殿下がアエリアとの婚約を了承するなんて……
後日、殿下がアエリアに会いにきていると聞いてこっそり様子を覗きに行くとアエリアに対して笑っている殿下がそこにはいた。
目を疑った。
私がどんなに話しかけても笑わなかった殿下が満面の笑みでまだ赤ん坊のアエリアに話しかけている。
何故だか分からないけど涙が出てきた。
私がずっと見たいと思っていた殿下の笑顔をアエリアが引き出してくれた。殿下が笑える場所ができた嬉しさと自分には何も出来なかった悔しさとゴチャゴチャだった。
殿下の事はきっとアエリアが救ってくれる。
そして、アエリアは殿下に幸せにしてもらえる。
そう思ったら無性に嬉しくなった。
それから殿下は毎日に我が家にきた。
私は会わないように気をつけていたが、いつも不定期な時間に来る殿下に自分の都合を合わせる事は不可能で不意に顔を合わせてしまう事も多々あった。
私はその都度気まずくてすぐに逃げていた。
でも、ある日廊下の曲がり角で出会い頭に会ってしまった際、逃げようとしたら殿下に腕を掴まれた。
私が驚いて殿下を見ると殿下は私をジッと見つめてから戸惑うように目を泳がせる。
「……逃げなくていい。すまなかった」
それだけ言って殿下は私の手を離した。
殿下の変わりように驚いた。
そして、殿下も私の事を気にしてくれていた事が嬉しかった。
それからは顔を合わすと挨拶をするようになった。
まだどうしてもぎこちなさはあるけど、あの日からずっと胸の中にあったモヤモヤが少し晴れた気がした。
唯一の心の救いは妹のマリーナだった。
その頃、マリーナはハイハイを覚えて色々な表情を見せるようになっていた。
つい先日まで寝てばかりいた赤ん坊だったのに成長の早さにビックリすると共に私にとても懐いてくれているマリーナが可愛くて仕方なかった。
どうしようもない自分の気持ちがマリーナによって癒されていた。
それからもマリーナはスクスクと成長していった。
そして、マリーナは1歳になった頃に微量ながらも魅了の力を持っていると聞かされた。
魅了の力?
マリーナはみんなから可愛いがられて「妖精姫」と呼ばれていた。それはマリーナが事実可愛いからで魅了の力など関係あるのだろうか?
そもそもそう思う私もマリーナの魅了に既に掛かっているのか?
私にはよくわからなかった。
父上に聞いたら気にする事はないと言われたので私は気にしない事にした。
でも、その魅了の力のせいかマリーナの成長は驚くほどに早かった。
同じ時期に生まれた子と比べても本当に同じ歳?と疑問になるくらいマリーナは利発な子だった。
言葉を覚えて活発に行動するようになるとマリーナは私の後をよくついてきて私に抱きついてきてキスをしたりスキンシップも多くなくってきた。
マリーナは可愛いとおもう。
マリーナが自分を好いてくれているのは嬉しかったし、マリーナのそんな行動も兄妹間の戯れだと思って深く考えてはいなかった。
しかし、少しづつだけどマリーナの行動に違和感を感じるようになってしまった。
マリーナが2歳を迎える頃、マリーナが私を見る瞳に色目を帯びているのに気づいた。
最初は気のせいだと思った。
たかが2歳の子供だ。そんな気持ちがあるわけがない。
でも。そう思えば思うほどマリーナの私を見るピンク色の瞳の奥に色目を感じてしまう。
マリーナもあの時の貴婦人と同じ目をしている。
恐怖を感じた。
それからはよく私にキスをしてくるマリーナに「それは大切な人とだけする事だから兄様にしてはだめだよ」と教えた。
「お兄様が私の大切な人だから将来はお兄様と結婚する」と言われた時は何故だか身震いした。「兄妹で結婚はできないんだよ」とマリーナには笑顔で答えたけどこのままではいけないと直感で感じた。
普通の兄妹ならそんな会話は笑い話になるかもしれない。
でも私はそうは思えなかった。
妹であるマリーナの事は好きだし大切にしたい。
でも、マリーナが私を見る際に瞳の奥に感じるあの感じはどうしても受け入れる事ができなかった。
早々になんとかしなければと思った。でも、こんな事は父や母、ましてやユリマーリアには相談できなかった。
マリーナはまだ幼くて他の人を知らないから私に固執しているだけかもしれない。
きっと成長して色々な人と出会えばマリーナも変わるはず。
私はそう考えて落ち着くまでマリーナとは距離を取ることに決めた。
それからしばらくして私と同じ血が流れた妹のアエリアが生まれた。
アエリアを見た時には親近感を覚えた。
だってアエリアは私と同じ純血だったから。
両親が同じ為かマリーナとは違いアエリアは私ともよく似ていた。
なぜだかそれがとても嬉しかった。
マリーナとの事があったばかりだったから余計にそう感じるのかもしれない。
私はアエリアによく会いに行くようになった。
抱っこしてあやして、メイド長のマネに教えてもらってオムツを変えたりミルクをあげたり……マリーナにできない分、アエリアにできる事は出来るだけしてあげた。
アエリアが生まれてからすぐ、1ヶ月程だった頃、殿下がアエリアに会いに来ると聞いた。
なぜ殿下がアエリアに?
疑問に思ったものの、それよりもあの時から殿下がどうなったかずっと気がかりだった。
殿下とは2年程会っていない。
久々に殿下に会えると思い、私は馬車の音が聞こえてくるなり慌てて外に出た。
久々に見た殿下は以前よりも冷たい雰囲気になっていた。
一瞬目が合った様な気がしたがすぐに逸らされてしまった。
胸がギュと締め付けられる様に苦しくなった。
私は逃げてしまったが、殿下はあの王城の中で未だに苦しみながら生活をしていると思うと何もできない自分が悔しくて仕方なかった。
数日後、父から殿下とアエリアの婚約の話を聞いた。
ビックリした。あの殿下がアエリアとの婚約を了承するなんて……
後日、殿下がアエリアに会いにきていると聞いてこっそり様子を覗きに行くとアエリアに対して笑っている殿下がそこにはいた。
目を疑った。
私がどんなに話しかけても笑わなかった殿下が満面の笑みでまだ赤ん坊のアエリアに話しかけている。
何故だか分からないけど涙が出てきた。
私がずっと見たいと思っていた殿下の笑顔をアエリアが引き出してくれた。殿下が笑える場所ができた嬉しさと自分には何も出来なかった悔しさとゴチャゴチャだった。
殿下の事はきっとアエリアが救ってくれる。
そして、アエリアは殿下に幸せにしてもらえる。
そう思ったら無性に嬉しくなった。
それから殿下は毎日に我が家にきた。
私は会わないように気をつけていたが、いつも不定期な時間に来る殿下に自分の都合を合わせる事は不可能で不意に顔を合わせてしまう事も多々あった。
私はその都度気まずくてすぐに逃げていた。
でも、ある日廊下の曲がり角で出会い頭に会ってしまった際、逃げようとしたら殿下に腕を掴まれた。
私が驚いて殿下を見ると殿下は私をジッと見つめてから戸惑うように目を泳がせる。
「……逃げなくていい。すまなかった」
それだけ言って殿下は私の手を離した。
殿下の変わりように驚いた。
そして、殿下も私の事を気にしてくれていた事が嬉しかった。
それからは顔を合わすと挨拶をするようになった。
まだどうしてもぎこちなさはあるけど、あの日からずっと胸の中にあったモヤモヤが少し晴れた気がした。
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